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天皇杯(男子シングルス)と秩父宮妃記念楯(女子シングルス)を懸けた国内最高峰の戦い、第85回ニッケ全日本テニス選手権は東京・有明で10月30日(土)に開幕する。
男子シングルスは、ともに88年生まれの伊藤竜馬(北日本物産)と杉田祐一(三菱電機)が優勝争いの中心にいる。今季、伊藤はブラジリアチャレンジャーで、杉田は全日本室内選手権(京都チャレンジャー)で、そろってATPチャレンジャー初優勝を飾った。デビスカップ日本対オーストラリア戦では、ともにシングルスに出場した。全日本では杉田は昨年準優勝、伊藤は08年に準優勝している。どちらが初タイトルをつかむのか。同年代の二人はATPランキングでも抜きつ抜かれつのデッドヒートを演じており、互いにライバル意識もあるはずだ。それだけにこの優勝争いは興味深い。
両者を追うのは、JTAランキング5位で96、97、07年と3度全日本を制しているベテラン鈴木貴男(イカイ)か。ここ一番での強さ、そして「有明」での強さはピカイチだ。さらに、同6位の近藤大生(アイシン精機)、同7位の新鋭守屋宏紀(北日本物産)も優勝争いを面白くするだろう。ランキングは17位だが、フューチャーズで成績を残している19歳の関口周一(フリー)、大阪市長杯世界スーパージュニア優勝の18歳、内山靖崇(札幌テニス協会)ら、若手の戦いも楽しみだ。なお、昨年2連覇を達成した添田豪(空旅ドットコム)、錦織圭(ソニー)は今大会にエントリーしていない。
女子シングルスも混戦だ。JTAランキングのトップは、5位の土居美咲(ミキハウス)。今季は全仏で予選を突破し、四大大会初出場を飾った新鋭だ。昨年は3回戦で森上亜希子に敗れたが、1年でかなり力をつけた。同年代のライバル奈良くるみが昨年初優勝しているだけに、次は自分が、という思いは当然あるだろう。
この19歳に待ったをかけようと、ベテラン、中堅が待ち構える。筆頭はJTA6位の米村知子(ASIA PARTNERSHIP FUND)。05年、09年と準優勝に甘んじているだけに、タイトルへの思いはだれにも負けないはずだ。さらにJTA7位でアジア大会代表の不田涼子(東京レストランホールディングス)、8位で01年覇者の藤原里華(北日本物産)、11位で08年準優勝の瀬間友里加(ピーチ・ジョン)と実力者がひしめく。HPジャパン女子オープンで1年ぶりに公式戦勝利を挙げた中村藍子(ニッケ)のプレーにも注目したい。若手では、ウィンブルドンジュニア準優勝の石津幸恵(土浦日本大学高校)、全日本ジュニア優勝の大前綾希子(学芸館高校)がどこまで上位に食い込めるか。なお、クルム伊達公子(エステティックTBC)、森田あゆみ(キヤノン)、昨年、初優勝を果たした奈良くるみ(大阪産業大学)は出場しない。
会場は有明コロシアムおよび有明テニスの森公園テニスコート。女子シングルスは10月30日、男子シングルスは11月1日(月)のスタート。女子シングルスと混合ダブルスの決勝は6日(土)、男子シングルスと男女ダブルスの決勝は7日(日)。男女シングルス決勝はNHK教育テレビにて放映予定。賞金総額は2080万円。男女シングルスの優勝者には、賞金200万円と来年のジャパンオープン本戦ワイルドカードが与えられる。
第85回ニッケ全日本選手権はいよいよ明日土曜日開幕。会場では国内最高峰のステージを目指す、予選の熱い戦いが繰り広げられている。また、29日には本戦の組み合わせ抽選が行われた。女子シングルスは30日から戦いの幕が開き、1日には男子シングルスもスタートする。男女シングルスのシード勢は2回戦からの登場となる。

