全日本テニス選手権90th

お知らせ

2015.11.09
11月8日のギャラリー」を掲載いたしました。
2015.11.08
トップニュース【11月8日 大会第9日】を掲載いたしました。
2015.11.08
11月7日のギャラリー」を掲載いたしました。
2015.11.07
トップニュース【11月7日 大会第8日】を掲載いたしました。
2015.11.07
11月6日のギャラリー」を掲載いたしました。
2015.11.06
トップニュース【11月6日 大会第7日】を掲載いたしました。
2015.11.06
11月5日のギャラリー」を掲載いたしました。
2015.11.05
トップニュース【11月5日 大会第6日】を掲載いたしました。
2015.11.05
11月4日のギャラリー」を掲載いたしました。
2015.11.04
トップニュース【11月4日 大会第5日】を掲載いたしました。
2015.11.04
11月3日のギャラリー」を掲載いたしました。
2015.11.03
トップニュース【11月3日 大会第4日】を掲載いたしました。
2015.11.03
11月2日のギャラリー」を掲載いたしました。
2015.11.02
トップニュース【11月2日 大会第3日】を掲載いたしました。
2015.11.02
11月1日のギャラリー」を掲載いたしました。
2015.11.01
トップニュース【11月1日 大会第2日】を掲載いたしました。
2015.11.01
10月31日のギャラリー」を掲載いたしました。
2015.10.31
トップニュース【10月31日 大会第1日】を掲載いたしました。
2015.10.30
大会「ライブスコア」を設置いたしました。
2015.10.27
本戦・予選選手の欠場により、男子シングルス予選・補欠、女子シングルス本戦・予選・補欠に、一部順位の繰り上げが発生しています。エントリー選手は、ご自分の受入順位を以下のページより必ず確認してください。
2015.10.27
「【当日参加イベント】来場ポイントカード」を掲載いたしました。
2015.10.22
「選考結果についてのお知らせ [PDF]」を掲載いたしました。
2015.10.20
「出場予定選手」ページを公開いたしました。
2015.10.15
「イベント情報」ページを公開いたしました。
2015.09.18
第90回記念大会 橋本総業 全日本テニス選手権 公式サイト を公開いたしました。

出場選手の皆さまへ

※東日本大会の要項はこちら(PDF)
※東日本大会の男子ドローはこちら(PDF)
※東日本大会の女子ドローはこちら(PDF)
※西日本大会の要項はこちら(PDF)
※西日本大会の男子ドローはこちら(PDF)
※西日本大会の女子ドローはこちら(PDF)


トップニュース

【第90回記念大会 橋本総業全日本テニス選手権】
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開 催 日:予選 10月29日(木)~31日(土)
     本戦 10月31日(土)~11月8日(日)
会  場:有明コロシアム、
     有明テニスの森公園テニスコート(東京都江東区)
賞金総額:賞金総額 28,460,000円
      男子賞金額 14,030,000円
      女子賞金額 14,030,000円
      混合賞金額 400,000円

TV放映:NHK Eテレにて放映予定
      女子シングルス決勝 11月7日(土)14:30~16:00
      男子シングルス決勝 11月8日(日)15:00~16:30

第90回記念大会全日本テニス選手権の特別協賛が、
今年も橋本総業株式会社様に決定しました。
大会は10月31日~11月8日の9日間、東京・有明テニスの森公園で行われます。

【予選】

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2013年大会ベスト4の石津、沖縄尚学高3年のリューらが初戦を突破

【10月31日 大会第1日】
曇り空の下、やや肌寒かったハロウィンの10月31日は女子シングルス1回戦、男子シングルス予選決勝、男女ダブルスの1回戦が行われた。女子シングルスでは第2シードの加藤未唯(佐川印刷)が右肩の故障で出場を辞退したが、2012年大会準優勝で、今大会では予選からの出場だった山外涼月(橋本総業)、2013年大会ベスト4の石津幸恵(橋本総業)を始め、本戦初出場の布目千尋(北日本物産)や、千村もも花(TTC)が大会初勝利を挙げている。男子シングルス予選では18歳の福田創楽(Project ALC)や19歳の大西賢(ノア・インドアステージ)など8人が本戦に名乗りを上げている。

[女子シングルス1回戦]

○石津幸恵(橋本総業) 6-4,6-1 ●高畑寿弥(橋本総業)

■2013年大会ベスト4の石津が、2年ぶりとなる全日本の初戦で快勝した。ベースラインからウイナーを狙うようなショットを打ち込み、どんどんネットにも出てくる高畑の攻撃テニスに、第1セット第1ゲームでいきなりサーブを破られた。しかし、徐々にからだが動いてくると、フォア、バックに本来の当たりが戻ってきた。第1セットは2-4から4ゲームを連取、第2セットは1-1から5ゲーム連取で一気の決着をつけた。

■昨年3月、メキシコの大会で左足を痛め、その後に左手首も故障して、ほぼ1年間、大会を離れていた。本格的な練習を始めたのは今年の3月から。本来のプレーと比べると、「まだ60%くらい」というのが自己評価だ。「足が遅いし、以前なら打てていたボールが返すだけだったりした」。休んでいた時期に体重も増えたため「5キロは落としたい」と話す。

■休学していた筑波大に今春、復学した。「まだ2年生なんです」と苦笑する23歳は、大学から橋本総業に所属先を変更した。「全日本は目標にしていた大会。(最高成績の)ベスト4を乗り越えたいと思うが、でもブランクがあっての今なので、一つ一つ上がっていけたらいい」。2回戦の相手は第11シードの宮村美紀(フリー)。故障から復帰した石津の真価を問われるのはこれからだ。 (谷 祐一)

[女子シングルス1回戦]

○千村もも花(TTC) 6-2,2-6,6-1 ●山口芽生(Fテニス)

■今年の全日本ジュニア18歳以下準優勝、今大会には関東地域の推薦枠を得て出場してきた千村。対する山口はJOP大会や、ITF2万5千ドル牧ノ原の本戦出場などで稼いだポイントで予選入りした16歳。予選の2試合に勝って迎えた1回戦だった。

■「相手がジュニアだから負けたくないと思っていたが、スピン系のボールにうまく合わせることができず、自分のプレーができなかった。すごく悔しい」と山口は試合を振り返ったが、あくまでも自分の早いリズムに相手を巻き込んで戦いたい山口に対して、千村は彼女の持ち球でもあるスピン系のボールを使って確率を確保しながら、前後左右に展開していくのが持ち味。山口が先手を取ったオフェンスが優位な時間帯は山口がポイントを取り、千村にミスが出ない時間帯では千村の優位に進むという試合で、ある意味スコア通りの展開だったと言っていいのだが、その分だけ集中力勝負という側面も大きい比重を占めた試合でもあった。

