ニッケ全日本テニス選手権88th
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お知らせ

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【トップニュース】最新スケジュール(OOP)・ドロー(組み合わせ)はコチラから。
2014.08.08
【トップニュース】2014年大会のページは準備中ですが、エントリーは8月11日(月)より受付がスタートします。詳細はこちらをご覧ください。
2013.11.11
【ギャラリー】「11月10日」を掲載しました。
2013.11.11
【トップニュース】8日目を掲載しました。
2013.10.24
【トップニュース】「全日本選手権は11月3日開幕。添田豪、杉田祐一、瀬間詠里花、尾崎里紗らが出場--」を掲載しました。
2013.10.22
【トップニュース】出場選手リスト「出場辞退届出書」「選考結果についてのお知らせ通知」を掲載しました。
2013.09.09
【トップニュース】「東日本大会ドロー」を掲載しました。
2013.08.29
「試合日程」を掲載しました。
2013.08.28
【トップニュース】「全日本テニス選手権開催要項」「申込用紙」を掲載しました。
2013.08.23
【トップニュース】「西日本大会ドロー」を掲載しました。
2013.08.09
【イベント情報】「事前申込み・当日参加・その他」イベント情報を掲載しました。
2013.08.09
【トップニュース】「ニッケ全日本テニスがリニューアルします」を掲載しました。

最新スケジュール(OOP)PDF形式(Printable)

11月10日(日) 11月09日(土) 11月08日(金)
11月07日(木) 11月06日(水) 11月05日(火) 11月04日(月)
11月03日(日) 11月02日(土) 11月01日(金)

ドロー(組み合わせ)PDF形式(Printable)

男子シングルス: 本戦 予選
女子シングルス: 本戦 予選
男子ダブルス : 本戦
女子ダブルス : 本戦
混合ダブルス : 本戦


トップニュース

全日本選手権は11月3日開幕。添田豪、杉田祐一、瀬間詠里花、尾崎里紗らが出場--

ニッケ全日本選手権のエントリー選手が23日に発表された。男女シングルス優勝賞金は昨年から倍増の400万円となる一方、本戦シングルス出場者は昨年より16人少ない32選手に絞り込まれた大会は、11月3日~10日の8日間、東京・有明テニスの森公園で行われる。

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ニッケ全日本テニスがリニューアルします

トーナメントディレクター
中西 伊知郎

以前から検討に検討を重ねてまいりましたが、ニッケ全日本テニス選手権は今年からリニューアルすることになりました。

名実ともに国内最高峰の選手権として開催するために、日本のすべての選手が本気で優勝を狙う大会を目指します。

まず、シングルスの優勝賞金は昨年の200万円から倍増の400万円にアップし(予定)、これまで以上に上位選手にもご出場頂きたいと考えています。ドロー数は昨年の48ドローから32ドローに変更し、これまでのB予選とC予選に代わる、「ニッケ東日本テニス選手権」(北海道~東海)と「ニッケ西日本テニス選手権」(関西~九州)を開催します。東日本と西日本、それぞれの優勝者を全日本のワイルドカードとします。

ダブルスのドロー数は昨年の32ドローから16ドローに変更し、予選を廃止。賞金100万円以上の地域選手権の優勝者をワイルドカードとします。混合ダブルスに関しては昨年同様です。

エキサイティングな試合を1試合でも多く、たくさんのお客様にご観戦頂けるよう、1日の試合数と使用するコート面数を減らします。また余裕を持った日程にすることにより、選手にもこれまで以上に素晴らしいプレーを披露して頂ければと考えています。

今年の「ニッケ全日本テニス選手権88th」に、ぜひ足をお運び下さい。


●全日本テニス選手権88th大会資料
・全日本テニス選手権開催要項(PDF)
・全日本テニス選手権申込用紙(PDF)
・全日本テニス選手権2013大会開催詳細内容
(PDF8ページ)(大会日程・変更点のまとめ)


●東日本大会資料
・東日本大会開催要項(PDF)
・東日本大会男子シングルスドロー(PDF)
・東日本大会女子シングルスドロー(PDF)

●西日本大会資料
・西日本大会開催要項(PDF)
・西日本大会男子シングルスドロー(PDF)
・西日本大会女子シングルスドロー(PDF)

【本戦第1日のみどころ】
内山vs河内。センターコート第1試合は期待の若手同士の対戦

今年から男女とも32ドローとなったシングルスは1回戦から好カードが目白押しとなっている。

本戦初日のセンターコート第1試合に組まれたのは、デ杯などでも活躍し、今後の成長が期待される第7シードの内山靖崇(北日本物産)と、2010年にジュニア・デビスカップ(16歳以下国別対抗戦)で日本男子が世界一に輝いた時のメンバーで、12年の全日本ジュニア18歳以下のチャンピオン、河内一真(井澤金属)が激突する。パワーとテクニックのバランスのいい二人の対決だけに、レベルの高い打ち合いが期待できる。

女子では、第6シードで初の全日本シングルスのタイトルを狙うベテランの波形純理(北日本物産)や、急成長中の第7シード、今西美晴(島津製作所)が登場する。

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【11月2日 予選第2日】

第88回ニッケ全日本テニス選手権は予選第2日を行い、男子シングルスでは第2シードの綿貫裕介(ライフ・エヌ・ピー)、09年大会4強の三橋淳(フリー)らが予選決勝に勝ち進んだ。女子では第3シードの鮎川真奈(橋本総業)らが予選決勝に進んだが、第1シードの山外涼月(橋本総業)は辻佳奈美(日清紡ホールディングス)に敗れた。雨天のため、男子予選第1シードの有本尚紀(伊勢久)の2回戦などが順延となった。

男子シングルス予選2回戦
今井慎太郎
(早稲田大学)
6-4
6-1
松尾友貴
(イカイ)

■今井のコメント「サービスに威力のある相手なので、『決められたらしょうがない』ぐらいの気持ちで試合に入りました。しのいでいく中から、こちらのリズムが生まれて勝利につながったのかなと……。早稲田での練習は、一日一日を無駄にせずやっています。今回も大学王座から中一日ですが、きついのはいつものことで慣れています。本戦を見据えてベストを尽くしたい」

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【11月1日 予選第1日】

第88回ニッケ全日本テニス選手権の予選がスタート。男子シングルス予選では第1シードの有本尚紀(伊勢久)ら、女子シングルス予選では昨年大会準優勝の山外涼月(橋本総業)らが、予選2回戦に駒を進めた。

女子シングルス予選1回戦
山外涼月
(橋本総業)
3-6
7-5
6-3
伊藤絵美子
(テニスユニバース)

元インターハイ優勝、あるいは全日本ジュニア優勝などなど、各世代の国内の元タイトルホルダーたちがゴロゴロいるのが全日本の面白いところで、例えば、この試合は2006年の全国中学を制した山外涼月(橋本総業)と、05年のインターハイを高校1年生で優勝した伊藤絵美子(テニスユニバース)という顔合わせだ。

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【11月3日 本戦第1日】

第88回ニッケ全日本テニス選手権は本戦が開幕、男子シングルス第7シードの内山靖崇(北日本物産)、女子シングルスの第6シード、波形純理(北日本物産)らが快勝で初戦を突破した。男子ダブルスで第1シードの近藤大生(アイシン精機)/松井俊英(ライフ・エヌ・ピー)が主催者推薦で出場の上杉海斗/矢多弘樹(ともに清風高)に敗れる波乱があった。本戦と並行して予選シングルスの決勝ラウンドも行われ、男子の予選第2シード綿貫裕介(ライフ・エヌ・ピー)、女子の予選第6シード井上明里(イラコテニスカレッジ)らが本戦進出を決めた。

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【11月4日 第2日】

第88回ニッケ全日本テニス選手権第2日は、断続的な雨の影響で、予定されていた25試合のうち11試合を消化するにとどまった。女子シングルス第3シードの瀬間友里加(Club MASA)は、優勝2回の実績を誇る藤原里華(北日本物産)にストレート勝ち。インカレ3連覇の田川翔太(早稲田大)は過去3度優勝の37歳、鈴木貴男(イカイ)を2セットで振り切った。一昨年の覇者で第4シードの守屋宏紀(北日本物産)、昨年大会で2度目の女王となった高雄恵利加(北日本物産)も初戦を突破した。なお、男子シングルス第1シードとして出場が予定されていた添田豪(空旅ドットコム)は体調不良で欠場となった。

インカレ王者の田川が3度優勝のベテラン鈴木を破る

男子シングルス1回戦
田川翔太
(早稲田大)
7-6(5)
6-0
鈴木貴男
(イカイ)

ストロークの田川とサーブ&ボレーの鈴木の対決。鈴木が第5ゲームで相手サーブをブレークすると、田川が第8ゲームでブレークバックした第1セットはタイブレークにもつれ込んだが、終盤の勝負所で37歳のベテランをあきれさせる田川のスーパーショットが飛び出した。

鈴木を一番驚かせたのは第9ゲームのデュースの場面だった。田川のサーブを返した鈴木が、ラリーからクロスコートへのバックハンドスライスでネットに出た。鋭いスライスはコーナーを突いたが、田川がこれをバックハンドでショートクロスに切り返して、ネットに出ていた鈴木は呆然と見送るしかなかった。

「テニスを30年やっているが、あそこに打てるんだ、という、経験のないところに(パスが)落ちた」と鈴木。パスを抜かれた直後には、あきれたような苦笑いがコート上で漏れた。「あのポイントを取れれば、ブレークポイントはものにできると思っていた」と鈴木が悔しがった。

タイブレークでも田川のパスが冴えた。5-5からサーブ&ボレーを仕掛けてきた鈴木を、軽快な動きからバックハンドのパスで抜き去り、貴重なミニブレークをセットポイントにつなげた。フォアの強打が代名詞の田川から、勝負所でバックハンドのパスでポイントを奪われた鈴木は「あの2本が勝負を決定づけた。バックハンドだったのが意外ですね」と振り返った。

そして第2セット。調子が上がってきた田川と、体力的にも精神的にもダウンした鈴木では一方的な展開になったのも致し方なかった。「僕が落ちたのもあるけど、彼が気持ちよく走って、ボールを打っていた。今の自分に第2、第3セットで巻き返せる力があったら、自分でもびっくりする」とは鈴木の総括だ。

