2009年 11月 9日

「一番いい時の6割程度の出来」と森上は言う。しかし、調子が上がり切らない段階でも、一つのラリーの中で様々な球種を使い分けて相手に自由にスイングさせず、試合をまとめあげてしまうのは、やはりさすがというべきだろう。
コイントスに勝ってサーブを選択したのは飯島だったが、最初のゲームでそのサーブが乱れた。森上はそれを見逃さずリターンでプレッシャーをかけ、いきなりブレークしてペースを掌握した。
「試合ではどちらが早くリズムを作れるかが大事。全日本だと意識しすぎるとどうしても固くなるものだが、その中でも絶対勝つという強い気持ちを持っていくことが大切になると思う」という森上は、常にリードしながら試合を進め、第1セットもあっという間に4ー0とリードを広げた。しかし、「6ー0で取れていてもおかしくなかったものを6ー3にしてしまった。自分で自分を苦しめたような展開。5ー2でブレークされて、相手のサーブ。5ー4にされていたらどうなっていたか分からない」と森上。スコアも印象も森上の楽勝と見てもいい試合だったが、内側では様々な葛藤があったのだという。選手に激しいプレッシャーを強いる全日本ならではの現象と言ってもいいのかもしれない。
「次の土居選手は伸び盛り。修正してしっかりやらないと」。森上は試合が終わるとすぐに、次の対戦相手、土居美咲(TEAM自由が丘)と大西香(ノアインドアステージ)が戦う第1コートに偵察に向かった。本気でこの大会に勝ちにきている気持ちの現れだろう。
「1回戦、2回戦ではなかなか自分のベストは出せない。ただ、そんな中でも勝っていくことが大事。今はまだいいテニスができていないが、一つ一つしっかりと勝ち上がって、準決勝、決勝と進んでいければ、たくさんの人に見てもらえる」。初の全日本制覇まであと4試合。「今はヒザのケガのことは忘れている」。森上の調子が上がって来た。
浅岡隆太