■山口は中学卒業後に進学を選ばず、プロを目指して選手活動に専念している選手。「ジュニアに負けたくない」という言葉もそれゆえのことでもあったのだろうが、千村に打たされる形で負けてしまったのは、千村の経験が上回ったからだろう。

■だが、山口も経験を積み、攻守のバランスが取れてくれば相手に簡単に崩されるポイントが減り、より確率の高い攻めのテニスを確立することもできるようになるだろう。「今はすごく楽しいです」と自分の成長を実感しているという山口。この先が楽しみな存在がまた一人現れた。(浅岡 隆太)

[女子シングルス1回戦]

○リュー理沙マリー(沖縄尚学高) 6-4,6-3 ●長谷川茉美(伊予銀行)

■今年の高校総体準優勝が評価されて、主催者推薦で出場した沖縄尚学高3年のリューが初戦を突破した。「出場できたのがラッキー。1回は勝ちたいと思っていた」というリューは、第1、第2セットとも先行される展開だったが、「スタートがいつも悪いので、最初を取られても気持ちを切り替えてできた」と落ち着いていた。早稲田大時代の2013年インカレで準優勝という長谷川のサーブを5度ブレークしてストレート勝ちを収めた。

■記者会見では「いろんな人が見に来ていたので、勝ちにこだわりたいと思っていた。初めて出て、勝ててうれしい」とはにかんだ様子で話したリューの2回戦の相手は、第9シードの田中優季(メディカルラボ)。田中とは今年5月のITF大会で当たり、この時はリューが6-3、0-6、7-6(7)で競り勝っている。「次は対戦したことのある選手なので、前にやった時のことを考えながらやりたい」とベスト16進出に意欲を見せた。(谷 祐一)

[男子シングルス予選決勝]

○大和田英俊(フミヤエース市川テニスアカデミー) 6-2,7-6(3) ●福田勝志(ASIA PARTNERSHIP FUND)

■中央大学2年生、20歳の大和田(46位)が39歳の大ベテラン福田(55位)を終始攻め、ときに長いラリーを我慢して振り切り、本戦に上がった。一言で総括すればそれだけだ。切れのあるバックハンドから強打を展開する大和田の勝ち上がりには期待しよう。

■全日本で3度のベスト8に進んだことのある福田は、30代最後の全日本が終わり、3年連続の予選敗退となった。しかしその福田は同時に「20年連続の予選以上の出場」という金字塔を打ち立て、そして何のためらいもなく21回目の有明に戻ってくることを明言した。

■福田目線で試合を見てみる。いきなり2-6、0-2まで追い込まれる。高精度の深さと緩さを誇る "福田ボール" を大和田のバックハンドの低い打点に延々送り込むが、我慢して勝負球を選んだ大和田の強打をかわしきれなかった。しかし続く第2セット第3ゲームを2度のデュースで久々にサービスキープすると、 "福田ボール" がボディーブローのように効いてくる。大和田の無理打ちのミスが目立ち、4ゲーム連取で4-2とひっくり返しにかかった。「体力・脚力では上回れていた」福田だが、「攻めに回れるボールをうまく捉えられず」、逆に大和田の強いスピンのかかったフォアハンドに対して「深く打ちきれなくなった」。4-3とブレークバックされると、我慢のメリハリをさらにつけた大和田の強打を再び抑えられない展開になってしまった。

■一方の大和田は "福田ボール" にそれなりのダメージを受けていた。我慢のメリハリは、体力と精度の温存でもあったのだ。終盤に足のけいれんを起こし、サービング・フォー・ザ・マッチとなった第2セット5-4をあっさり落としてしまう。福田のチャンスだったが、大和田が前後の揺さぶりと要所でのネットプレーで活路をつくり、タイブレークは福田も早いミスが出てあっさり終わってしまった。

■全日本20年連続の記録は、福田本人も意識していた。大学2年生の1996年に予選初出場、1997年が本戦初出場(ベスト8)となるが、1996年は公式記録も残っておらず、「母の日記(笑)」で今回確認したという。鈴木貴男(イカイ)が同学年で、ジュニアから大学時代にかけて同世代のタイトルには恵まれてこなかったが、97年の全日本ベスト8で、「大人の世界でも意外と通用するのだと、自信になった」。最高ランキング9位をマークし、"テニスで一生食っていく" 道を選べたことが20代の総括と言えるだろう。

■30歳を過ぎると、同世代から上の選手たちが次々と引退していった。当時は30歳を大きく過ぎて現役を続ける選手は少なかった。それでも福田は大きくランキングを落とすこともなく、けがでの長期離脱もなく、35歳を超えて20位を記録するなど、高いレベルの節制と努力を続け、10年間を走り抜けてきた。全日本レベルの戦いのステージにとどまれたことが30代の総括であろう。

■「20年連続出場を誇りに思う」。福田は物静かに語った。40代の抱負と目標は、の問いかけに「まわりをあっと言わせる存在でいたい。全日本では本戦で勝負できるレベルにいたい。そのためにはけがをせず、通年で回ってポイントを蓄える状態でいたい」。39歳で国内25大会を回った実績とモチベーションは、10年後の有明でのコメントまで期待できそうだ。(倉沢 鉄也)

【大会第2日みどころ】

■ジュニア年代の若手が経験豊富な先輩に挑む試合が全日本のみどころの一つ。出場48人中、20人が初出場というフレッシュな顔ぶれになった男子シングルスでは、16歳の清水悠太(パブリックテニスイングランド)など7人のジュニア選手が挑戦する。予選を突破して出場の福田創楽(Project ALC)は1番コートの第2試合に、最年少の清水は10番コートの第1試合に登場。今年の全米ジュニア男子ダブルスで4強入りした17歳の綿貫陽介(グローバルプロテニスアカデミー)は、11番コートの第1試合で19歳の大西賢(ノア・インドアステージ)と対戦する。

■1991年大会が初出場で3回の優勝を誇る39歳の鈴木貴男(イカイ)は、これが16回目の全日本。昨年は予選を突破しての出場だったが、今回はランキングを上げて本戦入りを果たした。コロシアムの第1試合で昨年のインカレ準優勝者、岡村一成(クロスカンパニー)に胸を貸す。今では少数派となったサーブアンドボレーの鈴木は、速いタイミングでネットプレーを仕掛けてくる。岡村のストローク力が鈴木のネットプレーを打ち破ることができるか。

