2009年 11月 11日

「1回戦、2回戦より格段に良くなった」と森上は語った。土居に許したのはわずか3ゲーム。サーブはたった一度しかキープさせなかった。ほぼ完璧な内容と言っていいだろう。それでも森上は「2ブレークされたことと、第2セットでファーストサーブの確率が落ちたのは課題。試合の中で修正していけるようにしたい」と振り返る。現役最後の舞台だけに、勝つことはもちろんだが、自分のプレーに対する要求も高いのだろう。今の自分にできる全てをコート上で表現したい。今大会の彼女からは、そんな強い気持ちを感じる。
レシーブを選択した森上は、最初の土居のサーブをいきなりブレークし、次のサービスゲームではエースを連発。序盤からペースを完全に掌握した。土居は得意のフォアで打開しようとしたが、森上はすぐに対応してバックを攻め、時には正面から受け止めて逆襲した。
ボールのパワーだけで言えば、両者は互角か土居の方がやや上と言える部分もあるかもしれない。特にフォアはコートに食いつくような軌道を描いて飛び、バウンド後には鋭く伸びる。しかし、世界の強豪を相手に戦ってきた経験豊富な森上を相手に、ボールの威力だけで押し切れるはずもない。「打って来るコースが読めたし、一本調子で来てくれたのも良かった。イメージしていた通りに試合を運べた」と森上は言う。「今日は必ずいいテニスをしないといけない。勢いもあり、いいものを持っている相手だけに、気を引き締めていかないと、と思っていた。やっと自分のリズムで試合ができた」と笑顔を見せた。
これでベスト8。しかし森上は、通過点に過ぎないと強調した。「この大会に出ると決めた時から、優勝して初めて意味あるものになると思ってきた。ただ、以前のように絶対負けたくないと思うのではなく、気負いもなく、自分の力を出すことに集中できている」と言い切った。心配されるヒザの状態も「100%とは言えないが、今の自分としてはいい状態」だという。実際、コート上での動きにその影響は見られない。この大会には強かった頃の森上亜希子が戻ってきている。
浅岡隆太