2009年 11月 9日
本戦序盤に多い新旧対決。ウィンブルドンジュニアでベスト16、今年の全日本ジュニアを制した江原は「気合」を座右の銘とする18歳。加藤はJTAランキング27位、多彩なテクニックと関西弁を駆使して試合をコントロールする。気合ではひけを取らない円熟の29歳。
江原の身上はベースラインからの攻撃的ストローク。そのフォアハンドは、速い球を打つのは腕力だけじゃない、体の使い方次第でこれだけ正確に強い球を打てるという、よいお手本だ。
試合は、得意のフォアでバックサイドを攻める江原と、それをスライスでしのぎながら機を見て加藤が逆襲するという展開に。第1セット、一時は3ー5とリードされた江原だったが「ちょっと攻撃的すぎたと思ったのでペースを変えた」と落ち着いたもの。ジュニアで世界を巡った経験は選手を大きく成長させている。深くて威力のある逆クロスに、加藤はコートをカバーしきれない。ファーストセットは7ー5、逆転で江原が奪った。
「気合」対決だが、この日の二人はいつもほど声が出ていない。歳が離れていることもあって闘志が噛み合いにくいのか。それでも「さあこい!」「こいやー」「カモーン」と関西調に加藤が叫べば、「ヤー」「WOO!」「バモス」と江原が動物的に返す。4ー2リードで迎えた江原は、この試合では初めてサービスダッシュやドライブボレーを披露。しかし結果には結びつかず、追いつかれタイブレークに。それでも最後は1球ごとに「えい!」で押した江原から「ヨシッ!」の勝ち鬨(かちどき)が上がった。
試合後、リードした場面での戦略変更の理由を尋ねると「プレーの幅を広げないと……」という返事が返ってきた。若武者は全日本のずっと先まで見据えながらコートに立っている。そう感じた。次の相手は第6シード近藤大生(アイシン精機)。もっと熱く「ほえる江原弘泰」が見られるだろう。
小島宣明