インカレを3連覇した大学4年の田川は、来春、一般企業に就職するため、全日本を「最後の大会」と決めている。小学生だった2001年、デ杯の応援に有明コロシアムに来たときにプレーしていた鈴木は、あこがれの選手。「最後の試合を貴男さんとできるのはうれしかった」。最後の大会という思いが強すぎて、立ち上がりは硬くなっていた。「(鈴木)貴男さんのサーブがよくて返せなかったが、リターンを打ったり、足元に沈めたりしていけば、相手にプレッシャーをかけられるかなと考えてやっていた。それがファーストサーブの入り(が悪くなったこと)や、ダブルフォールトにつながったのかな」。初めて鈴木と対戦して、白星を奪った田川からは笑顔がこぼれた。

田川はインカレで初優勝した2年前、全日本のシングルスに主催者推薦で初出場して、ベスト4まで勝ち上がっている。「今年はこの大会を最後の目標にやってきた。(ベスト4を上回る)決勝の舞台に立てるよう、力を出し切りたい。虎視たんたんと狙ってます」。鈴木という初戦の関門を突破した田川から、威勢の良い言葉が飛び出した。

(谷 祐一)

第3シードの瀬間友里加が過去2度優勝の藤原里華を倒す

女子シングルス1回戦
瀬間友里加
(Club MASA)
6-3
7-5
藤原里華
(北日本物産)

第3シードの瀬間友は、1回戦の相手が過去2回優勝の藤原。ここを勝ち上がっても、2回戦は昨年優勝の高雄恵利加(北日本物産)と難敵が続く。くじ運に恵まれたドローとは言えないが、「遠くまで見ていない。とりあえず一戦一戦と考えている。相手が誰であれ、自分のプレーをしないと全日本は勝てない」と話す。

藤原には一昨年の準決勝で6-2、1-6、2-6と逆転負けしている。だから、「里華さんにリベンジするために、自分のテニスをしようと最初から思い切りいった」。第1セット序盤は藤原の強打のリターンに苦しみ、第4ゲームまでブレーク合戦になったが、第5ゲームで最初のキープを果たして、試合の流れを引き寄せた。

第2セットは瀬間友が先にブレークしながら、直後に追いつかれる展開に。5-4からのサービスゲームでは2度のマッチポイントを握ったが、積極的にネットに出てボレー勝負を仕掛けてきた藤原にブレークバックを許した。「自分の気持ちが少し引いていて、里華さんが思い切りプレーしてきたから、しょうがない」。直後の第11ゲームでラリー戦を制してこのセット3度目のブレークを果たすと、最後は積極性が裏目に出てミスを重ねた藤原を押し切った。

86年生まれの瀬間友は、今回が11回目の全日本。大会にかける思いを聞かれると、「全日本は誰もが優勝したいと思っている。その思いの強い人が勝つ、と思っている」と話した。08年は決勝で敗れ、06年、11年、12年は準決勝敗退。ここ2年はその年の優勝者の前に涙を飲んできた。全日本のタイトルにかける思いは誰にも負けない、という気持ちが伝わってくる言葉だった。

(谷 祐一)

プロ転向を視野に入れる18歳、西岡良仁が快勝で2回戦へ

男子シングルス1回戦
西岡良仁
(ニックインドアテニスカレッジ)
6-0
6-2
奥大賢
(ミヤムラテニスセンター)

ジュニアの大会にも出ているが、2月のメキシコのフューチャーズ大会で優勝など、すでに一般での活動を中心に据えている18歳が西岡。アメリカのIMGアカデミーに拠点を置いた選手生活を送っており、将来を期待されるレフティーだ。

「久々の日本の試合だったので、すごく緊張した」という西岡だが、「自分のいいときのプレーをイメージして、集中力を高めて試合に臨んだら、1回戦とは思えないぐらいいい試合ができた」と話した。

第1セットはあっという間に西岡が6-0で取ったのだが、近年は国内大会を中心にプレーしている奥と、世界のトップジュニアの一人として戦い、「10代で100位台に入れれば自分としてもすごいと思う」と上を見据えている伸び盛りの西岡では、ボールや動きの質にやはり差があった。

西岡のフォアハンドは生きがいい。鋭い曲線を描いて変化し、バウンド後は相手に噛み付くような軌道で飛んでいく。ボールへの反応力が高く、足が速いため、余裕を持って打球体勢に入れることが多いので、常にタメを作ってからボールを叩けて強いボールを送り、ラリーで相手を後ろに押し込める。また、彼の回転を操ってボールを打つ能力の高さは、攻めにも守りにも有効で、攻撃的にいったときには相手をコートの外に追い出せ、ピンチの状況でもミスを出さず、一球の深いボールでニュートラルに戻せる。今のテニスで求められている強いストローク力の基礎を、西岡はすでに持っている。スコア通りの快勝と言っていいだろう。

「プロになっていく上で、この大会で結果を出すのは、次のステップへの大事な一歩」と西岡。海外を拠点としているとはいえ、彼の全日本にかける思いはやはり強い。「まずは1試合1試合ですが、ベスト4には行きたいと思って大会に入ってきた」と話した西岡。そのためには、ともに勝ち上がれば準々決勝で当たる第2シードの杉田祐一(三菱電機)を倒さなければならないが、それを聞かれると「やっぱり勝ちたいです。日本のトップにいる選手ですが、勝てたら大きなステップになる」と若者らしい闘志と野心の強さを見せた。

「常にファイトしているところ。粘り強さ。僕のテニスは一発で決めるテニスではないので、戦略や組み立てでプレーするところを見せたい」と初めての全日本でファンにアピールしたい、自分の特長を話してくれた。近い将来、今年の全日本の彼を見ていたことが自慢になる。そんな未来を期待したくなる一戦だった。

(浅岡隆太)

第2シードの19歳、尾崎里紗が2セット連取で初戦突破

女子シングルス1回戦
尾崎里紗
(ロイヤルヒル'81テニスクラブ)
6-3
6-3
岡田上千晶
(エームサービス)

「今年はチャンスだと思っています。優勝するつもりでいます」。1回戦で岡田上に勝った後の尾崎は改めてそう言葉にした。しかし、ストレートでの勝利だったとはいえ、試合内容は尾崎いわく「ひどすぎではない」という程度。初戦の緊張から硬くなったという尾崎は、第3ゲームで先にブレークを許し、先行される形で試合をスタートさせてしまった。

しかし、尾崎はすぐに逆転に成功する。「ダメなときにでも、メンタルをコントロールして、修正できるようになった。そこが前より少しよくなったかなと思います」と、言葉はやや控えめだが、確かな自信を感じさせる表情で彼女は話していた。

この日の試合では、サービスが不安定で、さらに岡田上の上からねじ込んでくるような強打に手こずり、武器のはずのフォアがやや威力を欠いているように見える場面が多かったが、彼女はそれらについても消極的になった分だけ足が動かず、十分なポジションを取れなかったことが理由だと話した。苦戦の理由をしっかりと分析し、具体的に説明できるようになったのも、尾崎の成長を物語る部分でもある。心身ともに、選手としての頼もしさを増してきた今年の尾崎。2回戦以降も楽しみだ。

(浅岡隆太)

【第3日のみどころ】

杉田祐一と松井俊英が初戦で激突。初タイトルを目指す伊藤竜馬も登場

毎年、優勝候補に挙げられながらも、過去3度準優勝に終わっているのが第3シードの伊藤竜馬(北日本物産)。念願の初優勝を目指して1回戦で当たるのは、今年4月にプロになったばかりの斉藤貴史(津幡町TA)。6月に昭和の森で開催されたフューチャーズで優勝するなど、プロ1年目としては順調に実力と実績を伸ばしている選手。優勝を目指す伊藤としては気持ち良く勝っておきたい試合だが、逆に斉藤にとっては負けても失うものはなく、思い切ってぶつかっていける相手との試合でもある。初戦というのはどんなレベルの選手や大会でも、最も番狂わせが起きやすい危険なラウンドだ。やはり注目しておきたいカードなのは間違いない。

実力者同士の1回戦となったのは、2度の優勝経験を持つ第2シードの杉田祐一(三菱電機)とダブルスでは4度の優勝を誇るが、シングルスではまだ無冠のベテラン、松井俊英(ライフ・エヌ・ピー)の激突だ。パワフルなサーブ&ボレーを軸とする松井と、スピードあふれるカウンタープレーが武器の杉田の試合は、お互いのプレースタイルが噛み合う分だけ、見ていて面白い展開が期待できる好カード。準々決勝以上でもおかしくない両者の対決が1回戦というのが惜しまれるが、やはり見逃す手はない。

女子では、一時の不調期を抜け、今年のカザンユニバーシアードで金メダルを獲得、WTAランキングも再び上昇させている第4シードの石津幸恵(筑波大学)が、予選を勝ち上がってきた実力者の井上明里(イラコテニスカレッジ)と戦う。強力なフォアと機動力が武器という二人の対決は、やはり興味深い。

他にも男子では1回戦を快勝してきた18歳の西岡良仁(ニックインドアテニスカレッジ)、今季の活躍で約200位もランキングを上げた関口周一(三菱電機)などが登場。女子では昨年優勝の高雄恵利加(北日本物産)が、第3シードで全日本の初タイトルを目指す実力者の瀬間友里加(Club MASA)との2回戦に挑む。

実力者ぞろいの今年の全日本。どれもそれぞれに見どころにあふれた好カードばかり。7つのコート全てで激戦が期待できる。テニス観戦の醍醐味を味わいたい一日だ。

(浅岡隆太)

【11月5日 第3日】

東京・有明に青空が戻り、第88回ニッケ全日本テニス選手権は予定されていた試合をすべて消化した。男子シングルスでは、第2シードの杉田祐一(三菱電機)がベテラン松井俊英(ライフ・エヌ・ピー)の攻撃的なプレーに苦しんだが、辛くも逆転勝ち。第3シードの伊藤竜馬(北日本物産)も初戦を突破した。18歳の西岡良仁(ニックインドアテニスカレッジ)は第8シードの片山翔(イカイ)を3セットで破った。女子シングルスでは、第1シードの瀬間詠里花(Club MASA)がワイルドカード(主催者推薦)の千村夏実(吉田記念テニス研修センター)を下して2回戦に進出。第3シードの瀬間友里加(Club MASA)は、前年優勝の高雄恵利加(北日本物産)を3セットで振り切った。