天皇杯(男子シングルス)と秩父宮妃記念楯(女子シングルス)を懸けた国内最高峰の戦い、第85回ニッケ全日本テニス選手権は東京・有明で10月30日(土)に開幕する。
男子シングルスは、ともに88年生まれの伊藤竜馬(北日本物産)と杉田祐一(三菱電機)が優勝争いの中心にいる。今季、伊藤はブラジリアチャレンジャーで、杉田は全日本室内選手権(京都チャレンジャー)で、そろってATPチャレンジャー初優勝を飾った。デビスカップ日本対オーストラリア戦では、ともにシングルスに出場した。全日本では杉田は昨年準優勝、伊藤は08年に準優勝している。どちらが初タイトルをつかむのか。同年代の二人はATPランキングでも抜きつ抜かれつのデッドヒートを演じており、互いにライバル意識もあるはずだ。それだけにこの優勝争いは興味深い。
両者を追うのは、JTAランキング5位で96、97、07年と3度全日本を制しているベテラン鈴木貴男(イカイ)か。ここ一番での強さ、そして「有明」での強さはピカイチだ。さらに、同6位の近藤大生(アイシン精機)、同7位の新鋭守屋宏紀(北日本物産)も優勝争いを面白くするだろう。ランキングは17位だが、フューチャーズで成績を残している19歳の関口周一(フリー)、大阪市長杯世界スーパージュニア優勝の18歳、内山靖崇(札幌テニス協会)ら、若手の戦いも楽しみだ。なお、昨年2連覇を達成した添田豪(空旅ドットコム)、錦織圭(ソニー)は今大会にエントリーしていない。
女子シングルスも混戦だ。JTAランキングのトップは、5位の土居美咲(ミキハウス)。今季は全仏で予選を突破し、四大大会初出場を飾った新鋭だ。昨年は3回戦で森上亜希子に敗れたが、1年でかなり力をつけた。同年代のライバル奈良くるみが昨年初優勝しているだけに、次は自分が、という思いは当然あるだろう。
この19歳に待ったをかけようと、ベテラン、中堅が待ち構える。筆頭はJTA6位の米村知子(ASIA PARTNERSHIP FUND)。05年、09年と準優勝に甘んじているだけに、タイトルへの思いはだれにも負けないはずだ。さらにJTA7位でアジア大会代表の不田涼子(東京レストランホールディングス)、8位で01年覇者の藤原里華(北日本物産)、11位で08年準優勝の瀬間友里加(ピーチ・ジョン)と実力者がひしめく。HPジャパン女子オープンで1年ぶりに公式戦勝利を挙げた中村藍子(ニッケ)のプレーにも注目したい。若手では、ウィンブルドンジュニア準優勝の石津幸恵(土浦日本大学高校)、全日本ジュニア優勝の大前綾希子(学芸館高校)がどこまで上位に食い込めるか。なお、クルム伊達公子(エステティックTBC)、森田あゆみ(キヤノン)、昨年、初優勝を果たした奈良くるみ(大阪産業大学)は出場しない。
会場は有明コロシアムおよび有明テニスの森公園テニスコート。女子シングルスは10月30日、男子シングルスは11月1日(月)のスタート。女子シングルスと混合ダブルスの決勝は6日(土)、男子シングルスと男女ダブルスの決勝は7日(日)。男女シングルス決勝はNHK教育テレビにて放映予定。賞金総額は2080万円。男女シングルスの優勝者には、賞金200万円と来年のジャパンオープン本戦ワイルドカードが与えられる。
東京・有明は台風14号の影響で強い雨が降る1日となったが、第85回ニッケ全日 本選手権は本戦がスタート。屋根を閉めたセンターコートで試合を行った。女子 シングルスは一部順延となった。予選の男子シングルスと男女ダブルスは、味の 素ナショナルトレーニングセンターなど屋内コートで試合を行った。女子シング ルスでは2年ぶり出場の中村藍子(ニッケ)が1回戦を突破。女子ダブルスでは 第1シードの瀬間詠里花/瀬間友里加(ピーチ・ジョン)が高雄恵利加(北日本 物産)/手塚玲美(ミキハウス)に敗れる波乱があった。
第1セットは1-1から5ゲームを連取。第2セットも2度相手サーブをブレー クして迎えた第8ゲーム。マッチポイントでは甘いロブを一発で仕留めるつもり が、スマッシュは当たりそこない。そのボールを相手がネットにかけての決着に、 試合後の記者会見で中村は「もっとバシッと決めるべきでしたね」と苦笑いした。
大西は園田学園女子大で07年全日本学生室内に優勝、今夏はITF女子サーキ ットの1万ドル大会で初優勝を飾った24歳。中村はその大西を寄せ付けなかった。 ストローク戦では先に展開してポイントを奪い、チャンスでは積極的にネットに 出た。「楽しく自分らしいテニスができた。しっかり取るべきところを押さえ、 スキを見せずに試合を終わらせることができた」。自分でも納得できた1時間9 分の快勝だった。
コロシアムに男子ダブルスがずらりと並ぶ「ダブルスサンデー」。1試合目に は第1シードの岩見亮(北日本物産)/近藤大生(アイシン精機)が登場する。 岩見、近藤ともにダブルス巧者で、本気でタイトルを狙って来ていることもあり、 初戦から全開で来るはず。技術的にも多彩な二人のダブルスを堪能してほしい。
鈴木貴男(イカイ)と組むのは期待のジュニア内山靖崇(札幌テニス協会)。 対戦相手は経験豊富な有本尚紀(フリー)/成瀬廣亮(イカイ)。内山は大先輩 たちに囲まれての試合になるが、のびのびとプレーしてほしいところ。ひとつで も多くのことを学び取る絶好の機会だ。
台風一過の青空とはならなかったものの、心配された天候も回復し、第85回ニッ ケ全日本選手権第2日は予定の試合を消化した。女子シングルスでは、大学トッ ププレーヤー同士の対戦で高畑寿弥(相愛大学)を破った井上明里(早稲田大学)、 全日本ジュニア優勝の大前綾希子(学芸館高校)、今年の全日本学生覇者桑田寛 子(早稲田大学)らが2回戦進出を決めた。男子ダブルスでは、故郷札幌の大先 輩鈴木貴男(イカイ)と組んだ18歳内山靖崇(札幌テニス協会)らが2回戦に勝 ち進んだ。女子ダブルスでは、第2シードの米村明子(島津製作所)/米村知子 (ASIA PARTNERSHIP FUND)が、予選勝者の小沢槙穂(CSJ)/前澤かおる (筑波大学)に敗れる波乱があった。

まだジュニア年代だが、すでにフューチャーズで優勝し、先の大阪市長杯世界 スーパージュニアも制した内山靖崇は、今大会注目選手の一人。優勝した97年以 来のダブルス出場となる鈴木をして「彼となら組む価値があると思った」と言わ しめる有望株だ。内山は「小2の時、初めて見たプロの試合(エキシビション) に出ていたのが鈴木選手。雲の上の存在で、組めるとわかったときは、うれしい とともに緊張が走った」と語る。2人は同じ札幌出身、北国育ちの新旧コンビが ペアを組むのは、今春のツアー下部大会、甲府フューチャーズに続き2度目だ。
年齢差は16。もちろんコートでのリーダーは鈴木だ。だが、「最初からああし ろこうしろとは言いたくない。彼の特徴を生かし、二人の良さを出せればいい」 と鈴木。そのネットプレー、とりわけ相手のファーストボレーにタイミングを合 わせたポーチは、余人を持って換えがたい「芸」の域だ。もちろん内山の突き球 に精度があるから成立するわけで、立派な「ダブルス」になっている。第1セッ トは3度にわたりサービスブレークして6-1、磐石の試合運びだった。

初戦というのはどんなレベルの試合でも難しいもの。まして、選手たちにプレ ッシャーが大きく、神経戦とさえ言われるのが全日本だ。精神的な影響はサーブ の出来に最も現れる。井上は「緊張していて、身体が固まってる感じがあった」 と言う。両者ともサーブが不安定で、第1セットはお互いにサーブをブレークし 合う展開。第1セットだけで、井上が6本、高畑は5本のダブルフォールト。し かもそれが、リードした場面、ゲームポイントで出た。井上がセットを取れたの も、わずかな差だった。
二人はともに大学テニスのトッププレーヤーで、ともにユニバーシアード出場 を目指している。「ずっと一緒に練習している者同士で、手の内もよくわかって る。だから、自分のプレーをしようと考えていた」と井上は言う。しかし、それ ができたとは言わなかった。