■女子シングルスは2回戦に入り、シード勢が登場する。コロシアムの第2試合には15回目の出場となる第3シードの波形純理(伊予銀行)が入り、小関みちか(フリー)と対戦する。2番コートの第2試合では高校3年のリュー理沙マリー(沖縄尚学高)が第9シードの田中優季(メディカルラボ)に挑む。3番コートの第2試合は、昨年のインカレ女王、吉冨愛子(早稲田大)と大学の先輩になる第14シード、井上明里(レスポートサックジャパン)の同窓対決。4番コートの第3試合では、第7シードの二宮真琴(橋本総業)が、初出場で初戦を突破した布目千尋(北日本物産)と対戦する。

■面白いのが2番コートの第3試合。第10シードで昨年ベスト4の鮎川真奈(橋本総業)と辻佳奈美(日清紡ホールディングス)の一戦だ。同世代の日比野菜緒(フリー)らを追いかける21歳の鮎川にとって、今回の全日本は存在をアピールする格好の機会。一方、2010年に14歳でプロに転向して話題となった辻も19歳とジュニア年代を卒業した。初出場だった11年以来となる白星を勝ち取った今回は何としても上位に進出したい。右利きの鮎川と左利きの辻だが、ともにフォアの強打を武器にするだけに激しいラリー戦は必至だ。(谷 祐一)

39歳のベテラン、鈴木が初戦に快勝。波形、鮎川らがベスト16入り

【11月1日 大会第2日】
晴天の下、11月1日は男子シングルス1回戦、女子シングルス2回戦、男女ダブルス1回戦が行われた。男子シングルスでは過去3度優勝の39歳、鈴木貴男(イカイ)のほか、高校1年生の清水悠太(パブリックテニスイングランド)、小林雅哉(グリーンテニスプラザ)福田創楽(Project ALC)らジュニア勢も初戦を突破した。女子シングルスは第3シードの波形純理(伊予銀行)、昨年ベスト4の第10シードの鮎川真奈(橋本総業)らが3回戦(ベスト16)に進んだ。

[男子シングルス1回戦]

○鈴木貴男(イカイ) 6-1,6-1 ●岡村一成(クロスカンパニー)

■過去3度の優勝を誇る39歳のベテラン、鈴木貴男が今年も全日本の舞台に立った。幾多の思い出がある有明のセンターコートで、テニスマニアを満足させる快勝を見せた。

■相手の岡村はプロ1年目で昨年のインカレ準優勝者。だが、鈴木は球威よりもコースを重視する巧みなプレーで、その相手の力を発揮させなかった。サーブは的を絞らせず、味のあるサーブアンドボレーで確実に仕留める。ストロークでもバックハンドのスライスを主体に自分のペースに持ち込み、相手に気持ちよく打たせない。出だしからの4ゲーム連取で試合の流れを引き寄せた。「(岡村が)早稲田にいたときから練習もしていたし、プレースタイルはよくわかっていた。簡単には勝たせてくれない、と警戒はしていた。(立ち上がりに)きちっと入ったのがよかった」と納得の表情だった。

■日本男子の元エースは、昨年は予選からだったが、今年は本戦ストレートインで実に16度目の出場。その意欲を掻き立てるものは何なのか。「テニスマニアというか、全日本を好きな方が平日の昼間でも見に来てくれる。ことしの鈴木貴男はどうなのと見に来てくれる方がいる限りは、いい意味で(予想を)裏切りたいし、若い選手を倒すのを望んでいたり、僕のスタイルを望んでいる方もいる」。こんなプロ意識が、長く競技生活を続けられる理由の一端なのだろう。

■ダブルスで完敗した楽天ジャパンオープンの後、サーブの改良に取り組んでいるという。「省エネになりすぎて、サーブでポイントを取ろうとしてなかった。スピード、パワーという荒々しさを敢えてこの年齢だからこそやってみたいなと」。この衰えない探求心と、力の抜けた独特のプレースタイル。全日本での存在感は、今年も光っている。(早川 忠宏)

[女子シングルス2回戦]

○鮎川真奈(橋本総業) 6-2,4-6,6-4 ●辻佳奈美(日清紡ホールディングス)

■ともにフォアハンドの強打を軸とする強打者同士だが、利き腕は左右逆。「相手はトップスピンで左利き。フォアで逆クロスを打ってもそれが相手のフォアに行くのでなかなか決まらない。相手がどんな選手かはよく知っているので予想はしていたが、相手に先に仕掛けられたくない。リスクを取ってでも自分からいかないといけないと思って頑張れた」と鮎川は試合後に話している。試合の内容は、彼女のこの言葉がほぼ全てと言ってもいい。

■第1セットは4回、第2セットで5回、第3セットでは7回のブレークの応酬で、お互いに走って叩き、ポイントを取るか取られるかの我慢比べ。第3セットでは辻が先に2つブレークして3-0とリードしたのだが、鮎川はここで踏ん張って第4ゲーム以降の3ゲームを連取して試合を立て直した。

■「どんなに走らされても引かずに打ち切った」のが逆転の要因だったと鮎川は言うが、「途中からは高さを使って緩急をつけていくようにした。相手もそれを嫌がっているのがわかった」とも話している。激しい消耗戦の中でも勝ちに結びつける道を見つけ出して実行できたのは、やはり昨年ベスト4の実績を残した選手ならではということなのだろう。

■最後のゲームは辻のサービスゲームをブレークしての勝利だった。2本目のマッチポイントで鮎川のフォアハンドリターンがラインを削る。辻はフォアで合わせようとしたが打ち損なう形となってアウト。お互いに死力を尽くした2時間50分の接戦の幕切れだった。(浅岡 隆太)

[男子シングルス1回戦]

○清水悠太(パブリックテニスイングランド) 6-0,6-2 ●一藤木貴大(たちかわジュニアテニスアカデミー)

■男子シングルスで最年少、16歳の清水が初戦を突破した。今年のジュニアデ杯(16歳以下)の決勝大会で4位に入った日本代表のメンバー。高校総体ベスト4などの好成績を残し、地域協会の推薦で全日本出場のチャンスをつかんだ。26歳の一藤木を47分の試合で押し切って、「試合前は少し緊張したが、試合に入ってからは普段通りにできた」と清水。「高校1年の若さを生かして思い切りやるだけと思っていた。自分なりにいいプレーができた」と納得の表情を浮かべた。初めての全日本は「会場が広くて、少しわくわくする雰囲気。ここに自分がいることに少し違和感があるが、それを楽しみたい」。2回戦は第10シードの吉備雄也(ノア・インドアステージ)と当たる。思い切って若さをぶつけていくだけだ。
(谷 祐一)

