2009年 11月 13日

ほぼ順当な顔ぶれが残った男子シングルスだが、前日2試合を消化して初の8強入りした竹内の健闘が目立つ。この日の相手は第2シード、伊藤竜馬。「ファイトしてきます」と入った1番コートは、雨が舞い落ちる寸前だ。
最近では韓国のフューチャーズで対戦している両者。試合は6-3、6-1で伊藤の完勝。ジュニア時代からの成績、現在のランキングからも伊藤有利という見方が妥当だ。それゆえ先手がほしい竹内だが、第1セットの伊藤は安定していた。ボクシングで言えば“階級が違う”とでも表現したくなる重いストロークを打ち込む。しかし「立ち上がりからアンフォーストエラーが多く、何とか取れていただけ」と試合後の伊藤。本来の出来からは遠かったのだ。
第2セット、流れが変わった。バックハンドスライスやドロップショットで竹内が揺さぶる。「ストローク戦では分が悪いので、いろいろかき回すつもりだった」。その作戦が結実したのは第2ゲーム、凡ミスの目立つ伊藤のサーブをあっさり破ってみせた。「初めてのブレークで気分的に楽になった」という竹内は一気にたたみかけ、5-0。伊藤の反撃をワンブレークに抑え、ファイナル勝負に持ち込んだ。
「今日は自分のリズムがつかめなかった」と伊藤。第3セットも簡単なフォアハンドをネットするなど低空飛行が続く。というより、この場合は竹内をほめるべきだろう。サーブのコースを読みきったリターンエースなどで2ブレーク、4-1としたあとも切れ味鋭いパッシング、ジャンピングスマッシュでリードを手離さない。マッチポイントはストローク戦から伊藤のアンフォーストエラー。この試合を象徴するような場面だった。「優勝とかは考えず一戦ずつ戦うだけ」。伏兵が4強に名乗りを上げた。
小島宣明