今年の全日本ジュニア18歳以下に優勝して主催者推薦で出場の大前。相手は昨 年、今年と全日本学生2年連続準優勝の田中だったが、フォアハンドの強打を爆 発させてストレート勝ち。相手サーブを6度ブレークする完勝だった。
「緊張したけどしっかりできたと思う」と振り返った試合。立ち上がりは不安 定だった。積極的にフォアを打ち込んだが、硬さが取れないためかミスを連発、 立ち上がりの2ゲームを連取された。ただ、相手のミスにも助けられて第3ゲー ムでブレークバックすると、落ち着きを取り戻した。フォアを軸に相手を振り回 し、好機と見ればネットに出てポイントを奪う本来のプレーが徐々に増えていっ た。
いよいよ男子シングルスがスタートする。シード勢は2回戦からの登場だが、 1回戦も、98年優勝のベテラン石井弥起(三菱電機)とインカレ3位の長谷川祐 一(慶応義塾大学)、今年のインターハイ勝者で主催者推薦出場の小野陽平(関 西高校)と昨年インターハイを制した遠藤豪(早稲田大学)の対戦など、興味深 いマッチアップが少なくない。期待のジュニア内山靖崇(札幌テニス協会)は、 社会人の芝田雅司(リコー)と当たる。
女子シングルスは2回戦に入り、シード勢が登場する。第1シードは、全仏で 予選を突破して本戦初出場を果たすなど、成長著しい19歳の土居美咲(ミキハウ ス)だが、初戦から強敵を迎え撃つことになった。ヒザの故障から復帰して3大 会目、1回戦を快勝し、「試合をするごとに調子が上がっている実感がある。私 はチャレンジャー、(2回戦は)どこまでできるか、楽しみたい」と話している 中村藍子(ニッケ)だ。中村は07年の全日本チャンピオン。土居にはいきなりの 試練だが、過去のチャンピオンたちも歩んだ道だ。土居が中村を乗り越えられる か、あるいは中村が意地を見せ、本格復活へのステップとするのか注目だ。
昨夜からの雨も朝には上がり、第85回ニッケ全日本選手権第3日は順調に日程を 消化した。この日から男子シングルスがスタートし、ジュニア年代の内山靖崇 (札幌テニス協会)、今井慎太郎(荏原SSC)らが2回戦に進出した。女子シ ングルスでは、第1シードの土居美咲(ミキハウス)が07年覇者の中村藍子(ニ ッケ)を破って3回戦に進出。第3シードの不田涼子(東京レストランホールデ ィングス)も初戦の2回戦を突破した。全日本ジュニアを制して主催者推薦で出 場の大前綾希子(学芸館高校)は、第6シード浜村夏美(フリー)に3セットで 敗れた。

試合後の土居と中村は、ともに自分の最初のサービスゲームがカギになったと 話した。いずれもデュースが続く競り合いになり、ブレークポイントを握り合っ たが、土居はキープに成功し、中村はブレークを許した。中村は「あそこを取れ ていれば、試合の流れは分からなかった」と言い、土居は「相手は元チャンピオ ンで、ケガをする前はトップにいた選手。最初から集中してギアを上げて試合に 入った。最初の3ゲームで自分のサーブをしっかりキープできたのは大きかった」 と振り返った。二人の差はわずかだった。
土居はフォアハンドが攻撃の起点。この試合でも様々な球種とコースを操り、 ラリーを支配した。一見、土居の思い通りの展開にも見えたが、それも中村にと っては作戦通りだった。「土居さんのフォアがいいのはもちろん知っていたが、 今日はバックよりフォアの方に隙があるように感じた。だからあえてフォアを狙 っていった」という。だが、復帰して間もない今の中村には、それを生かすため の感覚が戻り切っていなかった。「もう少し足が動いて反応できていれば、カウ ンターや切り返しができた」と悔しさをにじませた。
第3シードに入り2回戦から登場した不田。JTAランキング34位の小沢との 初戦は、会心の勝利とはいかなかった。1、2セットとも相手サーブを2度ブレ ークして4-1とした後、1度自分のサーブを破られて、6-4で何とか締めると いう同じような展開。簡単なミスも目立って、「2セットで終われたのは良かっ たが、ちょっと納得いかない部分もある」と少々、不満げだ。
ただ、不満が残るのも、ここにきて調子が上がっているからこそ。9月下旬の 東レPPOでは世界ランク65位から1セットを奪い、先月のHPオープンでは2 回戦に勝ち上がって、世界13位のシャハー・ピアー(イスラエル)とフルセット の戦いを演じている。「格上の選手と試合をして、自分が引き上げられた。技術 的にいい状態にいる」。ツアー大会で自分のテニスに手ごたえを感じて、全日本 に入ってきている。

今井慎太郎(荏原SSC)は元気よくコートを走り回った。エースを奪えば吠 え、派手なガッツポーズにオレンジ色のシャツがよく似合う。きわどい判定への リアクションなど、気分はもうプロ。廣田耕作(早稲田大学)に打撃戦を挑み6 -4、6-4、見事に打ち破った。「走ること、そしてチャンスには攻めること。 それが自分のテニス。去年は予選2回戦どまりだったのでうれしい」。次の相手 は20歳の綿貫裕介(ライフ・エヌ・ピー)。「初めての対戦、楽しみにしていま す」と09年全日本ジュニア16歳以下覇者の視線は上向きだ。
あと少しで本戦シードから漏れた内山靖崇(札幌テニス協会)だが、観客の注 目度は高い。接戦となった芝田雅司(リコー)との試合は、夕暮れにも関わらず 観客が集まった。この日の内山は体調も今ひとつなのか、前日のダブルスのよう なのびやかさに欠けていた。それでも自慢のサービスで相手のマッチポイントを しのぎ、ファイナルセットのタイブレークを制して、4-6、6-2、7-6。 2回戦にコマを進めた。「早いコートサーフェスに苦労しました。あんまりいい 出来じゃないけれど」と苦笑する内山。明日の相手は07年準優勝の權伍喜(イカ イ)。クセ球を駆使するベテランに若さで勝負する。
男子シングルス第1シードの伊藤竜馬(北日本物産)をはじめ、第3シードで 過去3度の優勝を誇る鈴木貴男(イカイ)、悲願の初優勝を狙うベテラン勢、第 8シードの松井俊英(フリー)と第9シード岩見亮(北日本物産)など、いよい よ強豪が登場する。
注目は、やはり伊藤竜だ。08年に準優勝したものの、優勝を目指して出場した 昨年は準々決勝敗退。今年こそという気持ちを持っての出場となる。相手は今年 のインカレを制した伊藤潤(早稲田大学)。サーブを軸に、攻撃的なプレーが持 ち味の選手だ。対戦に向けて「思い切りやるだけです。相手のスタイルへの対策 を考えて、自分のプレーを出し入れしながら、攻めていきたい」と語った伊藤潤。 今年はフューチャーズにも出場し、経験を積んでいる。プロと大学生、立場は違 うが、年齢は22歳の伊藤竜が一つ大きいだけ。熱戦を期待しよう。
男子シングルスは2回戦がスタートし、シード選手が登場。第1シードの伊藤竜 馬(北日本物産)、第3シード鈴木貴男(イカイ)らが順当に3回戦進出を決め た。18歳の内山靖崇(札幌テニス協会)は第14シードで07年準優勝の權伍喜(イ カイ)を3セットで破った。女子シングルスは2回戦の残り試合を行い、第2シ ードの米村知子(ASIA PARTNERSHIP FUND)、第4シード藤原里華(北日本物産) らが勝ち進んだが、第7シードで広州アジア大会代表の瀬間友里加(ピーチ・ジ ョン)が、インカレチャンピオンで主催者推薦出場の桑田寛子(早稲田大学)に 敗れる波乱があった。注目の石津幸恵(土浦日本大学高校)はベテラン久松志保 (フリー)をストレートで下した。