[男子シングルス1回戦]

○小林雅哉(グリーンテニスプラザ) 7-5,4-6,6-3 ●上杉海斗

■小林雅哉:全日本ジュニア選手権18歳以下の優勝者は、大学生に勝つ。「第2セットは自分の集中力がきれてしまったが、ファイナル(セット)は気合で取った。粘り強く、しつこく返すと意外とボレーをミスしてくれて、ラリー戦でも負けてないと思った。本当に勝てるとは思っていなかったので、うれしい」

[女子シングルス2回戦]

○吉冨愛子(早稲田大学) 1-6,6-4,6-3 ●井上明里(レスポートサックジャパン)

■吉冨愛子:大学の先輩である第14シードの井上明里を破って、ベスト16入り。「第1セットは相手のスピードについていけなくて一方的な展開だったが、第2セットの第1ゲームを切り替えて取ることができたのが大きかった。(大学王座を終え)大きい声では言えませんが、とてもテニスが楽しくて、伸び伸びやらせてもらっている」

【大会第3日みどころ】

■男子シングルスも2回戦が始まり、コロシアムには男女シングルスの上位シード選手の試合が並ぶ。第1試合は男子シングルス第2シードの内山靖崇(北日本物産)が登場する。18歳で初めて出た全日本で2試合を勝ち上がった内山ももう23歳、今回が6回目の出場となる。昨年は優勝した江原弘泰(日清紡ホールディングス)に惜敗してベスト4止まり。男子ダブルスで全日本のタイトルは取っているが、そろそろシングルスでも優勝が欲しいところだ。相手の綿貫敬介(明治安田生命)は日本ランキング45位で、6位の内山にとって難敵とは言えないが、1回戦で四日市工高3年の島袋将をストレートで下して勝ち上がってきた綿貫敬に対して、シード選手の内山はこれが大会初戦になる。どんな大会も初戦の戦い方は難しいだけに、内山といえども油断はできない。

■第2試合は女子シングルス2回戦。第1シードの桑田寛子(島津製作所)が寺見かりん(山梨学院大)の挑戦を受ける。早稲田大時代にインカレを3連覇している桑田に対して、寺見は今年のインカレではベスト16、西日本予選を突破して初めての全日本の本戦出場を果たした。1回戦では格上の越野由梨奈(フリー)を破ってきた大学3年の寺見が、4学年上になる桑田の胸を借りる。

■第3試合は男子シングルスで第1シードの添田豪(GODAIテニスカレッジ)が杉本椋亮(法政大)と対戦する。2008年、09年と連覇している添田は6年ぶりの出場。世界ランクで最高位47位まで上がった31歳は今回、新たなモチベーションを求めて全日本出場を決めた。世界ランクを100位台に落としたとはいえ安定したストローク力は健在で、優勝候補の筆頭に挙がる。今年の全日本学生選手権(インカレ)でベスト4に進んでいる杉本にとって、添田は負けても何も失うものがない相手。思い切ってぶつかっていくだけだ。

■第4試合は女子シングルス2回戦。前回ベスト4の瀬間詠里花(橋本総業)が今年の全日本ジュニア18歳以下で準優勝の千村もも花(TTC)と対戦する。ジュニア年代で2回戦を戦うのは、千村とリュー理沙マリー(沖縄尚学高)、ラッキールーザーで第2シードの枠に入った秋山みなみ(Fテニス)の3人。リューは第2日に2回戦を戦ってシード勢に敗れている。

■第3日は天候が気になるところだが、1番コート、2番コートにも注目の試合が組まれた。1番コート第2試合では、ベテランの鈴木貴男(イカイ)が第9シードの綿貫裕介(橋本総業)と対戦する。得意のネットプレーがさえて初戦を突破した鈴木だが、昨年は第6シード(当時)にはね返された鈴木だが、今回はシードの壁を突破できるか。2番コート第2試合では、第4シードの関口周一(Team REC)に今年の大学王者、今井慎太郎(早稲田大)が挑戦する。(谷 祐一)

男子シングルス、第1シードの添田、第2シードの内山がともに快勝

【11月2日 大会第3日】
午前中から降り続いた雨の影響で、男子シングルスは第1シードの添田豪(GODAIテニスカレッジ)と杉本椋亮(法政大学)と、第2シードの内山靖崇(北日本物産)と綿貫敬介(明治安田生命)の2試合が終わったのみで、添田と内山が勝利。午後からはコロシアム外のコートでも試合が再開されて女子シングルス2回戦は8試合が行われてベスト16が出そろった。この3日目にシードダウンを演出したのは、いずれも予選から勝ち上がって来た山外涼月(橋本総業)と馬場早莉(荏原湘南スポーツセンター)で、山外が第12シードの美濃越舞(YCA)を、馬場は第6シードの今西美晴(島津製作所)を破ってのベスト16進出だ。

[男子シングルス2回戦]

○添田豪(GODAIテニスカレッジ) 6-1,6-2 ●杉本椋亮(法政大学)

■添田のランキングは114位。来年の全豪のエントリーを考えれば、世界ランキングに関係ない全日本出場に彼のメリットはなく、実際、2009年大会以来6年ぶりの出場だ。それでも添田が全日本を選んだのは、「最近はこの時期のチャレンジャー大会や、海外の大会に出ていたが、そのルーティンを繰り返す中でモチベーションがなくなってきていた」からだという。「自分もベテランという年齢になって、自分がエネルギッシュになれるのは何かと考えたときに、もう一度全日本で優勝を狙うことで、モチベーションがわいて、しっかりとした準備ができるのではないかと思った」と添田。「長い目で見たときに、この大会に出たということがきっとプラスになると思う」。

■相手の杉本は添田と同じ荏原SSCの後輩。もっとも年齢が10歳近く離れているため、添田はSSCのコーチにそう言われるまで知らなかったというが、杉本からすれば子ども時代からの憧れの選手。インカレ・ベスト4の実績で予選のワイルドカードを得ての全日本出場で、予選を勝ち上がったときから添田とのプレーを熱望していたのだという。

■試合は試合時間にしてわずか58分で添田が快勝。第1セットは第5ゲームで添田が1度ブレークを許しただけの6-1で、第2セットは添田が2度のブレークでの6-2。第1セットの添田は杉本のファーストサービスに対して10本中9本ポイントをポイントに結びつけた。

