2009年 11月 15日
「今日は美味しいご飯食べよう」。最後のチェンジエンドのとき、米村が浜村にささやいた。「昨夜は緊張でご飯の味がしなかった」と浜村。「最初に決勝に出た時は、喜んでいるうちに終わってしまった。2回目もダメで、今回は緊張していました。パートナーも米村さんだし」。06、07年と2度の準優勝、浜村にとっては悲願の初タイトルだった。試合終了後、「米村さん、ありがとう。緒方コーチ、毎日治療してくれたトレーナー……」、そこまでスピーチして、浜村は言葉に詰まった。昨年暮れから4月まで、ひざの故障で歩くのにも不自由した日々がよみがえったのだろう。
前日、シングルス決勝で敗れた米村は「シングルスを落とした以上、ダブルスはどうしても取る、落ち込むことなくタイトルに執着するのがプロ」と、逆に闘志が燃えたという。セットポイント、マッチポイントとも米村のポーチ、“いいとこどり”で栄冠に輝いた。「相手はダブルスを熟知しているけど、勝ちたいのは私たち。経験を生かすことができた。今回も初優勝と同じくらいうれしい」と笑った。
ペア結成は、エントリー締め切りの3週間前。対戦したことがあり、もちろんお互いのプレースタイルはわかっていたが、「リターンはどっちのサイド?」という相談から始まった。それでも、1セットも落とさずトーナメントを乗り切った。「今後は、このペアで国際試合に出ることもあるでしょう」。二人は目線を合わせた。
「まさか私たちが最終日まで残っているとは」とスピーチしたのは、決勝で敗れた伊藤。ペアを組んで3年。ノーシードからの快進撃だった。ペアの平は「なんとかしてコンビネーションで崩そうとしたけれど、相手が上手でした」。「この経験を励みにして、来年も決勝のコートに立ちたい。そして優勝したい」。優勝ペアを十分脅かした二人の今後も期待したい。
小島宣明