第1シードは居心地がいいという伊藤竜馬だが、「でも、受け身になっちゃい けない」と気を引き締める。対する伊藤潤はベスト32に4人並んだ早稲田大現役 勢のエース格。ジュニア時代は飛び抜けた存在ではなかったが、大学に入って成 長し、最高学年の今年のインカレを制した。今まで二人の対戦は高校時代に一度 で、そのときは1学年上の竜馬が勝利している。
第1セットは淡々とキープ合戦が続く。サーブのスピードでは劣る潤だが、コ ースを散らすことでブレークを許さない。試合が動いたのは、ニューボールにな った第8ゲーム。「相手のバックハンドがよかったのでフォアを攻めた」という 竜馬のドラゴンショットが火を吹く。プレッシャーに耐えられず、潤はダブルフ ォールトでこのゲームを落とした。「ファーストセットは予定通り、というか、 危ないところはなかった」と竜馬。

「全日本は難しい」とベテランほど口にする。過去3度優勝と、最も高い実績 を持つ鈴木も、「緊張していたのか興奮していたのかわからないが、今朝は3時 台に目が覚めてしまった」と苦笑いした。初戦の相手は大学生の井上。予選を勝 ち上がってきたファイターだが、鈴木がナーバスになっていたのは、相手が誰と いうより全日本独特のプレッシャーからだった。昨年の鈴木は初戦で早稲田大の 学生だった成瀬廣亮(イカイ)に敗れている。「去年のこともあったし、相手が どんな選手であったとしても、またどこかで何かが起きるかもしれないと思って いた。だから、どんな状態でもベストを尽くそうと自分に言い聞かせていた」と 鈴木は言う。
試合は鈴木の一方的なペースで進んだ。第1セットは、緊張からか動きの固い 井上を完封した。鈴木は少しでも甘くなれば、前に出てラリーをショートカット してポイントを奪う。つなぎ球を許さず、どんどん相手にプレッシャーをかけた。 得意のスライスは低く滑り、井上にクリーンヒットさせずミスを強いた。

今年のウィンブルドンジュニアの準優勝で、にわかに注目を集める石津。10月 1日にプロ転向したが、楽天オープン、HPオープンと初戦で敗退していて、昨 年に続く全日本出場で初めてつかんだ白星は、プロ転向後の初勝利だった。「プ ロになって1勝できてなかったので、勝ててうれしい」。茨城でのツアー下部大 会、セキショウ国際女子以来となる、2か月ぶりの白星を素直に喜んだ。
フォア、バックともリーチを大きく使って、相手コートに強打を打ち込んだ。 得意のフォアはフラット系の直線的な弾道でコーナーに突き刺さり、ベースライ ンから何本もウイナーを奪った。黒のシャツに白のスカート、ポニーテールに白 のサンバイザーをかぶった細身の体が、コート上では164センチという数字以上 に大きく見えた。
センターコート第1試合では土居美咲(ミキハウス)が、06年優勝の高雄恵利 加(北日本物産)と対戦する。2回戦ですでに元チャンピオンの中村藍子(ニッ ケ)を下している土居。今大会好調のサーブと多彩なフォアの攻撃力で、高雄を 封じ込められるかが注目だ。高雄は小柄とはいえ、高い打点からの一発の切れ味 で勝負するタイプ。しかし、両者ともに、カギになるのは決めのショットに至る までの展開をどう作るか。激しいストローク戦を期待したい。
2回戦で実力者の瀬間友里加(ピーチ・ジョン)を倒した今年のインカレチャ ンピオン、桑田寛子(早稲田大学)は、今度は高校生プロとして注目される石津 幸恵(土浦日本大学高校)と戦う。石津はHPオープンの後は全日本に向けて調 整してきたというほど、前向きな気持ちで大会に入って来た。「勝ちたい気持ち では、相手に負けたくない」という石津と、戦術眼に優れ、対応力の高い桑田の 対決は、ラリーだけでなく、メンタル面での駆け引きも注目のカードとなるだろ う。
男子シングルスは2回戦の残り試合を行い、第2シードの杉田祐一(三菱電機)、 第4シードの近藤大生(アイシン精機)らが初戦を突破した。女子シングルスは 3回戦を行い、ベスト8が出そろった。第1シードの土居美咲(ミキハウス)は 06年優勝の高雄恵利加(北日本物産)に逆転勝利。第2シードの米村知子(ASIA PARTNERSHIP FUND)も瀬間詠里花(ピーチ・ジョン)に競り勝った。高校生プロ 石津幸恵(土浦日本大学高校)は、主催者推薦で出場のインカレ覇者桑田寛子 (早稲田大学)に敗れた。男子ダブルスでは、ノーシードの内山靖崇(札幌テニ ス協会)/鈴木貴男(イカイ)が第3シードの佐藤文平(イカイ)/杉田を破り、 ベスト4進出。第1シードの岩見亮(北日本物産)/近藤、第2シードの伊藤竜 馬(北日本物産)/松井俊英(フリー)も4強入りした。
両者は一昨年の2回戦で対決、当時17歳の江原が健闘、第1セットを奪ったも のの足を痛めて棄権した。江原は今年プロ転向。角度のあるフォアハンドを武器 に、コートを走りまくる。昨年の準優勝で第2シードの杉田は前週のソウルチャ レンジャーでも4強入りし好調だ。第1シードには同世代の伊藤竜馬(北日本物 産)、目標は優勝以外ない。
拾いまくり、長いラリーの末にポイントを奪って吠える“江原劇場”の開幕は 遅かった。立ち上がりはサービスキープが精一杯、リターンでは杉田の安定した プレーを崩すまでには至らない。回り込んで打つフォアのウイナーも散発で、試 合は杉田が主導権を握る。競り合った第5ゲームをブレークした杉田が、余裕で 第1セットを先取した。第2セットも3-0までは杉田ペース。競り合うのだが、 大事なポイントを取れずうつむく江原。それでも「途中から早めにストレートに 展開するように」して活路を開き、4-4、やっと劇場開幕のベルを鳴らした。
テニスで上背があって有利なことは多いが、小さいことがメリットになる点は少ない。それだけに、小柄な選手がトップクラスに躍り出るには何かの理由がある。高雄はコースを変える技術が高い。それも、嫌なタイミングで、意外なコースにボールを打つ力がある。何もそれを毎回連発する必要はない。そういうボールを1球交ぜるだけでも十分で、さらに言えば、そういう技術を持っているという意識を相手に植え付けるだけでもいい。それだけでラリーがスタートする前に、軽く主導権を握っているようなものと言ってもいい。150センチと日本女子の中でもとびきり小柄な高雄にとっては、それが大きな武器になっている。「そこからそこへ打つのか? と感じたショットもあった。第1セットでは反応がちょっと遅れたのは確か」と土居は言う。
第1セットはお互いサービスキープが続いたが、2回戦では好調だった土居のサーブが今ひとつ切れを欠いていたのが、この試合がもつれた大きな原因だろう。「サーブで思うようにフリーポイントが取れなかった」と土居。サーブが十分に機能しないため、高雄にラリーに持ち込まれ、展開をコントロールさせてしまった。第6ゲーム以降は高雄のサービスゲームをブレークしようと、毎回攻勢に出ていたが、すべてしのがれ、やや集中が落ちた第11ゲームで逆にブレークを許す。一瞬の隙を突かれた形だった。