■だが、第2セットに入ってからは開き直ったのか、杉本の動きにも切れが出始めた。杉本は第1ゲームでこの試合初めてサービスをキープすると、第2ゲームでも添田のサービスに襲いかかった。杉本はSSC育ちらしいしっかりとしたストローク力を持ち、運動量が豊富なファイタータイプ。もし、杉本がここでブレークに成功していれば、試合の流れがわからなくなる可能性もあったかもしれないが、添田はここをきっちり締めたことで、試合の流れをほぼ完全に掌握した。

■「決勝までを考えると長い大会。試合のことだけでなく、食事やトレーニングなど、コート外でのことをきっちり細かくやっていきたい」と添田は話している。選手としての原点に戻りたいというのが今大会出場の動機でもある添田にとって、初戦が単純な意味での楽勝ではなかったというのもまた、「いい形での勝利だった」と言えるのだろう。(浅岡 隆太)

[男子シングルス2回戦]

○内山靖崇(北日本物産) 6-2,6-2 ●綿貫敬介(明治安田生命)

■「賜杯を掲げたい! ただ、それだけのために」(本大会キャッチコピーより)、内山が今年も有明に戻ってきた。ラケット(従来モデル)も新調し、この数年であと一歩届かない賜杯を、昨年に引き続き第2シードから狙う。ナショナルメンバーからの出場は添田豪(GODAIテニスカレッジ)と2人だけとなり、世界を回る上位メンバーを意識しながら「自分にできることは優勝を目指すこと」と目標もクリアだ。

■初戦の相手は21歳、45位の綿貫敬介。おそらく史上初となる3兄弟(裕介、敬介、陽介)同時のシングルス本戦入りを果たし、全日本初出場ながら1回戦を突破してきた若手だ。「初戦はどの大会でも入りが難しい。とくに全日本は、日本人しかいないことのやりにくさがある。負けたくない気持ちが強くなる」という。結果は「ニコニコ」、順調な初戦突破となった。

■2セットの内容は少々違った。第1セットはペースをつかむ意識で淡々と打ち合い、「すごい運動量で飛ばしてきた」綿貫の力を受け止めながらの横綱相撲。第2セットから少しだけギアを上げ、仕掛けをより早くして、やや足の止まった綿貫にラリーをさせず、オーバーペース気味のミスも少々出たが、得意の展開に持ち込んだ。「いつも以上に気を引き締めていった。スコアも内容もいいスタート」と内山は総括した。

■「スペインでの練習環境がシングルスのレベルを引き上げている」と内山が言う。「クレーコートでの練習でストロークが安定し、自分への安心感が上がった」。小規模のテニスキャンプで、コーチとほぼマンツーマン、しかも「アドバイスの質にコーチの個人差が少なく、常に高いレベルの指導を受けられる」。内山がかつて留学した巨大キャンプ・IMGアカデミーとは大きく異なる環境だが、「今はこのほうが自分に向いている」という。今大会を走り出したばかりの内山の照準は、すでに優勝の先にある。(倉沢 鉄也)

[女子シングルス2回戦]

○桑田寛子(島津製作所) 6-2,6-3 ●寺見かりん(山梨学院大)

■寺見のサーブを4度ブレークした桑田が、試合時間57分で危なげなく2回戦を突破した。ラリー戦では若い寺見を左右に振り回し、浅いボールが返ってくればウイナーを奪う。ネットにも積極的に出てポイントを決める。「いい緊張感を持ってできた。学生が相手なので負けられない、という気持ちがあったが、内容としてはいい試合ができた」と第1シードが初戦を振り返った。

■この大会の直前にタイのITFサーキットに出場していた。土曜日の決勝に勝ってITF大会5度目の優勝を果たすと、夜の便で帰国の途に。日曜の朝に日本に戻るとその日の女子ダブルス1回戦に出場と、今回の全日本はハードスケジュールになっている。「思ったより疲れはなくて、今日も動けた。タイはすごく暑かったので、逆にちょうどいい気候というか、動きやすいですね」。雨で屋根が閉じられたコロシアムの中で、観客は寒さ対策に服を着込んでいたが、コート上を走り回った桑田にとっては、大汗をかいたバンコクよりもいいコンディションだったようだ。

■女子のトップは海外の大会を優先させるため、欠場者の目立つのが最近の全日本。だが、桑田は「出ないという選択肢はなかった」と話す。「全日本は国内最高峰の大会だし、誰もが目標にしている大会だと思う。そこでしっかり勝つのが大事、絶対に出ようとやっている」。直前にタイの大会を入れたのも「決勝まで行っても、全日本に間に合わないというのはないと思っていたし、タイで試合数をこなして臨みたかった」という。

■全日本は7年連続出場になる。早稲田大2年で全日本学生選手権に初優勝、ワイルドカード(主催者推薦)をもらって出場した2010年大会ではベスト4に進出した。「学生のときの全日本はノンプレッシャーだった」。その後は昨年のベスト8が最高で、まだ決勝の舞台にも届いていない。ただ、絶対に優勝と思い詰めている訳ではない。「今回もそれほどプレッシャーを感じていない。好きな日本、好きな有明のコートでいいテニスができればと思っている。第1シードとして勝ちたいし、またそう見られている。そこはしっかり心に留めてやってます」。来月に25歳になる桑田は、気負わず淡々と、初優勝を狙っている。 (谷 祐一)

【大会第4日みどころ】

■前日の雨で順延された分も含めて9面のコートに34試合が組まれた。女子シングルスはベスト8を決める3回戦に突入、男子シングルスは2回戦でまだベスト16決めだが楽しみな対戦が多い。注目試合をいくつか紹介する。

■女子シングルス3回戦では、コロシアムの第1試合に入った第7シードの二宮真琴と第10シードの鮎川真奈の橋本総業勢対決が面白い。二宮と鮎川はともに1994年生まれ。同じ94年生まれの日比野菜緒(フリー)のツアー初優勝は、同世代の2人に大きな刺激になったはずだ。全日本では鮎川が昨年、2度目の出場でベスト4に進出した。対する二宮は4度出場しているが、3回戦が最高と思うような成績がでていない。今季は持ち味の速い展開が戻ってきて、ランキングを上げてきた二宮だけに、94年対決を制してベスト8に進みたい。鮎川はフォアの強打で二宮を打ち破り、2年連続の準々決勝進出を果たしたい。

■2番コート第1試合は早稲田大の先輩・後輩対決となった。第3シードの波形純理(伊予銀行)は04年の全日本学生選手権(インカレ)女王。プロ11年目、33歳になっても波形の展開力は衰えていない。昨年のインカレ女王で大学4年の吉冨愛子は、先輩と練習する機会も多いが、「ポイント練習では(波形の)スピードについていけない」という。ただ、練習と本番の試合は別もの。卒業後にプロになるという吉冨にとって今の実力を計る格好の機会になる。

