2009年 11月7日

茶圓が20年連続の本戦出場をかけて、成瀬と戦った男子シングルス予選A決勝は、白熱した試合となった。スピードに溢れるテニスが持ち味の成瀬に対して、茶圓が様々なペースを操って試合をコントロール。フォアはフラット、バックはスライスが茶圓のテニスだが、その中でも深さや高さ、角度を操って成瀬にペースを与えない。百戦錬磨のベテランらしいプレーを存分に見せつけた。
第1セットは成瀬が先行したが、展開を支配していたのは茶圓だった。成瀬は低く伸びる茶圓のスライスに苦しみ、バックハンドをたびたびネットにかけた。それならとフォアにボールを集めればフラットでたたかれ、なかなか持ち前の攻めを見せられない。結果としてセットは取ったが、茶圓のミスに助けられた印象も強かった。
第2セットに入って、茶圓の動きに切れが出始めた。第1セットでは浮き気味だったスライスが鋭く伸びて成瀬の足下を襲い、フォアのフラットはコートの端を削った。第1ゲームの成瀬のサービスゲームをいきなりブレークすると、そのままペースを掌握。第9ゲームではフォアでリターンエースを連発し、再びブレークして試合をイーブンに戻した。
迎えた最終セット。成瀬はようやく茶圓のペースに慣れたようで、それまで苦しんでいた茶圓のスライスに対応し始めた。ミスが減り、徐々に成瀬が攻め込む場面が増えていく。5ー2でサービスゲームを迎えるなど、最終セットで常にリードしていたのは成瀬だった。
しかし、勝利が見え始めた成瀬のプレーに焦りが見え始めた。茶圓はそれを見逃さず逆襲に転じた。ロングラリーを制し、リターンでもフラットに打ち抜いてエースを奪うなど、攻守に攻めの姿勢を見せた茶圓は5ー5まで挽回した。
しかし、反撃はここまでだった。ポジションを上げて捨て身の攻撃に出た成瀬に対し、スライス一辺倒だったバックでフラットのパスを混ぜるなど茶圓もその技の限りを尽くして抵抗したが、最後はフォアに回り込んでたたきにいったリターンがネットにかかり、試合は決した。
「今の自分ができる範囲のことはできたかなと思う。良かった時と比べると及ばない部分はあったが、精一杯のプレーができた。悔いはありません」と試合後の茶圓は爽やかな表情で語った。20年に及ぶ茶圓の全日本の歴史。20年連続の本戦出場は逃したが、「色んな世代の若手選手たちと戦えて、その都度プレッシャーもあったが、今思えば、それが良かったのだと思う。毎回すごく刺激になったし、自分がここまで長くプレーできたのも、若い選手たちとたくさん関われたおかげだと思う」と茶圓は言う。
後輩の岩見亮(北日本物産)、近藤大生(アイシン精機)、添田豪(ミキプルーン)も試合を見届けた。中でも長く同じチームで活動していた添田は「茶圓さんにはテニスから私生活まで、色んなことを教えてもらいました」と感謝の言葉を口にした。今後は具体的には未定としながらも、後進を育てる道を選びたいという茶圓は、「今までは次に対戦することを考えて、若手選手からアドバイスを求められても言えないことがあったが、今後は何でも答えられる」と笑った。多くの若手選手の壁となり、その身をもってプロ選手としての手本を示し続けた茶圓らしい最後の戦いだった。