21歳と同い年の三橋と片山。三橋が高校年代から学校の枠を離れツアー下部の 大会に積極的にチャレンジしてきたのに対し、片山は福岡・柳川高校から早稲田 大学と学校テニスの王道を歩む。対照的なキャリアを歩む2人はともにストロー クプレーヤーだが、プロツアーで実力を磨く三橋の強打に一日の長があった。
前回大会で4強の三橋はこのところ、「体調不良とケガで練習ができていなか った」という。1か月以上も試合から遠ざかって「フィーリングがつかめていな い状態」だった。それでも、序盤からの激しいラリーで主導権は渡さなかった。 長いラリーになっても、コースを変え、ペースを変えるのは三橋。ボールの威力 も十分で、再三、コースを変えようとする片山のミスを誘った。第1セットは先 に相手サーブをブレークすると片山に追いつかれるという展開だったが、第12ゲ ームで3度目のブレークを果たして、粘る相手を振り切った。
プロ2年目で、第5シードに入った20歳の守屋。98年大会優勝の石井は、スト ローク戦から何度もネットに出るなど、揺さぶりをかけて守屋のテニスを崩しに かかった。1、2セットとも先にブレークを許しながら、5-5まで持ち込んだ のはベテランの狙い通りだったかもしれない。ただ、最後のところで守屋が踏ん 張った。2セットとも第11ゲームで石井のサーブを破り、第12ゲームはしっかり キープ。「僕にとっては初戦だったので、少し緊張してしまった。いつもより展 開が遅くなった部分があり、もつれてしまった」。守屋が2セットで1時間55分 を要した戦いを振り返った。
プロ1年目の昨年は、世界ランキングを300位台まで上げた。急成長した1年 の後だけに、同じような位置にとどまっている今年は伸び悩んでいるようにも見 える。しかし、本人は「この1年はトレーニングを積みながら、ケガもしないで たくさんの試合をできている」と手ごたえを口にする。「去年より、1年を通し て高いレベルを保って戦えている。連戦になっても疲労を感じにくくなった」。
「フォアを武器にどんどんやっていければ」と話していた高校生プロの石津が、 インカレ女王・桑田の術中にまんまとはまった。第1セットは真っ向からの打ち 合いとなった。石津はミスにも臆することなく得意のフォアを打ち込んで、桑田 をストローク戦で押し込んだ。第1セットで唯一のブレークは第6ゲーム。強打 で桑田のミスを誘った石津が、最後はフォアでリターンのウイナーを奪って決め た。
第2セットで桑田が作戦を変えた。「ペースを落として、(石津に)打たれて もバック側に返して、相手のミスを待った」。強打で振り回されても、素早いフ ットワークで粘り強く返球できる桑田の守備力があればこその作戦だが、これが 功を奏した。第2セットからは石津のバックにミスが目立ち始め、これをカバー しようと強引に打つフォアにもミスが出た。「相手はバックにゆっくり展開して きた。自分のバックの調子が悪かったので、ミスをしてしまった。相手が変えて きたことに対応できなかった」と石津を悔しがらせた。
女子シングルスは準々決勝。センターコート第3試合には、瀬間友里加(ピー チ・ジョン)、石津幸恵(土浦日本大学高校)を下し、今大会の台風の目になり つつあるインカレ覇者桑田寛子(早稲田大学)が、藤原里華(北日本物産)に挑 む。両者は前回大会でも対戦し、藤原が相手に2ゲームしか許さず圧勝している が、桑田は「この1年で成長した自分をぶつけたい」と闘志を見せた。実績では 藤原だが、今大会の桑田は試合の流れをうまく読んで勝ち進んでいるだけに、好 試合が期待できる。
2番コートは女子シングルスが3試合続く。第1試合は米村知子(ASIA PARTNERSHIP FUND)と米村明子(島津製作所)の姉妹対決。姉妹でトップクラス の選手というのは過去にも存在したが、できることならやりたくない、と誰もが 口にしてきた難しい戦い。米村姉妹がどんな戦いを見せてくれるのか、様々な意 味で興味深い。続いて第1シードの土居美咲(ミキハウス)と、早稲田大卒でプ ロ1年目の青山修子(近藤乳業)が対決する。土居は3回戦を苦戦しつつの勝ち 上がりだが、その反省から「自分がしっかりと攻め切れるかどうか。サーブで主 導権を握れるようにしたい」と話している。第3試合は不田涼子(東京レストラ ンホールディングス)対浜村夏美(フリー)。実績のある実力者同士の対決だ。 いずれも初制覇を狙う選手たちの試合だけに、熱戦は必至だ。
今日の東京・有明は朝から雲に覆われ、空気の冷たい1日となった。大会もいよ いよ終盤戦。女子シングルスは準々決勝を行い、第1シードの土居美咲(ミキハ ウス)、第2シードの米村知子(ASIA PARTNERSHIP FUND)、第6シードの浜村 夏美(フリー)、今年の学生女王でノーシードの桑田寛子(早稲田大学)が準決 勝に勝ち進んだ。男子シングルスは3回戦。第1シードの伊藤竜馬(北日本物産)、 第2シードの杉田祐一(三菱電機)はそろって8強入りを決めた。注目の“北海 道対決”は第3シードの鈴木貴男(イカイ)が18歳の内山靖崇(札幌テニス協会) を破った。混合ダブルスは篠川智大(亜細亜大学)/瀬間詠里花(ピーチ・ジョ ン)と、伊藤潤/井上明里(早稲田大学)が決勝に進出した。