■男子シングルスは、1番コート第2試合で第9シードの綿貫裕介(橋本総業)とベテラン鈴木貴男(イカイ)の対決がある。39歳になった鈴木だが、ネットプレーの切れ味は健在で、1回戦では相手に2ゲームしか与えずに勝ち上がった。一方のプロ7年目、25歳の綿貫はストローク力に磨きをかけて、今季はITFフューチャーズの2大会に優勝している。サーブアンドボレーで勝負する鈴木は、「サーブが少し小さくなっていたので、この年齢であえてスピードとパワーで勝負するようにやっている」とサーブを改良して臨む。鈴木のネットプレーと綿貫のリターン、パスとの勝負。分かりやすい構図だが、ポイントを重ねるごとに繰り広げられる2人の駆け引きは興味が尽きない。

■4番コート第2試合では、第4シードの関口周一(Team REC)に今年のインカレで優勝した今井慎太郎(早稲田大)が挑戦する。昨年、世界ランクを259位まで上げた24歳の関口は、小柄だが堅実なストロークで相手の弱点を突いていくうまさがある。格上の関口を相手に、学生王者の今井がどれだけ得意のフォアで攻めていくパターンに持ち込めるかが勝敗を分ける。

■コロシアムの第3試合では18歳の福田創楽(Project ALC)が第12シードの近藤大生(イカイ)に挑む。米国を拠点とする福田は予選から出場して、ここまで3試合をすべてストレートで勝ち上がってきた。一昨年は西岡良仁(ヨネックス)が米国留学中に出場して決勝まで進んでいるが、福田にとってはここからが本当の勝負になってくる。16歳の清水悠太(パブリックテニスイングランド)は、2番コート第2試合で第10シードの吉備雄也(ノア・インドアステージ)と対戦する。吉備のフォアを清水が若さではね返せるか。(谷 祐一)

女子シングルスでは波形らがベスト8入り。男子シングルスでは全日本ジュニア18歳以下を制した小林らが3回戦へ

【11月3日 大会第4日】
快晴となった文化の日、シングルス、ダブルスの計34試合が行われ、スタンドのない外コートでは、三重、四重になった立ち見のファンが声援を送った。女子シングルス3回戦では、波形純理(伊予銀行)、田中優季(メディカルラボ)、鮎川真奈(橋本総業)、岡田上千晶(エームサービス)が勝ってベスト8に進んだ。男子シングルス2回戦では、インカレ王者の今井慎太郎(早稲田大)が第4シードの関口周一(Team REC)を破ると、インカレ準優勝の諱五貴(いみな・いつき)(明治大)も第6シードの竹内研人(北日本物産)に逆転勝ち、さらに福田創楽(Project ALC)、小林雅哉(グリーンテニスプラザ)のジュニア選手もシード選手を破って勝ち上がった。前回王者の第3シード、江原弘泰(日清紡ホールディングス)は順当勝ち。最年少16歳の清水悠太(パブリックテニスイングランド)は第10シードの吉備雄也(ノア・インドアステージ)に敗れた。

[女子シングルス3回戦]

○波形純理(伊予銀行) 6-1,4-6,7-5 ●吉冨愛子(早稲田大)

■快勝ペースが一転、フルセットで辛くも勝った波形は、試合を終えると照れ笑いのような表情を見せた。15度目の出場となる33歳は早稲田の後輩の挑戦を退け、「どっちが勝ってもおかしくなかった。ラッキーだったかな」と控え目に話した。

■第1セットは、プロ10年目の実力を知る昨年のインカレ女王吉冨が、無理に打ちにいくミスが目立った。波形は冷静にストロークで相手を左右に振ってポイントを重ねた。流れが変わったのは第2セットの序盤。強引さが消え、ドロップショットを織り交ぜるなど吉冨が立て直した。決定打を放つと声を出して自分を盛り上げる吉冨とは対照的に、ベテランは劣勢でもミスしても、表情をほとんど変えることなく淡々とプレー。「相手の勢いに押されそうなところがあった。なんとか食らいついていこうと」。球威では劣ってもショットの正確さが物を言い、最終セットの競り合いをものにした。共に練習をして、よく助言もしているというだけに「ドロップショットも落ち着いていたし、今日はよかったと思う。最後のところで昔の吉冨がでちゃいましたね」と、後輩との対戦を振り返る目線はコーチのようだった。

■女子ダブルスで3度、混合ダブルスも1度、優勝しているが、シングルスは2007年の準優勝が最高成績。今回は上位選手の欠場が多いだけに好機と言える。ベスト8入りにも「自分にすごい期待はしていないです」と気負いはないが、「1回くらい勝ちたいですよ」と本音も漏らした。(早川 忠宏)

[男子シングルス2回戦]

○小林雅哉(グリーンテニスプラザ) 6-4,6-2 ●奥大賢(エキスパートパワーシズオカ)

■今年の全日本ジュニア18歳以下で優勝した小林が、第14シードの奥をストレートで破ってベスト16入りを果たした。「相手はスピン系のボールを打ってくる選手なので、跳ねてくるボールを上からたたけるのでやりにくくはないと思っていた」という小林。序盤は予想以上に跳ねるボールに手こずったが、徐々に奥のスピンに慣れてきて主導権を握った。第1セットは5-4から相手サーブをブレークすると、第2セットは3-2から3ゲームを連取した。脚力を生かして拾いまくるテニスが持ち味。「最後は奥さんが(強引に)打ち始めて、ミス待ちになった」というのは、自分のプレーを貫いた結果だ。

■来春は早稲田大に進学する予定。「目標は世界という感じではなくて、インカレの優勝を目指したい」と話す高校3年生。初めて出場した全日本で3回戦に進出して、「自分でもびっくりしている。(3セットを戦った)1回戦がハードで足腰がきつかったので、昨日が雨で休みになったのはラッキーだった」と初々しい。3回戦の相手は添田豪(GODAIテニスカレッジ)。「やってみたい気持ちがあった。自分がどれだけやれるか試してみたい」と第1シードとの対戦を楽しみにしている。 (谷 祐一)

[男子シングルス2回戦]

○綿貫裕介(橋本総業) 6-1,6-2 ●鈴木貴男(イカイ)

■1回戦を快勝した時の鈴木のテニスは、かつての全盛期を思わせるサーブ&ボレーの切れを見せていた。今年の鈴木はもしかすると、と思わせるには十分なパフォーマンスだった。この2回戦は第9シードの綿貫が相手だとはいえ、「格」の違いを見せて勝ってくれるのではないか、という期待もあった。