第2シード杉田祐一、「負ける寸前」からの逆転勝ち

男子シングルス1回戦
杉田祐一
(三菱電機)
3-6
7-5
6-1
松井俊英
(ライフ・エヌ・ピー)

初戦はどんなレベルの大会でも、あるいはどんなトップ選手であっても難しいというが、1回戦から松井と戦うことになった杉田も、「ドローができたときにはまだ前の大会にいて、目の前の試合と、全日本で松井さんと1回戦ということで二重に緊張しました」と話している。

第1セットの杉田は、緊張感からか動きにいつもの切れがなく、第4ゲームではダブルフォールトで松井にブレークを許してしまう。「松井さんのようなサーブ&ボレーヤーに先にブレークを許すのは、取り返しのつかないことになりかねない」と杉田は振り返ったが、結局このブレークが響き、第1セットを松井に奪われた。

第2セットもなかなか杉田のエンジンがかかってこない。先に4-1とリードを広げたものの、続く3ゲームを立て続けに落として松井に追いつかれ4-4とされてしまう。さらに続く第9ゲームの杉田のサービスゲームでは、0-40まで追いつめられた。「負ける寸前でした」と杉田は言葉にしたが、本音だろう。だが、彼はこうも続けている。「崖っぷちから何とか勝てました。こういう大会は、かなりいいところまで行けると思います」。

杉田は、今の自分が全日本において標的にされる選手であり、それを受け止めることが自分の責任でもあるという気持ちの強い選手。「僕もジュニアのときにここでトップの選手たちと試合をできた経験があったから、今の自分がある」と話すのが杉田で、それと同じ経験を、後輩たちにも与えるのが自分の義務と自負している。優勝経験者として負けられないという強い気持ちと、日本のテニスを強くしたいという団体競技の選手のようなマインド。杉田にとっての全日本は、そんな彼の気持ちを刺激する、特別な大会であり続けているという。

ダブルスでは4度のタイトルを持つが、シングルスでは無冠の松井にとっても、1回戦から杉田というのは大きな試練だったに違いない。「松井さんもかなりの思いを持っての今年の大会だったと思います。その意味でも、僕はこの先も絶対に勝っていかなければいけない」と杉田は言う。

そして、ベスト8一番乗りを果たした男子シングルス最年少の18歳、西岡良仁(ニックインドアテニスカレッジ)は初戦突破の段階から、「杉田さんと試合がしたい」と話していたのが、その話を聞かされた杉田もまた、「うれしい。ぜひともやりたいですね」と笑顔で応えていた。

「ベテランから若手まで、色んな人が色んな思いを抱えて出てきている大会」。だからこそ“戦いがい”があるというのが杉田にとっての全日本。彼にとっては理想的な展開になりつつあるとは言えまいか。

(浅岡隆太)

第3シード伊藤竜馬が余裕の発進。新鋭斉藤を振り切る

男子シングルス1回戦
伊藤竜馬
(北日本物産)
7-5
6-4
斉藤貴史
(津幡町TA)

伊藤が終始、試合の主導権を握っていた。ここという場面でストロークにミスが出て、なかなか斉藤のサービスゲームをブレークができず、1、2セットとも終盤に何とか突き放す展開だったが、第3シードの25歳は「初戦は硬くなって変なミスもあったが、(試合を)うまくコントロールできていた」と僅差だったスコア以上に余裕があった。

昨年は世界ランクを60位まで上げたが、今年は思うような成績を残せず、今のランキングは169位。ただ、全日本の前に出場した豪州のチャレンジャーで、今年になって初めて決勝進出を果たした。「全米オープンのあたりからテニスが良くなってきて、気持ちも落ち着いてプレーできるようになった」と伊藤は言う。この日の苦戦も「毎週、ボールやサーフェスが違うし、初戦は硬くなるから」と気にしていない。

全日本は高校3年で初めて出場した06年は2回戦負けだったが、その後は毎回ベスト8以上に進んでいる。決勝にも3度進んだが、まだシングルスのタイトルに届いていない。今年は全日本をパスして、同じ週に韓国で行われているチャレンジャーに出場することも考えた。しかし、「今年は(全日本の)賞金も上がったし、トップ選手の中で全日本を取っていないのは僕だけなので、自分の中のチャレンジとして、どれだけいいプレーをできるか挑戦したい」と、8度目の出場を決断したという。

「2年前の決勝は、本気で取りにいって硬くなった。去年は『世界ランク60位に入ったし、まあいいか』という感じで出て、のらりくらりやっていた」。ここ2年の大会を振り返った伊藤は、「今年は、来年に向けて上げていこうとしているところ(で全日本を迎えた)。一日一日、ベストのプレーをして、ここが良かったとか確認していきたい」と今の気持ちを語った。記者会見の終わりに、「今年は(錦織を除いた)全員が出ているので、その中でタイトルを取れたら、喜びは大きい」と話したのは、もちろんタイトル獲得へのこだわりを忘れていないからだ。

(谷 祐一)

女子シングルス1回戦
瀬間詠里花(Club MASA)
6-3
6-3
千村夏実
(吉田記念テニス研修センター)

第1シードの瀬間詠「この大会は優勝しないと意味がないと思う。でも優勝はまだまだ先なので、一つひとつ頑張るのみ。全米オープンあたりから自分のテニスが良くなっていて、今が一番楽しい」

今年の全日本ジュニア(18歳以下)で優勝、主催者推薦で初出場の千村「世界ランク150位というレベルを改めて思い知らされた。ボール自体は私の方が勝っていた部分もあったと思うが、瀬間さんのフットワークがよくて、ジュニアの試合なら1、2本続ければ決まるショットが、何本打っても決まらない状態だった」

男子シングルス2回戦
西岡良仁
(ニックインドアテニスカレッジ)
6-4
6-7(4)
6-2
片山翔
(イカイ)

18歳、初出場で準々決勝進出の西岡「自分がどれだけアグレッシブに攻めていけるかが鍵となる試合だった。序盤は力んだが、中盤からはリラックスしてプレーできた。今は目標だったベスト4に行きたいという気持ちと、杉田さんと試合がしたいという気持ちが強いです」

【第4日のみどころ】

11年覇者の守屋が復調した三橋と対戦。女子は「94年組」がそろい踏み

男女シングルスは2回戦13試合が5面のコートに入った。一番の注目はセンターコートの第2試合、三橋淳(フリー)と第4シードの守屋宏紀(北日本物産)の男子2回戦だろう。24歳の三橋は一時期、大会を離れていたためランキングを落とし、今回は予選からの出場だが、2009年には持ち味のパワフルなショットを武器に準決勝まで進んだ実力者。1歳下の守屋とはフューチャーズ大会で2度対戦があり、三橋が2勝している。

11年優勝の守屋は2年ぶりの全日本。攻守バランスのいいプレーはパワーと安定感を増して、1回戦ではジュニア時代のライバル、綿貫裕介(ライフ・エヌ・ピー)に快勝している。三橋が得意のフォアでどこまでラリー戦の主導権を握れるか。世界ランクでトップ200に定着した守屋の堅い守備を打ち破るのは簡単ではない。

1番コート第3試合の男子2回戦も面白い。1回戦でベテランの鈴木貴男(イカイ)を圧倒したインカレ3連覇の大学4年、田川翔太(早稲田大)が、今度は第6シードの近藤大生(アイシン精機)に挑戦する。

田川は1回戦で鈴木を相手にパワフルなフォアで何本もウイナーを奪ったが、鈴木と同じようにネットプレーを得意とする近藤を相手に真っ向からストローク勝負を挑む。二人は昨年の全日本では3回戦で当たり、この時は田川が快勝しているが、同じ年のフューチャーズでは近藤がストレート勝ちを収めている。大学卒業後はプロに転向せず、一般企業に就職する田川にはこの全日本が「最後の大会」になる。一方、13回目の出場となる31歳の近藤にはベテランの意地があり、ともに譲れない一戦だ。

今回の女子シングルスでは、世代交代を迫る若手が台頭してきた。その象徴が高校卒業1年目となる94年生まれのプレーヤーたち。代表格の第2シード、尾崎里紗(ロイヤルヒル'81テニスクラブ)は、2番コート第1試合で04年高校総体単複団体3冠の田中真梨(橋本総業)と対戦。また、3番コートの第1試合でも94年生まれの第5シード、穂積絵莉(レック興発)が、昨年までインカレを3連覇した桑田寛子(島津製作所)と当たる。

同じく94年生まれの二宮真琴(橋本総業)は、センターコートの第1試合で第1シードの瀬間詠里花(Club MASA)に挑む。1番コート第2試合は、92年生まれの第4シード、石津幸恵(筑波大)と、94年生まれの日比野菜緒(橋本総業)というフレッシュな一戦になった。

(谷 祐一)

【11月6日 第4日】

第88回ニッケ全日本テニス選手権は男女シングルス2回戦の残り試合を行い、8強が出そろった。男子は第2シードの杉田祐一(三菱電機)、第3シードの伊藤竜馬(北日本物産)らが準々決勝に進んだが、第5シードの関口周一(三菱電機)、第6シードの近藤大生(アイシン精機)は敗れた。女子は第1シードの瀬間詠里花(Club MASA)、第4シードの石津幸恵(筑波大)が順当に勝ち上がったが、第2シードの尾崎里紗(ロイヤルヒル'81テニスクラブ)がノーシードの田中真梨(橋本総業)に敗れる波乱があった。

第4シード守屋宏紀が復活を期す三橋淳に快勝

男子シングルス2回戦
守屋宏紀
(北日本物産)
6-2
6-3
三橋淳
(フリー)

「最近は彼のプレーを見ていなかったが、彼の実力は分かっていたので難しい2回戦だった」と守屋は言う。しかし、試合は守屋がほぼ完璧に支配下に置いたまま、強打の三橋を封じ込んだ。

2008年にベスト8、翌09年にはベスト4に進出し、10年にもベスト8。小柄ながら強烈なショットを持つ三橋にとってのこの全日本は、この数年の低迷からの復活の足がかりをつかむための戦いだった。「テニスに集中したいという気持ちはあるし、毎日トレーニングもしているのでフィジカルには自信がある」という三橋だが、コートでの練習や実戦での調整は十分ではないという。スポンサーも失い、思う存分、競技活動に打ち込める環境にない。それでも予選3試合を勝ち上がり、1回戦では宮崎雅俊(明神水産)との打ち合いを制して守屋戦を迎えていた。