新鋭内山の今日の練習相手は、昨年までデビスカップなどで鈴木とペアを組ん でいた岩渕聡。鈴木のことを一番よく知っているコーチだ。その岩渕から「思い きりやるように」と送り出されたセンターコート。「憧れの場所、憧れの相手で すが、変に緊張したり雑念が入ることなくプレーできた」と内山。鈴木も「内山 は最初から全開で来た。ラッキーな部分もあったし、勝った瞬間はホッとした」 と故郷札幌の後輩をたたえた。2セットともタイブレーク、獲得したポイント数 も鈴木が「91」で内山「88」と、ほとんど差がない激戦だった。
「バモス!」。鈴木の叫びがスタジアムコートの夕空に響いた。第1セットか ら壮絶なタイブレークだった。鈴木にブレークを許すたびにブレークバックして 追いついた内山は、タイブレークでは先行する。5-0、さらに6-3と内山の リードにざわめく場内。“新旧交代”の歴史的なシーンを目撃する予感が広がっ たはずだ。鈴木も「0-5の場面では、落としてもしょうがないかな」と思った という。セットポイントは内山5本、鈴木2本。優位に進めた気鋭だが、ミスタ ー有明は決め手を許さない。「いける、ではなく、いくという気持ちで戦った」 という18歳を、土俵際でうっちゃったのは百戦錬磨の34歳だった。

同い年で、今はホームコートも同じ、気心も知れたベテラン同士の対決は、や りやすさとやりにくさが相半ばする難しさがある。「多分、いちばん一緒に練習 して、練習マッチもやって、テニスの話もしている。やはり、やりにくさはあっ た」と松井は明かす。岩見は7月に腰のヘルニアが再発して9月に復帰したばか り。グラウンドストロークはともかく、サービスゲームでは好調時のようなプレ ーには戻っていない状態だった。しかし、序盤から岩見はラッシュした。「今ま で見たことがないくらい早い展開だった。思い描いていたイメージと違った。戦 術的な準備という意味では彼の方が上だったということ」と松井は振り返った。
岩見は松井のサービスを続けて破って3-0とリード。腰のこともあって、松 井が混乱している間にできるだけ先行する作戦だったのだろう。だが、松井もそ のままやられてしまうような選手ではない。「このまま早い展開に飲まれてカウ ンターを取られたら、第1セットは取られても仕方がない」と感じながらも、 「ラリーのテンポを遅くしたり、サービスも、あえてスピードを下げてみた」と 落ち着いて対応した。「速いのを打つと速く返って来る。そういう展開は嫌いじ ゃないが、今日はペースダウンしたことで、相手もミスを出してくれるようにな った」。
第7シードの瀬間友里加(ピーチ・ジョン)、第11シードの石津幸恵(土浦日 本大学高校)とシード勢を連破してきたインカレ女王の桑田が、第4シードの藤 原にも逆転勝ちして、ノーシードながら4強に勝ち上がった。大学生のベスト4 進出は1999年の高瀬礼美(早稲田大学)以来、11年ぶり。ノーシードの選手とし ては、決勝まで進んだ98年の岡本聖子(亜細亜大学)以来の4強入りだ。
瀬間との2回戦、石津との3回戦と同じように、第1セットを落とした。大学 庭球部のHPに、プレースタイルは「打ちすぎ」とあるように、強打を打ち込む のが好きなタイプ。この日の第1セットは「自分も打ちたくなって」強打で勝負 した。しかし、ウイナーはあるもののショットは安定せず、結局、タイブレーク でセットを落とすと、前日までと同じように第2セットからは気持ちを切り替え た。「もっとじっくりラリーをしていく」。強引な強打ではなく、ラリーの展開 の中でポイントを重ねて、第2セットを取り返した。
前回大会の準決勝に続いて全日本で実現した姉妹対決。今回も米村知が姉の貫 禄を示してストレート勝ち。「対戦するまで2人とも勝ち進めたのはうれしかっ たが、姉としてのプレッシャーもあって、昨夜は何度も起きてしまった」。記者 会見で米村知が安堵の表情を浮かべた。
全日本では2度、シングルスで決勝まで進んだが、タイトルには届いていない。 昨年は奈良くるみ(現・大阪産業大学)に惜敗。「この大会を1年のメーンと考 えている部分がある。3度目の正直を期待しています」。全日本の優勝にかける 思いはどの選手にも負けないという自信を持って、11度目の大会に臨んでいる。
3度目の全日本で初めて準決勝に進出した第1シードの土居「ネットに行くこ とを心掛けてやっていたので、最初から大胆にいけたかなと思います。苦しかっ た試合を勝ち切れたのはよかった。準決勝も自分のプレーに徹することが勝利の カギになると思う」
5度目のマッチポイントで初の準決勝進出を決めた浜村「大事なところでサー ブに助けられた。全日本では去年、ダブルスでやっとタイトルを取れたので、今 年はシングルスもという気持ちで有明に入った。全日本に合わせて1年間頑張っ てきた。いつもの年よりタイトルにかける気持ちは強いです」
女子シングルスは準決勝、男子シングルスは準々決勝、大会はいよいよ大詰め だ。センターコートの第1試合は、第1シードの土居美咲(ミキハウス)と第6 シードの浜村夏美(フリー)が当たる女子の準決勝。「今回は勝ちにいく大会」 と公言して臨む19歳の土居は、優勝まであと2試合となったが、「自分のプレー に徹するだけ」とマイペースを崩さない。対する浜村は「相手はサーブもいいし、 フォアは重い回転のかかったボールなので、それにどう対処するかがキーになる」 と話す。2人は昨年、中国のツアー下部大会で対戦したが、その時は6-2、3- 6、6-3で土居が勝っている。26歳の浜村は176センチの長身から打ち込むサ ーブを武器に先手を取って、優位に試合を進めたい。
第2シードの米村知子(ASIA PARTNERSHIP FUND)と、シード勢3人を連破し てノーシードから勝ち上がり、大会の台風の目となっている桑田寛子(早稲田大 学)の女子準決勝は、センターコートの第4試合。ともに早い展開で相手を振り 回すプレーを得意とするだけに、仕掛けどころ、切り返しのカウンターなどが見 どころになる。決勝に2度進みながらまだ優勝のない米村知の全日本にかける思 いは、どの選手にも負けないが、一方の桑田は無欲でここまで勝ち上がってきた。 怖いもの知らずの勢いで挑んでくる大学生と、28歳とベテランの域に入った米村 知の対戦は熱戦となること必至だ
暖かさが戻った東京・有明で朝から熱戦が繰り広げられた。女子シングルスは準 決勝を行い、第1シードの土居美咲(ミキハウス)と第2シードの米村知子(ASIA PARTNERSHIP FUND)が決勝進出を決めた。大会の台風の目となったインカレ女王・ 桑田寛子(早稲田大学)の快進撃はベスト4で止まった。男子シングルスは準々 決勝を行い、第1シードの伊藤竜馬(北日本物産)が第12シードの仁木拓人(フ リー)に敗れる波乱があった。第2シードの杉田祐一(三菱電機)、第3シード の鈴木貴男(イカイ)は順当に4強入り。仁木と第4シードの近藤大生(アイシ ン精機)は初のベスト4入りを果たした。