■「先にブレークを許したことで、綿貫を楽にしてしまった」ことが敗因の一つだと鈴木は試合を振り返っている。相手の綿貫は6月の昭和の森フューチャーズでITFサーキットでの初優勝を挙げ、8月の韓国フューチャーズで2勝目を挙げた25歳。サービス、ストロークともに穴がなく、攻守のバランスも取れた完成度の高い選手で、鈴木のスライスに対してもしっかりと低い姿勢を作って対処して、簡単にはミスを出さない。

■第5ゲームで許したブレークは、確かに重たいものになりそうだと思い始めた2-5の綿貫のサービスゲームで事件は起きた。

■綿貫のサービスをフォアハンドでリターンした直後、鈴木はヒザに両手を置いてその場で大きくかがみこんだ。大事な場面でのリターンミスを悔いて見せた、彼ならではのポーズかとも思われたが、直後のポイントから鈴木の動きは明らかにおかしくなっており、何かが起きているのは確実だった。

■そのままセットを落とした鈴木はメディカル・タイムアウトを取って傷めた右肘を治療。プレーを続行したが、バックハンドは何とか普通に打てるものの、サービスとフォアは入れるだけに近い状態になっていた。

■「前ならすぐに試合を止めていた」と鈴木は言う。だが、鈴木は試合を最後まで全うした。「休日で、ファンの人もたくさんいた。綿貫もやりにくそうにしていたし、どういうプレーをしたら何とかできるのかを探りたいという気持ちもあった」と鈴木は試合を棄権しなかった理由を話し、「僕は全日本の決勝でも棄権した選手」と言いながら、「今までがそうだったから、逆に途中で止めるのが嫌だった」と話した。今の彼にとって、全日本はそれだけ大きなものになっているという意味なのだろう。

■「来年ももちろん出たい」と鈴木。「本戦に入れなかったら、予選を戦えばいいかな」とまで言葉にした。それは彼が見つけたというサービスの改良を何とかモノにして、それを実戦の場で試したいという情熱からのものだと彼は話していたが、それだけではないのだろう。

■彼ほど有明のファンの前で戦うのが好きな選手はいない。そして今なお彼は強い自分の姿をファンの前で見せたいという強い気持ちがある。来年の鈴木がどんなテニスを見せるのか、今から楽しみに待ちたい。(浅岡 隆太)

[男子シングルス2回戦]

○今井慎太郎(早稲田大) 6-4,6-3 ●関口周一(Team REC)

■今井「関口選手のようなしぶといタイプの選手に対して、あせってむちゃくちゃ打ってしまうのは、やってはいけないことなので、落ち着いてプレーすることを心がけた。じっくりやって、攻めるところは攻める、メリハリのあるプレーができたと思う。状態は悪くないので、チャンスはあると思っていた」

[男子シングルス2回戦]

○諱五貴(明治大) 2-6,6-2,7-5 ●竹内研人(北日本物産)

■諱「(竹内は)バックが得意だと聞いていたので、第1セットはフォアばかり一方的に攻めたが、それが途中から空回りしてしまった。第2セットからは得意なフォアでどんどん攻めることができた。いいボールも入って、課題だった前に入ってプレーすることもできた」

[男子シングルス2回戦]

○福田創楽(Project ALC) 4-6,6-3,6-2 ●近藤大生(イカイ)

■福田「率直な感想はうれしい。近藤さんは僕の行っていたクラブの先輩だったので、楽しみな試合だった。コロシアムには思っていた以上に人が入っていて緊張してしまった。第1セットの最初は何をしているのか分からなかったが、ちょっとずつ試合を楽しめるようになった。近藤さんに速いタイミングで打たせなかったのがよかった」

【大会第5日みどころ】

■男子シングルスは8強入りを懸けた3回戦に入る。全日本と言えば、若手が経験豊富な選手に挑む構図が楽しみだが、この日はコロシアムの第3試合がそれに当たる。全日本ジュニア選手権18歳以下の部を制した小林雅哉(グリーンテニスプラザ)が、6年ぶり3度目の優勝を狙う第1シード、添田豪(GODAIテニスカレッジ)に挑戦する。小林は2回戦で第14シードの奥大賢(エキスパートパワーシズオカ)にストレート勝ちし、年上との試合を経るごとに自信を深めている。添田との対戦にも「トップの選手なので、自信を持ってやることしか考えていない」と気負いはない。足の速さを生かしてコートを広くカバーし、カウンターを狙うプレースタイルが、デ杯代表経験も豊富な31歳の添田の展開力にどこまで通じるのか。

■ジュニア勢ではもう一人、米国を拠点とする18歳の福田創楽(Project ALC)が予選から快進撃を続けており、1番コートの第2試合で慶応大出身のプロ2年目、志賀正人(GODAIテニスカレッジ)と対戦する。福田は3日の2回戦で第12シードの近藤大生(イカイ)に逆転勝ちした。故障で万全の状態でなかったとは言え、同じクラブで練習したこともあって憧れの気持ちを抱いていた近藤にコロシアムで勝ったことは大きな自信になったはず。安定感のあるプレーが持ち味の志賀を、左利きの思い切りの良いショットで打ち破りたい。

■シード勢同士の対戦で、ダブルスを組んで2連覇を目指している仁木拓人(三菱電機)と吉備雄也(ノア・インドアステージ)の顔合わせも面白い。お互いのプレーや性格も知り尽くしている者同士がどんな駆け引きをするかは通好みの注目ポイントだろう。

■女子シングルスは3回戦の残り4試合を行い、ベスト8が出そろう。第1シードの桑田寛子(島津製作所)は、第16シードの秋田史帆(フリー)とコロシアムの第1試合で顔を合わせる。初優勝を狙う桑田は前週のタイのITFサーキットで優勝して強行スケジュールで有明に入ったが、初戦の2回戦は寺見かりん(山梨学院大)に57分で快勝した。女子シングルスは世界ランキング上位選手の欠場が多い中、「出ないという選択肢はなかった」と話すなど、今大会に懸ける思いも強い。上位シードに挑む25歳の秋田は、9度目の出場で初のベスト8入りを目指す。

■2番コートの第2試合、第4シードの瀬間詠里花と第13シードの久見香奈恵の橋本総業所属対決は、前者が11年連続出場、後者が10度目の出場と全日本を知り尽くした者同士の顔合わせ。ともにファイトあふれる粘り強いプレーが持ち味なだけに、戦術というよりもむしろ気持ちの強さの戦いという要素が強くなりそうだ。1番コートの第1試合に登場する山外涼月(橋本総業)は3年前の準優勝者で、予選勝ち上がりからベスト8入りを狙う。(早川 忠宏)