「(今の)彼がどんなテニスをしてくるのか予測がつかなかったが、1回戦を勝ってきている。実力を出せる状態だろうと思っていたので、自分のテニスをしっかりやろうと思っていた」と守屋は試合を振り返っている。第1セットはお互いにサービスゲームをキープして2-2とした後の第5ゲーム以降を連取して6-2で守屋が取った。左右に振り回してラリーの主導権を握り、三橋に目の覚めるような強打を打たれても守屋は「打たれたら仕方ない。下がらず、自分のテンポでプレーするようにした。それが良かった」とまったく動じるところを見せなかった。

三橋は「彼のタイミング、リズムでプレーされた」と言いながら、「今日はアンフォーストエラーが多くなってしまった」と続け、「相手がいいプレーだったと思います」と話している。第2セットでは先にブレークに成功してリードしたのは三橋だったが、第1セットの終わり頃にはすでに左の太ももに違和感を抱えていた三橋は試合の終盤にかけて、十分な体勢で打てる場面が減っていき、第3ゲーム以降の5ゲームを守屋に取られ、最後は6-3で守屋が取った。

「一度取ったとはいえ、何度取ってもうれしいのが全日本」と守屋。余裕とまでは言わないまでも、プレッシャーはなくリラックスしてプレーできているという。2年前より一回り以上大きくなったフィジカルで、力強いテニスを見せる今年の守屋。次の対戦相手はデ杯でダブルスのコンビを組んだ内山靖崇(北日本物産)だ。

(浅岡隆太)

田中真梨が初の8強入り。第2シード尾崎里紗を破る

女子シングルス2回戦
田中真梨
(橋本総業)
6-1
6-4
尾崎里紗
(ロイヤルヒル'81テニスクラブ)

「相手にプレッシャーがあったと思う。試合に入るときから表情が硬かったので、そこを突いていこうと思った」と田中が話した。尾崎は「緊張感というより、ミスしたくないというのが先行して弱気なプレーが増えてしまった」と振り返った。威力に欠けた尾崎のボールを、フォア、バックとも両手打ちの田中が攻め立てて、ポイントを積み重ねた。

尾崎にもチャンスはあった。第2セットは尾崎が先にブレークして3-1。第5ゲームの田中のサーブで2度、ブレークポイントを握ったが、あと1ポイントを奪えなかった。「あそこでブレークされれば相手に余裕を持たれたと思うが、そこで(ゲームを)取れたので、リセットして攻める気持ちになれた」と田中。続く第6ゲームでブレークバックすると、第10ゲームではミスを連発する尾崎からこのセット2回目のブレークを果たして、全日本で初めてのベスト8進出を決めた。

「(8強進出は)びっくりです。でも、うれしい」と、田中が素直に喜びを表した。「もちろん優勝を目指している。一戦一戦チャレンジしていくだけです」。今回が11回目の出場となる26歳からは前向きな言葉が続いた。

優勝を狙っていた第2シードは、予想外の2回戦敗退に口も重かった。「私のプレーが悪かった。弱気になった面もあり、田中さんが前に入って積極的なプレーをしてきた。気持ちの持ち方、技術面、精神的な部分も含めて私の方が劣っていた」「全日本の独特の緊張感の中で、自分の思っているテニスができなかった」。記者会見では、19歳から涙がこぼれ落ちた。

(谷 祐一)

女子シングルス2回戦
石津幸恵
(筑波大)
6-3
6-4
日比野菜緒
(橋本総業)

1、2セットとも日比野に先にブレークを許す展開だったが、「彼女はうまい選手なので、リードされるのはしょうがない」と石津は慌てなかった。「焦らず、力まず、リラックスしてできた」。連戦の疲れからサーブで右肩に痛みが出たため、第1セット第3ゲームの後、トレーナーを呼んだ。「テーピングをしてもらったら、うそみたいに痛みが消えました。試合前からテーピングをしておけ、という話ですね」。

ラリー戦で緩急をつけてくる日比野のプレーにもうまく対応して、逆転につなげた。昨年は欠場していて、11年に続く準々決勝進出。前回は優勝した藤原里華(北日本物産)にフルセットで逆転負けした。「2年前も優勝を目指していたが、気持ちの余裕は今年の方があるかな」。第4シードの目はしっかりタイトルを見据えている。

男子シングルス2回戦
田川翔太
(早稲田大)
6-3
4-6
6-3
近藤大生
(アイシン精機)

大学卒業後は一般企業に就職するため、この全日本を「最後の大会」と位置づける田川「(第3セット第1ゲームで)ブレークされた時は、大学の4年間の苦しい練習を思い出して自分を奮い立たせた」と、直後の第2ゲームから4ゲームを連取して逆転につなげた。

順当なら準々決勝で第1シードの添田豪(空旅ドットコム)と当たるドローだったが、その第1シードは棄権した。「(準々決勝で当たる井藤は)やってみないと分からない選手」と言いながらも、「最後は勝って、(準決勝で伊藤)竜馬君とセンターコートでやりたい」。最後の大会にかける思いは並み居るプロ選手に負けていない。

女子シングルス2回戦
穂積絵莉
(レック興発)
6-2
6-1
桑田寛子
(島津製作所)

2回目の出場で初のベスト8進出を果たした穂積絵莉「コーチと立てた作戦がうまくいき、自分もいいプレーができたので、あのスコアになった。ベスト8はうれしいけど、目標は優勝なので、これから一つでも多く勝てるように頑張りたい。プレッシャーはない。94年生まれでトップを走ってきた尾崎(里紗)さんと違って、私はプレッシャーがかかる立場にいないと思っているので、一戦一戦、チャレンジャーとしてやるだけです」

【第5日のみどころ】

第1シード瀬間詠に挑む19歳穂積。男子では18歳の西岡が第2シード杉田に挑戦

女子シングルスはこの日、ベスト4が出そろう。ベスト8の顔ぶれは誰が勝っても全日本のシングルスは初タイトル。誰もが「一度は勝ちたい」と話す優勝が、現実のものとして近づく準々決勝以上のラウンドでは、ここまでとはまた違ったプレッシャーが選手を襲う可能性もある。

第1シードの瀬間詠里花(Club MASA)は、この数年は目の色を変えて全日本に挑んできているが、昨年は準決勝で敗れ、一昨年は準優勝。今年こそという思いは誰よりも強いだろう。彼女の相手は穂積絵莉(レック興発)。年初は400位台だった世界ランキングを今季だけで200番近く上げた、上り調子の19歳。「瀬間(詠里花)さんとは初対戦だが、気持ちの強い選手。気持ちで負けず戦いたい。コンディションもいいので、自分のテニスを出しきるだけです」と穂積は話している。タイプ的にもアグレッシブなストローカー同士。激しい打ち合いが期待できそうな顔合わせだ。

今西美晴(島津製作所)と瀬間友里加(Club MASA)はしっかりと組み立てながら、相手の隙を突くのが持ち味。駆け引きの妙味を味わえそうな対戦だ。石津幸恵(筑波大学)と波形純理(北日本物産)はともにフォアハンドが武器の攻撃型ストローカー。ラリーの主導権争いがまずは最初のキーとなるはず。また、江口実沙(北日本物産)と田中真梨(橋本総業)は攻めの江口とカウンターの田中という顔合わせで、お互いの持ち味が出せる展開になるか、あるいはどちらが相手を封じ込むかが注目ポイントとなるだろう。

男子シングルス準々決勝は2カードを第5日に行う。大会屈指の強打者、田川翔太(早稲田大学)はビッグサーブが武器の井藤祐一(ライフ・エヌ・ピー)と対戦。インカレを3連覇し、全日本も今回で3年続けてのベスト8以上となっている田川は、大学卒業後は一般企業への就職の道を選んだ。今大会が選手としては最後の舞台で、自分の全てを出し切る気持ちで戦ってきている。

第2シードの杉田祐一(三菱電機)は男子シングルス最年少の18歳、西岡良仁(ニックインドアテニスカレッジ)の挑戦を受ける。「杉田さんと戦いたい」と話していたのが西岡で、念願かなっての対戦だ。また、若手と戦うのが全日本に出場し続けている理由の一つと語る杉田も、西岡との対戦を楽しみと話していた。お互いに機動力とポジショニングが勝敗の鍵を握るスピードタイプのプレーヤー。この二人ならではの高速バトルを楽しみたい。

(浅岡隆太)

【11月7日 第5日】

後半戦を迎えた第88回ニッケ全日本テニス選手権。第5日は男子シングルス準々決勝の2試合、女子シングルス準々決勝の4試合を行い、女子は4強が出そろった。男子は第2シードの杉田祐一(三菱電機)がノーシードの18歳、西岡良仁(ニックインドアテニスカレッジ)に敗れる波乱があった。女子も波乱が相次いだ。第1シードの瀬間詠里花(Club MASA)が第5シードの穂積絵莉(レック興発)に、第3シードの瀬間友里加(Club MASA)は第7シードの今西美晴(島津製作所)に敗れた。第4シードの石津幸恵(筑波大)とノーシードの江口実沙(北日本物産)は準決勝進出を決めた。男女ともシングルス上位2シードが大会を去ったため、一気に混戦模様となった。

初出場の18歳西岡良仁が、前年王者の杉田祐一に快勝

男子シングルス準々決勝
西岡良仁
(ニックインドアテニスカレッジ)
6-4
6-4
杉田祐一
(三菱電機)

試合内容から言えば、西岡の追いつめられても深く高い軌道のボールでイーブンに戻してくる守備力を、杉田が攻略し切れなかった結果と言っていい。西岡が何か特別なプレーをして勝ったというより、西岡らしいプレーできっちりと杉田に勝ったという試合だった。

「予想以上にしつこく、メリハリがあるプレーをしていたし、10代とは思えないぐらい安定していた」と杉田。杉田はタイミングを早めて次々と相手のコートに鋭いボールを返して追い込んでいく、彼らしいプレーを見せていたが、西岡は高いボールへの集中力と鋭いステップワークを駆使して杉田のボールを返し続けていた。

「序盤から走らされたが、食らいついて攻められた。ディフェンスとオフェンスのメリハリがつけられた試合だった」と西岡は振り返る。「あれだけタイミングの早い選手相手にミスらず、ずっとボールを入れ続けられたのが相手へのプレッシャーにできたんじゃないかと思います」