「立ち上がりは慎重になっていた」という土居。いきなりサービスダウンから のスタートとなったが、流れを渡さず、即座に修正した。続く浜村のサービスゲ ームでは、ファーストサーブに食らいついてリターンを深く突き刺し、まるで予 定通りという顔でブレークバックした。19歳の第1シードが最初の2ゲームで貫 禄を見せつけて、そのまま押し切った、そんな印象の試合だった。
日本協会は今夏、2016年のリオデジャネイロ五輪での女子ダブルスでのメダル 獲得を目指して「Gプロジェクト」を発足させた。土居の遠征にもナショナルチ ームのトレーナーが帯同し、フィジカル強化をサポートするようになった。「今 までは返せなかったようなボールにでも、追いつけるようになってきた」と土居。 今のところは瞬発系体力の向上を実感しているというが、さらにスタミナがつけ ば、視野が広くなり、連戦もこなせるようになるだろう。体力的な余裕が生まれ れば、メンタルの安定にもいい影響がありそうだ。これが完成に近づけば、彼女 のテニスはさらに力強さを増すはずだ。

「米村さんは、サーブはすごく速いし、ショットも深くて重くて速かったので、 自分の思うように運ぶことができなかった」と、インカレ女王の桑田が試合を振 り返った。前回準優勝の米村知との試合は1、2セットとも先にサービスを破ら れ、あっという間に1-5まで持っていかれた。第2セットではここから2ゲー ムを連取して意地は見せたが、最後は得意のフォアがネットにかかり、右手から ラケットがポロリと落ちた。
ノーシードの選手としては12年ぶりに準決勝まで勝ち進んだ桑田。2回戦から 3試合はシード勢のプロ選手を相手に、第1セットを落としながらの逆転勝ち。 1回戦から5試合、9時間37分を戦った。「準決勝も勝ちたいと思っていたけれ ど、よく考えればベスト4に入れたのだから、(2回戦で敗れた)去年と比べた ら自分が成長できたかなと思います」。19歳には悔しさの一方で達成感もある全 日本だった。

シード選手が比較的順当に勝ち進む中、昨日、第7シードの井藤祐一(空旅ド ットコム)を倒した仁木は「台風の目」となれるのか。第1シードの伊藤は、全 日本のプレッシャーとどう戦うのか。両者は6月のグアムフューチャーズでも対 戦し、伊藤が圧勝している。
大型選手同士のストローク戦になったが、主導権を握るためにはファーストサ ーブの出来がものをいう。第1セット、ファーストサーブの確率は仁木67%、伊 藤48%。仁木は6-5とリードして迎えた伊藤のサービスゲームでは、セカンド サーブを叩き、ブレークに結びつけた。「相手のペースに合わせてしまった。勝 ちたいという意識が先行し、気がついたら消極的なプレーになっていた」と伊藤 は振り返る。

内山靖崇(札幌テニス協会)との3回戦に続いて、この日も2セットともタイ ブレークでものにした鈴木。鈴木らしい勝ち方にも見えたが、第2セット途中ま では、もやもやを抱えてのプレーだったという。「サーブの精度が悪い、ネット に出るのが遅い、スライスも低いけど遅い」。全日本という緊張から来る力みの ためか、本来のプレーができていないと感じていた。
第2セット第3ゲームで松井にサービスブレークを許したのが、きっかけにな った。「このセットを落としてもいいから、サーブの確認をしよう」と切り替え てプレーしたことで、良い時のサーブの感触が戻ってきた。力みが抜けてリラッ クスした状態でサーブを打つと、「スピードが明らかに上がった」と鈴木。「リ ラックスできていると、流れるようにプレーできる。読みも良くなって、相手が どこに打つかも分かる」。タイブレークに入っても「ゆったりと進められた」と いう納得のプレー。「これが自分のやり方というのを再確認できた」とこの試合 の収穫を語った。

28歳の誕生日に初の準決勝進出を果たした近藤「第2セットは、思うようなプ レーを出来ていなかった守屋君が『変えなければ』という所でおかしくなった。 次にやったら、こういうスコアにはならないと思う。高校時代がベストと言われ るのは嫌だったので、とりあえず最高成績(高校2年、3年時)の準々決勝を上 回れたのはうれしい。28歳でも気持ちは若手です」

2年連続で準決勝に進んだ第2シードの杉田「第1セットはブレーク合戦だっ たので、4-3からの自分のサーブを15-40からキープできたのが大きかった。こ れでリラックスできた部分もある。全体的に落ち着いてプレーできた」
様々な波乱や激戦のあった今年の女子シングルスも、いよいよ決勝を迎える。 「1年の中で、全日本をメインに考えてきた」という米村知子(ASIA PARTNERSHIP FUND)は3度目の決勝進出だが、過去2度は準優勝に終わっている。悲願の全 日本制覇という言葉は、今大会の女子では彼女にいちばん良く似合う。
米村知が初めて決勝進出を果たした05年は森田あゆみ(キヤノン)、昨年は奈 良くるみ(現大阪産業大学)と、いずれも10代の注目選手に苦杯を喫した。そして、 今年の相手もまた、若き第1シード、19歳の土居美咲(ミキハウス)となった。
第85回ニッケ全日本テニス選手権は、いよいよクライマックス。この日は女子シ ングルス決勝を行い、第1シードの土居美咲(ミキハウス)が初優勝を飾った。 これまで2度、決勝で敗れている第2シード・米村知子(ASIA PARTNERSHIP FUND)の悲願達成はならなかった。男子シングルスは準決勝。第2シードの杉田 祐一(三菱電機)、第3シードの鈴木貴男(イカイ)が順当勝ちを収め、決勝に 進出した。混合ダブルスは、篠川智大(亜細亜大学)/瀬間詠里花(ピーチ・ ジョン)が初めて制した。

「この大会は最初から優勝を狙って勝ちにきていたので、優勝できてうれしく 思います」。土居の優勝スピーチが途中から涙声になった。同学年で、昨年大会 を制したライバルの奈良くるみ(現大阪産業大学)を追うように、優勝を公言し て臨んでいた。過去2回の全日本は、昨年の3回戦が最高成績。出場する選手は みな、ほかの大会にないプレッシャーを口にするが、初めて全日本の第1シード に座ったこの19歳は「魔物」と無縁だった。
決勝の大舞台で、この大会で最高のプレーを披露した。「準決勝では慎重に入 り過ぎたが、今日は最初から自分のプレーで攻めていけた」。第1ゲームの自分 のサービスゲームから、フォア、バックでウイナーを奪った。相手サーブでもリ ターンを強打し、米村知にプレッシャーを与えた。第1セットは第8ゲームでブ レークを果たすと、第9ゲームは30-15から回り込んでの得意のフォア2発でき っちり締めた。「第1セットを取っても気を緩めず、自分のプレーで攻めていけ た」という第2セットは、4ゲームを連取して相手につけ入るスキを与えなかっ た。好調だったサーブが要所で威力を発揮し、マッチポイントもサービスエース で決めた。

