2009年 11月 15日
決勝戦にはありがちだが、スタンドの観客にとっては胸のすくような試合ではなかったかもしれない。25歳の添田からも、21歳の杉田からも、勝ちたいという強い思いが伝わってくるプレーぶりだった。ラリー戦では相手の出方をうかがうような打ち合いが続き、先に仕掛けた方がカウンターを食らってポイントを失った。それが一層、両者のプレーを慎重にさせた。
重苦しい雰囲気の中で、先に相手サーブを破ったのは添田。第1セットは第2ゲームでブレークすると、その後は手堅いプレーで押し切った。第2セットでも第5ゲームで杉田のサーブを破って主導権を握った。その流れが変わったのが、5ー4で迎えた添田のサービスゲームだ。
「最初の2ポイントを取って30ー0にしたかった。守らないで思い切ってプレーしようと思っていた」と添田は振り返った。最初のポイントではラリーの中でネットに出たが、フォアハンドをパスで抜かれた。15ー15からも2度続けて前に詰めたが、いずれもパスを決められた。添田の積極的なプレーだったが、杉田には「試合を決めたいという気持ちがあって出てきた」と見えた。「相手に仕掛けさせ、無理をさせることを考えていた」という杉田が逆襲のチャンスを逃さず、ブレークバックして5ー5に押し戻した。
流れは杉田に傾いていたが、最後はサーブ力が勝敗を分けた。6ー5からの添田のサーブで、杉田が攻めた。フォアからネットという展開とフォアのエースで2ポイントを連取したが、ここから添田に第1サーブをコーナーに入れられ、押し返された。「あそこで決め切れるプレーを考えていかないといけない」と杉田を悔しがらせた場面だった。
タイブレークは両者がサーブをキープして始まったが、3ー4で迎えた杉田のサーブで痛恨のダブルフォールトが出た。続くポイントでも第1サーブが入らず、杉田が弱気に入れてきた第2サーブを、添田がたたいてネットにつき連続のミニブレーク。添田が優勝を引き寄せた。タイブレークは心理戦でもあった。「大事な場面でイージーミスが出たら終わりと思っていた」という杉田。それが添田には「これまでは追いかける展開で固くならずにプレーしていたが、タイブレークになって、勝ちを意識している」と映った。決勝の緊張する場面での戦い方は、自分の方が知っているという自信が添田にあった。
初戦を突破した後、「全部、圧勝して優勝したい」と話した添田。「絶対に優勝」と臨んだ前回と違って、今大会は気持ちをどう高めるかが難しかったから、あえて口にした言葉だった。「連覇は素直にうれしい。今回は色んなことをして優勝しようとやってきて、それが結果的に優勝につながった」。準決勝、決勝と自分を追いかける若手に苦しんだだけに、笑顔は少し控えめだった。
谷 祐一
準優勝に終わった杉田の話
「悔いの残る点はあるが、出せるものは全て出した。添田選手に無理をさせたいというのがあったが、添田選手は大事なところで堅実なプレーをしてきた。(初めての決勝で)期待が伝わってきたので、今後は覚悟を決めてやっていきたい」