やや大げさだが、ラファエル・ナダルやノバク・ジョコビッチが相手のボールの全てに対応しながら攻め手を奪い、相手に無理を強いてフィジカルとメンタルを追い込んでいく戦い方を、この日の西岡は見せたと言えば、試合を見ていなかったファンにも理解していただけるのではなかろうか。

第1セット第3ゲームで西岡は杉田のサービスゲームをブレークしたのだが、最初の2ゲームで西岡が見せた守備力を崩そうと、杉田がライン際を攻め過ぎたのがこのゲームをブレークされた原因だった。そしてこの構図は試合の後半にかけてもずっと続いていく。杉田は常に西岡にリスクを押し付けられ、西岡はその分だけフリーハンドを得た。

第2セットの第4ゲームでの長いデュースで握ったブレークポイントを杉田が取り切れなかったこと、第6ゲームでブレークした直後に、西岡にすぐにブレークバックを許したことなども含め、試合の流れが相手に行ってしまいそうな場面で踏ん張った西岡のプレーが賞賛されるべき試合だった。

今大会の目標だった「ベスト4」と「杉田と戦うこと」の両方を達成した西岡。「ここまで来たらあとは1試合ずつ全力で」と言いながら、「ここまで来たんやなあと思います。今日みたいないいプレーができたら、強い人にも勝って成績が出せるとわかった」と話した。この年代の選手は1試合ごとに強くなる。最終日に天皇杯を掲げているのが彼だとしても、今や意外とは言えなくなってきた。

(浅岡隆太)

19歳穂積絵莉が強打で第1シード瀬間詠里花を圧倒

女子シングルス準々決勝
穂積絵莉
(レック興発)
6-1
6-2
瀬間詠里花
(Club MASA)

世界ランク218位とこの1年で200番近くランキングを上げてきた穂積。強打の応酬で接戦が予想されたが、始まってみれば19歳の勢いが3年連続で第1シードに入った世界180位の瀬間詠を圧倒した。

「ジュニア時代はプレーが粗かったが、最近は打ってもミスが減って、ゲームメークしやすくなった」と穂積は自分のプレーを分析する。以前は「(強打を)打たないとやられてしまう」という思いがあった。それが「どれくらいのスピード、回転で打てば攻められないか分かってきたから、ラリーの中で緩急をつけられるようになった」。

その緩急をつけた強打が冴えた。得意のフォアに加えて、「自分でもびっくりするくらいバックが入りました」というバックハンドの強打で瀬間詠を走らせ、ウイナーを奪った。「瀬間さんがしつこいのは分かっていたので、ほかの選手より1本多く返ってきても、落ち着いて攻めることができた」。第1セット第3ゲームから10ゲームを連取して、試合を決定づけた。

「今日は相手がどうこうでなく、自分のプレーを120%出せたので満足してます」。試合後の記者会見で穂積が声を弾ませた。「全日本は今年取りたい。10代のうちに優勝したい」。同じ94年生まれのトップを走る第2シードの尾崎里紗(ロイヤルヒル'81テニスクラブ)は、大会のプレッシャーから2回戦で沈んだが、穂積は「プレッシャーはないです。次もプレッシャーなしにできると思います」と言い切った。

(谷 祐一)

今西美晴が昨年の準々決勝敗退の悔しさを乗り越え、初の4強

女子シングルス準々決勝
今西美晴
(島津製作所)
6-0
7-5
瀬間友里加
(Club MASA)

今西は昨年の準々決勝で、山外涼月(橋本総業)を相手にマッチポイントを握りながら逆転負けしていた。だから、「今年は絶対に負けないという気持ちでやった」と言う。

第1セットは今西がラリー戦で主導権を握り、ときおりネットに出てボレーを決める会心のプレーで6ゲームを連取した。第2セットも第1ゲームで瀬間友のサーブをブレーク、続くゲームもキープして2-0としたあたりから、攻撃的なプレーが影を潜めた。「リードした時に、ポイントが取りたいという思いが強すぎて、攻めていけなくなった」。

相手のミスを待つようなラリーを続けるうちに、第3シードが生き返った。開き直った瀬間友が、スピンの効いたフォアで今西を振り回しポイントを奪う。第6ゲームではブレークバックを許し、今西には嫌な展開だったが、ここから攻めの気持ちを取り戻した。ラリー戦では先に展開し、ネット勝負にも出た。最後は長いラリーの末に瀬間友のフォアがサイドアウトして、初めての準決勝進出が決まった。

京都外大西高を出て3年目。「プロになるなら実力をつけてから」と、島津製作所で仕事をしながらプレーしていた。それが昨年の全日本でベスト8に入り、今春の島津全日本室内選手権で優勝して、4月にプロ転向した。今は竹内映二・元デ杯監督の指導を受けて、テニス漬けの毎日。6月にはウズベキスタンの2万5000ドルの大会で優勝するなどして、世界ランクは昨年末の459位から292位までジャンプアップさせた。

「全日本の優勝を目指して、1年間やってきた。プロとして優勝したい」と今西は言う。タイトルの先には、全日本優勝をステップに、ツアー大会に挑戦していった奈良くるみ(大阪産業大学)、土居美咲(ミキハウス)という一つ年上の先輩プロの背中が見えている。

(谷 祐一)

田川翔太のフォアの豪打が炸裂。2年ぶりの4強入り

男子シングルス準々決勝
田川翔太
(早稲田大)
6-4
6-3
井藤祐一
(ライフ・エヌ・ピー)

高校時代まではダブルスの選手というイメージだったのが、早稲田大に入ってシングルスでも実力を伸ばし、インカレを3連覇したのが田川だ。全日本でもこの3年はベスト4、ベスト8ときて再びベスト4。強烈なフォハンドを武器とし、基本的には全てフォアで打とうとするため、相手からすればバックを突きたくなるが、田川の打つフォアをバックにコントロールするのは並大抵のことではない。「攻撃は最大の防御」を体現しているのが田川のテニスだ。

「前はバックハンドはスライスだけで、相手にバックに打たれてネットに出てこられたら終わりでしたが、すごく練習して今はバックでも展開できるようになった。この2年ですごく成長した部分です」と田川は言う。

以前はフォアしかなかったから回り込んでいたのが、今はバックも打てるが、あえて得意のフォアを使って攻める。形は同じでも中身が変わる。今のコート上の田川は堂々としているように見えるし、攻撃に迷いがない。

井藤も持ち前の強力なサーブにネットプレーをからめ、ストロークでも正面からの打ち合いを挑んだが、第1セットは一度、第2セットは最後のゲームを含めて2度のブレークを許し、田川が勝ちをもぎ取った。選手としての活動は、大学で終わりという田川の「最後の試合」はまた先に伸びた。

(浅岡隆太)

女子シングルス準々決勝
石津幸恵
(筑波大)
6-2
6-3
波形純理
(北日本物産)

初のベスト4進出の石津「今年の久留米のITF大会で負けているので、集中力を高めて臨んだ。負けた時はバックハンドを狙われてミスしていたので、バックを何とか入れてフォアで攻める展開を考えていたが、うまくバックを返すことができた。ベスト4はうれしいけれど、第4シードなので、まずまずです。1回戦では硬さがあったが、2回戦からは楽しんでやることを心がけています」

女子シングルス準々決勝
江口実沙
(北日本物産)
7-5
2-6
6-3
田中真梨
(橋本総業)

ノーシードでベスト4に勝ち上がった江口「ここ1、2年は調子が良くなかったので、やれることだけやろうと考えて全日本に来た。それができているので、ベスト4まで来られた。もっと頑張って優勝したい」

【第6日のみどころ】

石津、穂積、今西、江口。女子の準決勝以降は90年代生まれの対決に

女子シングルスはいよいよ大詰めの準決勝。ベスト4に残ったのは1992年生まれの石津幸恵(筑波大)、今西美晴(島津製作所)、江口実沙(北日本物産)と94年生まれの穂積絵莉(レック興発)というフレッシュな顔ぶれになった。

センターコート第1試合は、第4シードの石津と第5シードの穂積の対戦。ジュニア時代には年上の石津が2連勝しているが、今年のITF軽井沢国際女子では穂積が6-2、6-1で快勝している。フォアハンドを得意とするストローカー同士なので、激しいラリー戦が展開されるのは必至。この大会の穂積は、強打で押し込まれると、スピンの効いたムーンボールを織りまぜて、相手攻撃をしのぎながら反撃につなげる守備の堅さも見せている。軽快な動きからフォアで攻め込んでいく石津の強打が、穂積の守備をどこまで崩せるかもカギになる。

第2試合の今西と江口は、同い年とあってジュニアの時から対戦を重ねてきた。07年の全国選抜ジュニアでの初対戦から10年の全日本ジュニア18歳以下まで、ジュニア時代は7回対戦して今西が4勝3敗と勝ち越しているが、昨年の日本リーグ決勝トーナメントでは江口が競り勝って、通算成績は4勝4敗と星を分け合っている。動きのいい今西は相手強打を粘り強く返し、チャンスではネットに出るアグレッシブなプレーで勝ち上がってきた。攻めが身上の江口も攻撃的なプレーに活路を見いだしたい。ともにミスは避けたいが、弱気になって守勢に入った方が苦しくなる。

第3試合からは男子シングルス準々決勝。第4シードの守屋宏紀(北日本物産)と第7シードの内山靖崇(北日本物産)はデ杯代表対決になる。11年大会優勝の守屋は、ストロークに安定感を増して、プレー全体がパワーアップしている。得意な形にはまった時の内山の攻撃力には目を見張るものがあるだけに、内山がサーブとフォアで守屋の守備を打ち破ることができるかがポイントになる。第4試合では、第3シードの伊藤竜馬(北日本物産)にノーシードで勝ち上がった07年、08年インカレ王者の吉備雄也(ノア・インドアステージ)が挑戦する。

全日本優勝2回の高雄恵利加が引退を表明

2006年、12年の女子シングルスで優勝した高雄恵里加(北日本物産)が8日のミックスダブルス1回戦で敗れた後、現役から引退する考えを表明した。87年10月生まれの高雄は、02年全日本ジュニア16歳以下で優勝、03年は18歳以下で準優勝して、05年2月にプロ転向した。07年にはフェドカップ代表も務めた。世界ランクの最高位は06年の126位。

