2009年 11月 11日
6-4で終わった第1セットだが、10ゲームのうち7ゲームがデュースに持ち込まれ、このセットだけで63分間を要した大熱戦。屋根を閉じたセンターコートで行われた高校生プロ・奈良と、学生ランキング1位の21歳・青山の対戦は、スコアの数字以上に競った濃密な内容があった。
攻める奈良、しのぐ青山--。奈良のサーブを3度目のデュースで青山がブレークして始まった試合は、ゲームの流れが2人の間をいったりきたりした。第1セットは5-4からの青山のサーブをブレークして奈良が先取。しかし、ブレーク合戦となった第2セットでは、中盤から青山が主導権を奪った。自分のサービスとなる第10ゲームで3度、第12ゲームでも2度のセットポイントを握った。
しぶとくストロークをつなぎ、カウンターショットや意表を突いたネットプレーで攻めてくる青山に手こずった奈良だったが、追い込まれた場面で攻撃的なプレーを忘れなかった。リターンを打ち込んで相手を振り回し、青山が逃げで打ってきた中ロブには思い切り良く前に出てスイングボレーで決めるなど、勝負どころで強気を貫いた。5度のセットポイントをしのいで追いつくと、タイブレークは青山のミスにも助けられて7-2と圧倒、3年連続での準々決勝進出を果たした。
「最悪なくらい、内容が悪かった。すべてが消極的で、強気なプレーが出せなかった」。試合後の記者会見に現れた奈良は敗者のようだった。「何本かいいショットはあった」と言いつつも、「1球1球に集中できてない」「自分をコントロールできなかった」「1セット目でミスしてもいいから自分のテニスをしておくべきだった」。反省の弁が止めどなくあふれ出た。
「勝ちたい気持ち、勝たなければという気持ちが強すぎて、思い切ってテニスが出来ていない」。4度目の出場となる奈良は、初優勝に照準を合わせている分、全日本の難しさを痛感している。「自分のプレーを100%出せる大会じゃない。いいプレーは少ないと思う」。思い通りのプレーができず、内側にストレスを抱えながら、どう負けない戦いをして勝ち上がっていくか。クルム伊達公子、杉山愛、浅越しのぶ、中村藍子、森田あゆみら先輩が克服してきた壁に、17歳が挑んでいる。
谷 祐一