2009年 11月 13日

17歳の奈良が、06年の優勝者である高雄を相手に、ほとんど完璧な内容で勝ち切った。「最初からしっかり集中して入れた。試合ごとにだんだん良くなってきている」。試合後の奈良はそう振り返った。その言葉通り、奈良はファーストポイントからサービスエースを奪い、そのままラブゲームでキープして試合の主導権を握った。
「先に前に入って、早いテンポで返していくこと」をテーマに掲げる奈良。小柄で絶対的なパワーはないが、タイミングでそれを補うテニス。それには確かな打球感覚と身体スピード、瞬時の判断力が要求される。彼女のテニスを見ていてすぐに気づくのは、その打球音の鋭さだ。パワフルなスイングではないが、しっかりとしたインパクトを確保する。だから、短く大きな音がコートに響く。打点に力を集中する能力の高さは一級品と言っていい。さらに、動かされながらのショットでも、しっかりと打ち切れる。
第1セットは奈良の6-1。第2セットでも2度続けてサーブを破られた高雄は、臀部に痛みを訴え、トレーナーを呼んだ。波に乗りかけたところでの中断。治療後には高雄のバックハンドの入りが良くなったこともあり、奈良は再開後のサービスを落としてしまう。しかし、奈良は試合の流れまでは明け渡さなかった。
「今年はツアーでいつも自分より強い相手と戦ってきた。自分も早いテンポのテニスには自信があったが、もっと早い人がたくさんいた。自分のレベルも上げていかないと勝てないと感じたし、色々と考えさせられる中で、冷静に判断できるようにもなった」。奈良は状況に応じて最適な答えを出していく。奈良は深く足もとに、あるいは角度をつけて高雄を崩すと前に入って攻め、高雄がループボールで逃げようとすればライジングで叩いた。高雄には、逆襲の糸口は見つけられなかった。
「全日本は本当に取りたいタイトル。そう思い過ぎて自分をコントロールできない時もあったが、まずは目の前のポイントに集中していこうと思う。決勝を戦えるのが今はすごく楽しみ。それを力にしたい」。17歳とは思えない落ち着きぶりを見せる奈良は、虎視眈々と初タイトルを狙っている。
浅岡隆太