高雄「自分が一番輝いた全日本で引退することにした。プロになって8年経つが、初めから長くやろうというのはなかった。去年の全日本を取って、やり切った感が出てしまい、今年に入って引退を考えた。世界ランクで100位以内に入るのはすごく大変なことなんだと思い、この体でどこまでできるのかと考えた。大きなケガもなくやっていたので、(引退は)気持ちの問題です。これから何をするかは決めていないが、若いうちに何かほかのことをやりたいという気持ちがある」

【11月8日 第6日】

第88回ニッケ全日本テニス選手権は女子シングルス準決勝2試合、男子シングルス準々決勝の残り2試合などを行い、女子は第5シードの穂積絵莉(レック興発)と第7シードの今西美晴(島津製作所)が決勝進出を決めた。穂積は第4シードの石津幸恵(筑波大)に快勝。今西はノーシードの江口実沙(北日本物産)に逆転勝ちした。男子は第3シードの伊藤竜馬(北日本物産)が苦しみながらもノーシードの吉備雄也(ノア・インドアステージ)を振り切り、第4シードの守屋宏紀(北日本物産)はデ杯代表同士の対戦で第7シードの内山靖崇(北日本物産)をストレートで下し、ともに4強入りを決めた。男子ダブルスでは片山翔(イカイ)、佐藤文平(ライフ・エヌ・ピー)組が決勝進出を決めた。女子ダブルスでは二宮真琴(橋本総業)、穂積組が決勝に進んだ。

穂積がラリーを支配。石津は自分のプレーができず

女子シングルス準決勝
穂積絵莉
(レック興発)
6-3
6-2
石津幸恵
(筑波大)

準々決勝後の記者会見では「プレッシャーはないです」と話していた穂積だが、準決勝の立ち上がりはさすがに硬かった。緊張からフォア、バックともミスが出て、なかなかリズムをつかめなかった。第3ゲームで先にブレークしても、直後の第4ゲームでフォアのミスを連発して、簡単にブレークバックを許した。

ただ、第5ゲームの石津のサーブでデュースに持ち込み、前日に当たりまくったバックハンドでショートクロスにウイナーを奪ったあたりから、本来のプレーが戻ってきた。「最初は硬かったけど、やっているうちにほぐれてきた」。このゲームで2度目のブレークを果たすと、第9ゲームでもブレークして、「相手はハードヒッターなので、競り合いになると思っていた」という試合の第1セットを簡単に先取した。

「石津さんは、パン、パン、パンというリズムで打ちたいだろうから」と緩いボールを混ぜてラリーのテンポを変え、相手バックにスピンの弾むボールを送ってミスも誘った。第2セットも第1ゲームで2本のサービスエースを決め、ラブゲームでキープして試合の流れをつかむと、このセットも3度相手サーブを破って、穂積が1時間6分で決着をつけて決勝進出を決めた。

試合後の石津は「楽しくプレーできたらと思っていたが、体は正直で、足が動いていなかった。フォアも振りきることができなかった」と振り返った。単発でいいショットは出たが、穂積に粘って返球されると、ミスが出た。サーブもファーストサーブが入らず、ダブルフォールトは6本を数えた。

今年5月の試合では穂積から3ゲームしか奪えずに敗れていた。「リベンジの試合なのでプレッシャーを感じる方ではないはずなのに、シードが上(石津が第4、穂積は第5シード)なのでプレッシャーを感じてしまったのかもしれない」。今回も5ゲームしか取れず、2試合連続のストレート負けに、石津は「悔しいのが正直なところだけど、彼女がいいプレーをしていたので仕方がない」と淡々と話した。

19歳の穂積はここまで、「目標は優勝」「10代のうちに(タイトルを)取りたい」と話してきたが、初めての決勝進出が現実になると、「びっくりです。今年から32ドローになって1回戦からタフな試合だったので、(決勝進出は)相当、びっくりです」と「びっくり」を繰り返した。「優勝したいですが、(決勝では)自分のプレーを出し切るのが目標。ここまで来たからには全力でぶつかります」。09年の奈良くるみ(大阪産業大学)、10年の土居美咲(ミキハウス)に続く10代での優勝まで、穂積があと1勝と迫った。

(谷 祐一)

今西が第2セット3-5の土俵際から挽回、江口に逆転勝ち

女子シングルス準決勝
今西美晴
(島津製作所)
3-6
7-6(3)
6-3
江口実沙
(北日本物産)

昨年、準々決勝で山外涼月(橋本総業)にフルセットで敗れたことが、今西にとっては糧となったらしい。「何本もマッチポイントがあったのに負けてしまった」と彼女は今大会中にも繰り返していた。「今年1年、全日本で勝つことを目標として頑張ってきた」と準決勝後の今西は話している。

2回戦の田中優季(メディカルラボ)戦もフルセットの大接戦で、この準決勝も逆転での勝利。第2セットも先に5-3としたのは江口の方で、5-4から江口のサービング・フォー・マッチもあった。しかし、「最後まで攻め切ろうと思っていた」と今西は言う。勝利を目の前にして焦りが見え始めた江口に対して、今西はしっかりと拾って返し、甘いボールは前に踏み込んでライジングでたたき、ポイントを奪った。第2セットをタイブレークに持ち込んで取り返した今西は、第3セットに入ってさらに運動量を上げて江口を振り切った。

身長173センチと、日本女子としては体格に恵まれたパワーヒッターの江口と162センチの今西は同年代。「昔からずっとやってきているので、お互いのことはよくわかっている」という今西の言葉通り、ジュニア時代の戦績は4勝3敗で今西が勝ち越し、一般での対戦は今回が二度目、これで1勝1敗となった。

江口は小柄な今西に対して高く弾むループボールを多用して追い込む場面を多く作っていたが、これは攻撃的なボールで押し切る江口の本来のプレーとはやや違うやり方。あくまでも自分のスタイルを貫いた今西に対して、自分の形を崩さざるをえなかった江口。メンタル面でどちらが優位に立てていたかとなれば、今西だったのだろう。

今春、プロに転向したばかりの今西にとっては、全日本のタイトルは今後の選手生活には大きなステップとなる。「相手より早いタイミングで取って、かつ、自分の力で打っていく。そして、先に仕掛けてネットへ」というのが今西の理想とするテニス。初タイトルまであと一つだ。

(浅岡隆太)

吉備のフラットに押されていた伊藤が粘りのテニスに切り替え、逆転勝ち

男子シングルス準々決勝
伊藤竜馬
(北日本物産)
7-6(7)
6-4
吉備雄也
(ノア・インドアステージ)

「吉備選手が調子いいのは分かっていたので、タフな試合になると予想していた」という伊藤だが、フラット系の強打をビシビシ打ち込んでくる相手の攻撃は想像以上だった。第5ゲームまでに2度サーブを破られ、1-4。「出だしから150%で飛ばしてきて、途中まで手がつけられなかった」。

吉備のショットに押されて、それまでラリー戦で打ち勝とうと思っていた伊藤が、山なりの緩いボールを入れて「とにかく粘ってミスをさせる」プレーに切り替えた。そこから吉備にミスが出だして、伊藤が何とか息を吹き返した。タイブレークでは相手にセットポイントが2度あったが、硬くなった吉備のミスに助けられた。第1セットを先取すると、第2セットも終盤に逆転する展開で、2歳年上のインカレ王者を下した。

苦戦の理由はフラット系の低い弾道で飛んでくる吉備のショットへの戸惑いだ。「今の時代のボールじゃない。海外の選手はスピンボールが主体だが、吉備選手はフォアもバックもフラット系で打ってくる。サーブもいいし、リターンでも、セカンドサーブではフォアに回り込んでプレッシャーをかけてきた」と伊藤は言う。

吉備の勢いに押されて、「(相手にミスをさせる粘りのプレーに切り替えて)それでもダメだったら、今日はついてない(ということ)」と諦めの気持ちも頭をよぎった。だからこそ、伊藤は「この勝ちは大きい」と力を込めた。2年続けて決勝で敗れた伊藤が、初優勝への大きな関門を突破したのかもしれない。

(谷 祐一)

デ杯代表対決は守屋が終始、主導権を握り、内山を破る

男子シングルス準々決勝
守屋宏紀
(北日本物産)
6-2
6-4
内山靖崇
(北日本物産)

23歳の守屋と21歳の内山というデ杯代表対決。ストローク力と安定性では守屋が上回るだけに、内山の勝ちパターンは、強力なサーブでキープを続けて、ワンチャンスを見つけて守屋のサーブを破ること、だったはず。それが守屋に先行を許しては、内山は苦しい。

第1セットは第1ゲームでのブレーク。30-30からフォアハンドを連続でミスしてしまった。このセットは第7ゲームでもラブゲームでブレークされた。ファーストサーブの確率は71%と高かったが、ファーストが入った15回でポイントを取れたのは6回だけ。「セカンドサーブになったら劣勢になるので、ファーストは思い切りいけなかった部分もあった」。

第2セットは第5ゲームでサーブを破られたが、直後の第6ゲームでブレークバック。しかし、第9ゲームでは3度目のデュースの末、最後はダブルフォールトでサーブを落とし、突き放された。「相手に気持ちよくプレーさせないようにしたかった。そういう時間帯もあったが、それが短かった」と内山は話した。

ネットの反対側の守屋は、「(内山の)思い切りのいいテニスが出てくると思ったので、走って粘るつもりだった」。それが「思ったよりもボールが伸びてこなかったので、より攻撃できた」。試合の主導権を握り、ラリーで内山を振り回し、時にネットに出てボレーで決めた。試合時間1時間15分の快勝だった。

守屋は11年に優勝、昨年は出場していないので、全日本のシングルスではこれで8連勝。次は第2シードの杉田祐一(三菱電機)を破って勝ち上がった18歳の西岡良仁(ニックインドアテニスカレッジ)になる。「彼はいいテニスをしているが、自分はいつもの準備をして、頑張るだけ」。メンタル面の強さには定評のある守屋が、自然体で臨んでいる。

(谷 祐一)

【第7日のみどころ】

強気のフォアの穂積と、堅い守りから前に入って攻める今西が決勝で激突

いよいよ女子シングルスは決勝を迎える。第5シードの穂積絵莉(レック興発)と第7シードの今西美晴(島津製作所)の顔合わせとなった。どちらが勝っても初優勝。さらに穂積が優勝すれば、2010年の土居美咲(ミキハウス)以来の10代選手の優勝となる。

「10代のうちに優勝したい」と大会中に穂積は繰り返し、ここまでの勝ち上がりの中で自信も育てているようだ。決勝に向けても「大勢の観客の前で自分のプレーを出し切るのが課題です」と言いながら、決勝進出した自分には「びっくりしています」と正直で、「ここまで来たからには全力でぶつかっていきます」と明るく話した。

