2009年 11月 14日

男子準決勝の第2試合。観客の多くが連覇を狙う添田のプレーを楽しみに来たはずだ。そのスタンドの6300余人のファンに「三橋淳ここに在り」とばかり、20歳の三橋が強烈な印象を与えた2時間50分の大熱戦だった。
三橋のテニスの教科書には「攻撃」の文字しかないようだ。ベースラインの後ろから、ベースラインの内側から、少々のミスがでようとお構いなしに、ひたすら強打を打ち続けた。ほとんどつなぎのショットがない三橋の攻撃的なプレーに、終始、受け身に立たされた添田が耐えた。世界ランクは添田の152位に対して三橋は418位。どちらが格上か分からない展開が第2セット終盤まで続いた。
肌寒かった前日の準々決勝でも黒のノースリーブでプレーした三橋。「ノースリーブは僕のキャラクターだから」。1m64と小柄な体を少しでも大きく見せたいという思いもあるというが、この日のコート上では、1m80の添田に負けないくらい大きく見えた。
エネルギッシュだったプレーに陰りが出始めたのが第2セット終盤。「足に力が入らず、ひざを曲げている感覚がなくなってきた」と三橋。ストロークミスが目立ち始めたが、「先を考えれば、つないでも仕方ない」と強打にこだわってプレーした。第2セットは5ー5からブレークを許して添田に追いつかれると、最終セットは3度、サーブを破られた。ただ、退場の際に贈られた盛大な拍手は、テニスファンに注目すべき若手として認知された証でもあった。「ベストは尽くしました。大勢のお客さんの前でプレーするのが夢だったので、うれしかった。楽しかったです」。
第1セットからパワー全開の三橋に押しまくられた添田。「彼が速いボールで攻めてくるのは分かってた。予想の範囲内。相手のミスが出るまで食らいついていこうと思っていた」というが、途中ではどうやってポイントを取っていいか分からない状況まで追い込まれた。ストレスも溜まって、第2セットで三橋に1ー2と先行された場面で、持っていたラケットをコート上にたたきつけた。ただ、これで「吹っ切れて、冷静になれた部分もある」。三橋の攻撃をしのいで逆転できたのは実力者の添田だからこそ。「相手より年を取っているので耐えられました」。昨年の初優勝で一回り大きくなった添田が、15日のセンターコートで連覇に挑戦する。
谷 祐一