「キープキープでいって、相手のサービスゲームにプレッシャーをかけていく のが、勝つパターンだと考えていた」と近藤は試合後に話したが、杉田はそれを 許さなかった。「最初から締めてくるだろう」と前日、近藤が予想していたとお り、杉田は1ポイント目から集中力を高めて試合に入って来た。近藤のサーブか ら始まった試合は、いきなりのブレークで幕を上げる。
「しっかりリターンを返して、出だしをきっちり決められればいい」。実は、 前日の杉田はそう話していた。試合は杉田が描いたシナリオ通りに進行した。お 互いの読みどおりの展開だったはずだが、近藤にはそれがサーブの力みにつなが り、杉田には余裕になった。違いがあったのだとすれば、恐らくそういう小さな ものだったように思う。

準々決勝、準決勝のストレート勝ちは、すべてタイブレークでセットを奪った もの。鈴木は「6-6になった理由を考えて、そのデータを整理して戦うのがコ ツ」だという。見ていると、ゲームカウントが4-4、5-5と進むにつれて自分 を盛り上げていくのがうまい。「自分が楽しくないとお客さんも楽しくない」と いうのが彼の持論だ。この試合も第1セットはタイブレークにもつれたが、ミス ター・タイブレークは、たった一度のミニブレークをきっちり守って先行した。
鈴木はドロップショットも織り交ぜて仁木を翻弄する。「そうすることで相手 のフォアへの回り込みを封じようと思った。前に走らされると回り込むタイプは やりにくくなるはずだから」と戦略を明かした。第2セットはワンブレークを守 りきり、5度目の決勝進出を決めた。最後のサービスゲームでは豪快なノータッ チエース3本。34歳の年齢でも瞬発力の衰えは感じさせない。

2年連続混合ダブルス決勝で敗れていた篠川が、「3度目の正直」で初優勝を 果たした。2年前はこの日対戦した井上明と、昨年は井上の姉の摩衣子(テニス ユニバース)とのペアで臨んだ篠川。今回は今年6月に瀬間詠に声を掛けてペア を組んだという。「まさか優勝できると思わなかった。うれしい」と瀬間詠は、 全日本での初めてのタイトルを素直に喜んだ。「瀬間さんには1回戦から頑張っ てもらって、心強かった。優勝できて本当にうれしい」と表彰式で号泣した篠川。 大学を卒業する来春、JR北海道に就職して故郷に戻るが、「選手活動を続けて 来年もこの舞台に来られるよう頑張りたい」と話した。
谷 祐一
男子決勝は、過去3度の優勝を誇り、日本男子のエースとして長年活躍してき た鈴木貴男(イカイ)と、添田豪(空旅ドットコム)、錦織圭(ソニー)、伊藤 竜馬(北日本物産)と並んで次代の日本男子「4強」の一角を担う杉田祐一(三 菱電機)との対決となった。

過去の対戦は1勝1敗だが、杉田の1勝は鈴木の途中棄権によるもの。鈴木は 全日本優勝経験者として、「簡単に譲る気はない」とプライドを言葉にし、5度 目となる決勝進出も「改めて自分の存在感を多くの人に示せるチャンス」と闘志 をあらわにしている。杉田も負けていない。大会序盤の時点で「自分たちの世代 がそろそろ日本のテニスを引っ張るという意味でも、ベテラン勢には絶対に負け たくない」と話し、鈴木との決勝を前に「去年より10倍、いや100倍強く、今年 の全日本のタイトルにかけている。大先輩である鈴木さんと最高の舞台で戦える のはうれしい。去年の1000倍勝ちたい気持ち」と気持ちはまったく引いていない。 お互いに調子は尻上がり。激戦が期待できるだろう。
最終日を迎えた第85回ニッケ全日本テニス選手権。第1試合として行われた男子 シングルス決勝では、第2シードの杉田祐一(三菱電機)が第3シードの鈴木貴 男(イカイ)を圧倒し、初優勝を飾った。男子ダブルスは第1シードの岩見亮 (北日本物産)/近藤大生(アイシン精機)が優勝。岩見は初のダブルスタイト ル、近藤個人では4年ぶりの栄冠だった。女子ダブルスは浜村夏美(フリー)/ 藤原里華(北日本物産)がこのペアでは初優勝。個人では浜村は昨年大会に続く 2連覇、藤原は2年ぶり4度目の女子ダブルス制覇となった。

試合時間はわずか58分。杉田の圧勝劇での全日本初制覇となったが、内容的に は様々な見どころがあった。「有明でこんなスコアで負けたことがない」と苦笑 いしたのは鈴木だ。しかし、負けたとはいえ、鈴木は自分の敗戦を清々しい気持 ちで受け止めたようだ。「自分はサーブに自信を持っている。入れにいって杉田 とストローク勝負をするぐらいなら、自分の武器であるサーブで真っ向勝負にい こうと思った。だが、今日の杉田の反応は凄かったし、本当に強かった」。
ミスター有明と呼ばれ、ロジャー・フェデラーはじめ、多くの選手たちと戦っ てきた鈴木は、「今日の杉田のプレーはトップ50、いや、トップ30ぐらいのレベ ルだった」と評価した。「うまいとかではなく、強い。そんな感じのテニスだっ た。第2セットも、もし先にブレークされたらそれで終わり、よほどのことがな ければ逆転は不可能と思わされたほどだった」。

第4シードの浜村/藤原ペアが、来年のユニバーシアード代表候補の青山/井 上明を大接戦の末に逆転で下した。勝敗を分けたのがファイナルセット第7ゲー ムだった。ゲームカウント2-4とリードされ、青山のサーブで40-0と先行され た。追い込まれた場面で、浜村/藤原が「やるべきことを強い気持ちでやればい い」(浜村)と開き直って、ショットに思い切りが出た。浜村が井上明のポーチ を読んでウイナーを決めるなど、ここから5ポイント連取でブレークして、試合 の流れを引き戻した。

岩見個人としては4度目のダブルスの決勝進出だった。「優勝したら泣くのか なと思っていたが、意外と落ち着いてますね」と試合後の岩見は話した。「きっ とこれから徐々に重みを感じてくるのだと思います」。
3度の準優勝はいずれも添田豪(空旅ドットコム)とのペアだったが、添田が 広州アジア大会に出場することもあって今大会を欠場したため、今年は近藤と組 んだ。「彼には『僕がタイトルを取らせてあげます』とまで言われていたので、 ずっと頼りきりでした」と岩見が持ち上げれば、近藤は「今まで3度準優勝だっ た岩見さんを優勝させた僕は、なんてすごいんだろう、と。冗談です」と笑わせ た。公私ともに仲の良いコンビは、試合でも完璧だった。
開催後の記事を掲載します