対する今西は今春、プロ転向。それまでは社会人選手として仕事と両立させていたが、テニスに専念するようになった今季、急速に実績を伸ばした。「相手が誰でも自分のプレーができれば勝てる、という自信を持ってやります」と今西。競った展開でも、冷静に自分の形であるテンポの早いテニスを崩さないのが今西の強さ。たとえ相手にリードされている状況でも、彼女の試合はマッチポイントが決まるまでは分からないと言える底力の持ち主だ。

強気のフォアが武器の穂積と、粘り強く守りながら、早いテンポのストロークから前に入っていく今西のマッチアップは、一方的な流れにはなりにくいはず。両者に流れが行き来しつつ、最後のポイントをどちらが取るかという展開となるだろう。決勝にふさわしい熱戦を期待しよう。

男子は準決勝。デ杯代表の二人に、生きのいい二人が挑戦する形となった。第4シードの守屋宏紀(北日本物産)と戦うのは、今大会の波乱の主である18歳の西岡良仁(ニックインドアテニスカレッジ)。第3シードの伊藤竜馬(北日本物産)に挑むのが、今大会を選手生活の締めくくりと全力で戦うインカレ3連覇の田川翔太(早稲田大学)だ。

守屋は昨秋の慶応チャレンジャーで西岡と対戦し、西岡に計2ゲームしか許さず勝利しているが、今大会の西岡は準々決勝で第2シードの杉田祐一(三菱電機)を完璧な形で破るなど、1年前とは別人と考えたほうがいい。もちろん、守屋も「いいテニスをしてくるだろうと思っている」と表情を引き締め、油断は見られない。対する西岡は「1年前と比べて自分がどれだけ成長したのか試したい」と話し、守屋戦を楽しみにしている。引き出しの多い選手同士の対戦だけに、面白い試合が期待できるだろう。

念願の全日本の初タイトルが懸かるのが伊藤だが、田川も相当の覚悟を持って挑みかかるだろう。お互いに強打が武器。激しい打ち合いが期待できる一方で、今の伊藤はあえて相手に打たせながら隙を突くふところの深さも身につけつつある。

(浅岡隆太)

【11月9日 第7日】

第88回ニッケ全日本テニス選手権はいよいよクライマックス。女子シングルス決勝では第5シードの19歳、穂積絵莉(レック興発)が第7シードの今西美晴(島津製作所)を6-4、4-6、6-4で下し、初優勝を飾った。10代選手の優勝は2010年の土居美咲(ミキハウス)以来。男子シングルス準決勝では、快進撃を続けるノーシードの18歳、西岡良仁(ニックインドアテニスカレッジ)が、この日も第4シードの守屋宏紀(北日本物産)を破る殊勲。田川翔太(早稲田大)を破った第3シードの伊藤竜馬(北日本物産)と決勝で対戦する。10代選手の決勝進出は1989年の谷沢英彦(SSC=当時)以来となる。伊藤は3年連続4度目の決勝進出。女子ダブルスでは青山修子(近藤乳業)、波形純理(北日本物産)組が決勝に進んだ。

19歳の穂積絵莉、「10代で初優勝」の念願をかなえる

女子シングルス決勝
穂積絵莉
(レック興発)
6-4
4-6
6-4
今西美晴
(島津製作所)

国内最高のタイトルが懸かった一戦で、19歳に硬くなるなというのは無理な注文だろう。第1セット、今西のサーブを破ったが、直後の第2ゲームでは40-0からダブルフォールト2本を犯すなどミスが出てブレークバックを許した。穂積のプレーは快調に勝ち上がった準決勝までとは明らかに違っていた。

緊張から硬くなってミスが出て、1、2セットはブレーク合戦だった。第1セットを何とか取ったが、第2セットは今西のショットに押された。準決勝で今西のフォアにミスが多かったのを見て、穂積は相手フォアを攻めていったが、「フォアにミスがなくて、あせってしまった」。第2セットでは思うような展開でポイントを奪うことができなくなって、「ポイントの取り方が分からなくなった」と言う。

ただ、第2セット2-5から開き直って強打を放ち、ネットを取って、2ゲームを取り返した。「こうすればポイントが取れると分かった」。最終セットでは攻めのプレーを取り戻すことができた。3-3からの第7ゲームでブレークすると、このリードを守って、5-4からの第10ゲームでマッチポイントを握った。マッチポイントを2度逃し、3度目で今西がリターンをサイドアウトしてようやく決まる接戦だった。「(この大会で)一番よくない試合だった。今日は負けたくないと思って、1、2セットは受け身になってしまったが、最後は気持ちでもっていった」と気迫でつかみ取った優勝だった。

勝ち上がるたびに、「10代で優勝したい」と言ってきた。10代で全日本のタイトルを獲得して、世界の舞台に羽ばたいた2学年上の奈良くるみ(大阪産業大学)と土居美咲(ミキハウス)に続きたいという思いがあるからだ。同じ94年生まれでは、尾崎里紗(ロイヤルヒル'81テニスクラブ)がトップを走っていたが、穂積が先に全日本のタイトルを取った。「いい意味で期待を裏切れることができた」。

次の目標は来年の全豪オープン予選に出場すること。世界218位というランキングは、予選のボーダーラインに届かない可能性が高い。「この結果に満足せずに、上を目指したい」と話した穂積は、ランキングポイントの上積みを狙って、休む間もなく、10日にはITF1万5000ドルの大会に出場するためタイに出発する。

(谷 祐一)

準優勝の今西「最初から自分のテニスができれば勝てると思っていた。ファイナルセットは、勝ちたいという思いと、攻めようという気持ちの迷いがあったのかなと思う」



西岡の快進撃が続く。一昨年の優勝者守屋も下し、決勝進出

男子シングルス準決勝
西岡良仁
(ニックインドアテニスカレッジ)
6-2
3-6
6-2
守屋宏紀
(北日本物産)

西岡の快進撃が止まらない。準々決勝で当たった前年優勝の杉田祐一(三菱電機)に続き、この準決勝では一昨年の優勝者の守屋も倒し、1989年の谷沢英彦(SSC=当時)以来となる10代での決勝進出を果たした。

第1セットの第1ゲームでいきなり守屋のサービスを破った西岡は、第5ゲームでもブレークに成功し、あっという間に5-1とリードを広げて試合の流れを握った。「彼が思い切ったプレーをしてきて、思ったような展開にできない時間帯が長くなってしまった」と守屋は振り返っている。守屋は昨年の慶応チャレンジャーで西岡を6-2、6-0で破っていたが、今大会の西岡の戦いぶりを見て「まったく別のものになるだろう」と覚悟してコートに立ち、そして敗れた。「彼には18歳で準決勝まで来た勢いがある。失うものがないというプレーをしてきた彼に対し、自分のテニスができなかった」。守屋は悔しさをにじませつつも、淡々と話した。

第2セットに入ってやや守備的になった西岡の隙を見逃さず、守屋は攻勢に出た。5-2とリードを広げ、そのまま6-3で押し切って試合をイーブンに戻すと、第3セット最初のゲームでも西岡のサービスゲームを破った。「ヤバいなとは思いました」と西岡。しかし、「プレッシャーも感じていなかったし、思い切りよくプレーしたらチャンスが来た。そこをちゃんと取れたので、競った状況にならなかったと思う」と西岡は続けた。

流れは守屋にあるように見えた場面だったが、この時点でプレッシャーを感じていたのは守屋の方だった。「ブレークできたが、相手のミスで取れていたようなもので、次のサービスゲームで自分が取り急ぎ、ブレークバックされたことで相手に勢いをつけさせてしまった」と守屋は話す。守屋が際どいコースに打ってもボールに追いつき、展開をイーブンに戻す西岡に対し、守屋はより厳しいところを狙わされていた。第3ゲームでもミスを重ねた守屋の焦りは明らかで、第4ゲームでも西岡にブレークを許して4-1とされてしまう。試合の大勢はこの時点でほぼ決してしまった雰囲気だった。

「今大会の目標は杉田さんと戦って勝つことだった」と言いながら、「ここまで来たら優勝を狙っていきたい」。18歳のチャンピオンが誕生するまで、あとひとつだ。

(浅岡隆太)

田川のフォアを我慢のテニスでしのいだ伊藤が決勝進出

男子シングルス準決勝
伊藤竜馬
(北日本物産)
7-5
6-3
田川翔太
(早稲田大)

「フォアだけなら(ツアーでも)トップクラスだと思う。どこからでも回り込んで打ってくるのは、相手にとって脅威。どうしても1、2歩下がって守備的になってしまう」。伊藤が田川のプレーをこう評した。その田川の爆発的なフォアにどう対処するかが試合のポイントだった。

5-3からの第9ゲームで追いつかれた第1セットは、第12ゲームで田川のミスを誘って2度目のブレークを果たして、先取した。田川のフォアを丁寧に返球して、最後のポイントは力んだ田川のフォアのフレームショットで奪ったものだった。

伊藤の作戦は「彼は回り込んでのフォアが好きなので、フォアのクロスでラリーをして、そこからストレートに仕掛け、彼にバックのスライスを打たせる」というものだったが、試合中盤までは田川の強引な回り込みフォアに苦しめられた。それでもツアー大会で鍛えられた守備力で、田川の強打をしつこく返球して相手のミスを誘う粘りのプレーを披露した。

「準々決勝よりファーストサーブの確率が良くて、フリーポイントがあった。思いきりきた田川君のプレーに負けずに、最後まで我慢強くできた」と伊藤は話した。試合終盤には狙い通りに、自分からダウン・ザ・ラインに展開してポイントを奪えていたのは、決勝に向けて好材料だった。

フォアの強打でインカレを3連覇した田川は、「持てる力は出したつもりだが、やっぱり力及ばなかった」と、力勝負を挑んではね返された1時間17分の試合を振り返った。2年前にも準決勝に進み、守屋宏紀(北日本物産)から2セットで3ゲームしか奪えず完敗した。しかし、この日はデ杯代表の伊藤を相手に2セットとも競り合いに持ち込んだ。「爆発力は見せられたし、通用した部分もある。2年前の準決勝より成長したと思う」と手応えも口にした。

田川は来春、一般企業に就職するため、最後の公式戦。この試合が最後のシングルスになった。「最後の方は『これで最後か』という思いはあった。最後の試合をセンターコートでできて、大学の部員や土橋登志久監督に見てもらえてすごく良かった」と感慨深げだった。

(谷 祐一)

【最終日のみどころ】

「4度目の挑戦」の伊藤竜馬か。快進撃の18歳、西岡良仁か

3年連続4度目の決勝進出を果たした伊藤竜馬(北日本物産)と、今大会で杉田祐一(三菱電機)、守屋宏紀(北日本物産)と二人の優勝経験者を立て続けに破った18歳の西岡良仁(ニックインドアテニスカレッジ)が初優勝を懸けて激突する。

「決勝を戦う、優勝を狙うというよりも、相手と戦いたい」と伊藤は話している。毎年のように優勝候補に挙げられながら、最初は添田豪(ミキプルーン=当時)に阻まれ、守屋宏紀、杉田祐一に敗れてきたのが伊藤の全日本決勝の歴史。「コンスタントに決勝に上がれているのはいいところかな」と苦い経験を笑い話にしてしまうあたりは彼らしさだが、「決勝では我慢強く、さらにアグレッシブさが必要になる。気持ちを強く持って戦っていきたい」と伊藤は表情を引き締めた。

一方、全日本初出場でいきなり決勝進出を果たしたのが西岡だ。怖いもの知らず、失うものがない強さ、若さの勢いなどもあるにせよ、実力も本物だ。鋭い動きでの守備とピンチをリカバリーするしのぎ球の質の高さ、攻守の切り替えのスピードや球種の豊富さなど、決勝の舞台を踏むにふさわしいプレーでここまで勝ち上がった。「ハードヒットされたボールを、どれだけしっかり返せるかが鍵になる。一発でポイントを取られるかもしれないが、ミスも出るはず。ディフェンスでミスをしないことが大事になると思う」と決勝に向けて西岡は話している。

伊藤からすれば、自分のサービスゲームを確実にキープして、リターンゲームでの攻撃に集中できる状況をつくること。西岡からすれば、リードして伊藤に無理を強いる展開が理想的というところだろう。ただ、伊藤の展開力も上がっており、今大会ではパワーよりも我慢強さで勝っている試合が多いし、西岡のカウンター力はかなりのレベルにあり、守備一辺倒の選手というわけではないので、さまざまなゲーム展開が予想できる。格で言えば伊藤が上だが、今大会に限って言えば、どちらが勝っても不思議ではない。激戦を期待しよう。

女子ダブルス決勝の注目選手は青山修子(近藤乳業)。今年のウィンブルドンの女子ダブルスでベスト4に勝ち残った実績を引っさげて、大学の先輩波形純理(北日本物産)とのペアで2連覇、青山個人としては3連覇を狙って、二宮真琴(橋本総業)と穂積絵莉(レック興発)の「94年組」と戦う。

(浅岡隆太)

【11月10日 最終日】

東京・有明テニスの森公園を舞台に熱戦を繰り広げた第88回ニッケ全日本テニス選手権は、いよいよ最終日。男子シングルス決勝では、第3シードの伊藤竜馬(北日本物産)が、快進撃を続けてきたノーシードの18歳、西岡良仁(ニックインドアテニスカレッジ)の勢いを封じ、初優勝。4度目の決勝で念願のタイトルを手にした。男子ダブルスは片山翔(イカイ)、佐藤文平(ライフ・エヌ・ピー)組が初めて栄冠を掲げた。女子ダブルスでは青山修子(近藤乳業)、波形純理(北日本物産)組が2連覇。青山は11年にも高畑寿弥(橋本総業)と組んで優勝しており、この種目で3年連続優勝となった。混合ダブルスは田川翔太(早稲田大)、今西美晴(島津製作所)組が初優勝した。

男子シングルス決勝
伊藤竜馬
(北日本物産)
6-3
6-3
西岡良仁
(ニックインドアテニスカレッジ)

伊藤竜馬が「4度目の正直」で全日本選手権初制覇!

2回目のマッチポイントで、西岡のダウン・ザ・ラインを狙ったフォアがサイドラインを割った。優勝を決めた伊藤が両手を突き上げたが、微妙な判定だったこともあって、4度目の決勝でようやくつかんだタイトルにしてはちょっと控えめな喜び方だった。

2年前は優勝を狙いすぎて硬くなった。昨年は「のらりくらりやっていた。世界ランクで60位にも入ったし、まあ、いいか」と緊張し過ぎないように臨んだつもりだったが、振り返ればタイトルへの執着心が足りなかったとも思う。苦い反省があるから、今回は決勝戦を意識せず、「どうやって西岡君に勝つか」に集中した。

杉田祐一(三菱電機)、守屋宏紀(北日本物産)とデ杯代表を連破してきた18歳は、勝負に集中するにはいい相手だった。序盤は西岡の粘りに苦しめられた。西岡は第1ゲームの最初のポイントでバックハンドをアウトしたが、その後は20ポイントもミスのない手堅いストロークを披露した。「(相手がミスしないので)プレッシャーがかかってしまった」という伊藤だったが、慌てることなく冷静にプレーできた。「(自分のショットは)無理しなくてもスピードがあるので、ラリー中のスピードを変える展開にした」と、強引なショットを控えて丁寧にコースを打ち分け、西岡を振り回した。

「初めは硬かったが、少しリラックスしてからはボールが伸びて、ウイナーを取れるようになった」。第5ゲームは最初のポイントを落としたものの、その後はサーブ4本で簡単にキープして、リズムをつかんだ。「西岡君は粘り強いのでストローク戦は五分五分になる。サーブでフリーポイントを取る作戦だったが、それがうまくいった」。第8ゲームで先にブレークを果たすなど、終始、主導権を握ってプレーした。

コート上の優勝インタビューで、「(シングルスのタイトルは)もう取れないかと思ったけど、何とか取ることができた」と少し涙ぐんだ。昨年の決勝で敗れた後、記者会見では笑顔も見せて気丈に振る舞った伊藤だったが、「4度目の決勝で色々な思いがあって、涙が自然と出てしまった」。

トッププレーヤーとなった伊藤だが、意外にもシングルスで「全日本」と名のついたタイトルを獲得したのはこれが初めてになる。全国中学、全日本ジュニア18歳以下、高校総体はすべて決勝で敗れていた。「そうなんです。その思いもあって、やっと取れた。ほっとしてます」と笑顔を弾けさせた。全日本優勝という長年の「宿題」は片づけて、「次は、四大大会で戦って2回、3回と勝てる選手になるため、体力的にも、精神的にも強化したい」と力強く宣言した。

(谷 祐一)

西岡は準優勝に終わるも、「進歩を感じられた大会」と大きな手応え

西岡が倒してきたのは、準々決勝で前年優勝の杉田祐一(三菱電機)、準決勝では2011年優勝の守屋宏紀(北日本物産)。デ杯代表二人を破って迎えた決勝は、もう一人の代表選手である伊藤竜馬(北日本物産)が相手。もし、西岡が勝って優勝していれば、18歳での初タイトルという以上に価値と意味のある勝利だったが、伊藤の重たいボールを西岡はコントロールできなかった。

「竜馬さんのボールは速くて重いのはわかっていた」と西岡は振り返りつつ、「合わせるだけではボールが行かなかった。焦った部分もある」と続けた。逆に伊藤は冷静に試合をコントロールした。要所で自分の武器であるパワーを生かし、西岡を封じ込んだ。

「杉田選手も守屋選手も、焦ってミスをしていた。自分は無理をしなくてもスピードがある」と伊藤が振り返ったように、西岡はこれまでの試合ではうまくいっていた相手に無理をさせるプレーが通用せず、逆に自分が追い込まれていった。深く返しても返され、甘くなれば叩かれる。伊藤にじわじわとプレッシャーをかけられ、試合の後半にかけて西岡のボールがラインをわずかに割って終わるポイントが増えていく。第2セットの第7ゲームで伊藤にサービスを破られた後の西岡には、もう切るべきカードが残っていなかったと言っていい。

「竜馬選手は体も大きくて一発もある。サービスでエースを取られたりすると苦しい。でも、海外はそういう選手たちばかり。そういう選手にも対応できる体とプレーを作らないといけない」と西岡。そんな相手に、強引にでもポイントを取りにいく力が加われば、西岡はさらに強くなれる。日本男子にまた新しい強豪が生まれた今年の全日本だった。

(浅岡隆太)

男子ダブルス決勝
片山翔
(イカイ)
佐藤文平
(ライフ・エヌ・ピー)
6-2
6-4
江原弘泰
(日清紡ホールディングス)
佐野紘一
(伊予銀行)

片山「良く知っている相手との決勝。どう戦おうか文平さんとイメージして、それが生かせた。緊張もあったが、文平さんに引っ張ってもらいました。全日本を勝ったのはうれしいが、まだ実感がわかない。両親に報告します」

佐藤「全日本で優勝するなら、息の合うパートナーは片山しかいないと思っていた。最初のゲームでブレークできたことが大きかった。緊張していたのが落ち着いて、相手にプレッシャーをかけられるようになった。片山が打って、僕が前で動く。そこが僕たちの強さだと思う」

女子ダブルス決勝
青山修子
(近藤乳業)
波形純理
(北日本物産)
7-6(5)
6-2
二宮真琴
(橋本総業)
穂積絵莉
(レック興発)

青山「第1セットを5-2までリードして、そこからなかなか取れない苦しい展開だったが、それを取り切って流れが来たと思う。自分がしっかり戦うことができたら優勝に近づくと感じていた。今日は自分としっかり向き合ってプレーできた」

波形「今日は全日本のタイトルがかかっているという意識はなかった。相手の2人には3週前のITF大会で負けていたので、リベンジしようという気持ちでいつも通りプレーできたのがよかった」

混合ダブルス決勝
田川翔太
(早稲田大)
今西美晴
(島津製作所)
6-3
6-4
奥大賢
(ミヤムラテニスセンター)
宮村美紀
(ミヤムラテニスセンター)

田川「今西選手がシングルス準優勝に終わって、僕にも悔しさが伝わってきた。『僕が優勝させてやる』と話したが、決勝では自分が最後の試合ということで力が入ってしまい、何もできずに迷惑をかけてしまった。最後は今西選手に優勝させてもらいました」

今西「田川選手が最後の大会ということで、2人で優勝カップを取って終わりたかったので、うれしいです」

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