男子シングルスは第1シードの添田豪らが、女子シングルスは山外らが準々決勝へ

【11月4日 大会第5日】
女子シングルスは3回戦の残り4試合が行われ、第1シードの桑田寛子(島津製作所)、第4シードの瀬間詠里花(橋本総業)、第11シードの宮村美紀(フリー)とともに、予選から出場の山外涼月(橋本総業)が勝ち上がって、ベスト8が出そろった。男子シングルス3回戦では、18歳の福田創楽(Project ALC)が志賀正人(GODAIテニスカレッジ)を破って準々決勝に進出、全日本ジュニア18歳以下優勝の小林雅哉(グリーンテニスプラザ)は第1シードの添田豪(GODAIテニスカレッジ)に敗れた。第2シードの内山靖崇(北日本物産)と第10シードの吉備雄也(ノア・インドアステージ)も8強に進出した。

[男子シングルス3回戦]

○添田豪(GODAIテニスカレッジ) 6-4,6-2 ●小林雅哉(グリーンテニスプラザ)

■今年の全日本ジュニア18歳以下で優勝した小林と、世界ランク114位で錦織圭に次ぐ日本男子2番手の添田の一戦。全日本だからこそ実現した対戦は、ゲームスコアの数字以上に内容の濃い試合だった。

■「第1セット、先にブレークして3-1とリードして、そこでのサービスゲームを取っていれば、第1セットはどういう展開になったか分からなかった」。試合後の記者会見で、小林が一番に挙げた試合のターニングポイントだった。第4ゲームで添田のサーブをブレークして迎えた小林のサービスゲーム。40―30から追いつかれると、4度目のデュースで添田にブレークバックを許した。3度あったゲームポイントを逃しただけに、小林は「あそこが悔しい」と振り返った。

■「添田さんの粘りというか、気持ちの強さに押された。その次のサービスゲームでも添田さんの粘りに対応できずに取られてしまった」。3-3と追いつかれた後の第7ゲームのサービスは、5度目のデュースでブレークを許した。ゲームポイントは3度あり、一方的に押し込まれていた訳ではないだけに、悔しさが募った。4-6で失った第1セットだったが、獲得ポイントは添田と同じ42点だった。

■第2セットでは小林が力の差を知らされた。「添田さんがギアを上げてきた。打つタイミングが速くなってきて、自分が振られてしまった。相手を振っているポイントが少なかった」。第1ゲームでいきなりサーブを破られるなど、3度のブレークを許した。体力、パワーの違いも痛感した。それでも「自分のストロークがプロに通用するのは分かった」「フォアを打って前にでて、ネットプレーもできた」と手応えを感じた部分も多かった。

■「スコア以上にいい試合というか、長い試合だった」。これが1時間46分を要した試合に対する添田の感想だ。「(小林は)自分のテニスが分かっていて、緩いボールを混ぜたり、速いボールで攻めてきたりと、嫌らしいテニスだった」。ツアーではあまり対戦しないフラット系のショット、思い切り当たってくる若手の挑戦を受ける立場と、やりにくさもあった。最初はどんどん攻めてポイントを奪う展開を狙っていたが、思うような流れを作れず、「第2セットは無理に攻めずに、相手を走らせて、疲れさせる作戦に変えた。それがよかった」と振り返った。ただ、これが全日本。「簡単には勝てないという、全日本の怖さを改めて味わった。優勝を目指してきているので、これから3試合、いいパフォーマンスを出せるよう、どうコンディションを維持していくかが勝負」。18歳の健闘は、3度目の優勝を狙う31歳にいい刺激を与えたようだ。 (谷 祐一)

[女子シングルス3回戦]

○山外涼月(橋本総業) 6-7(1),6-1,6-1 ●西本恵(慶應義塾大学)

■今年のインカレのチャンピオンとして、ワイルドカードを受けて本戦に出場してきたのが西本。しっかりとディフェンスしながら緩急を使い分けて相手のタイミングを崩し、ダイナミックなフォームから放つ威力のあるフォアで勝負するのが西本の形。関東学生のベスト8だった2年生の頃から、昨年のインカレでは準優勝、今年は優勝と地道に実績を伸ばして来た選手でもある。

■一方の山外は中学卒業と同時に選手活動に専念し、プロに転向したのは16歳だった2008年3月。ジュニア時代からそのテクニックの高さと、サーブ&ボレーを含めたアグレッシブなプレースタイルで注目されていた存在だ。度重なった故障で2012年の全日本準優勝以外はまだ目立った成績はないが、フィジカルに問題がない状態であれば、日本女子でも屈指の強さを秘めた選手だ。

■両者は初対戦。山外サイドからすれば、2回戦でたまたま隣のコートで試合をしているのを見たのが初めてという状態で、第1セットは手探りで戦っていたのだという。山外が先に5-4としてサービング・フォー・セットを迎えたが、ここで西本が勝負強さを発揮してブレークバックしてイーブンに追い付き、さらにタイブレークでは深いボールを入れ続けた西本に対して山外がミスを連発。第1セットは西本となった。

■山外は2回戦の美濃越舞(YCA)戦で左脚の付け根を傷めており、この3回戦ではテーピングを巻いてコートに現れての試合だったが、第1セットが終わるとトレーナーを要求。メディカル・タイムアウトを取ってテーピングを巻き直した。「歩くだけで痛かった」と山外は言うが、ケガではなく予選からの疲れが出ているとのことで、その後はチェンジ・オーバーの際に断続的にトレーナーからマッサージを受けて試合を続けた。

■脚の状態が心配されたが、第2セット以降は、一転して山外のペースとなった。山外によれば、第1セットは脚の状態を気にしながらのプレーで、サービスからストロークへの流れが噛み合ず、西本の深いボールに対応できなかったというのだが、第1セットを通じて相手の出方を見ていたという山外は、第2セット以降は次第に大胆なプレーを混ぜてポイントを支配するようになり、最後はサービスとストロークのスピードで西本をねじ伏せた。

■山外の試合はその攻撃的なスタイルに似合わず、なぜかフルセットが多い。それを聞かれた彼女は「3セットを通して試合を見ている」と答えてくれた。目の前のポイントを落としても焦らず、相手のテニスを見極めながら自分のプレーを組み立てていくのが自分のスタイルでもあるのだという。

■準々決勝の相手は瀬間詠里花(橋本総業)となった。2012年大会では準決勝を戦い、壮絶な打ち合いの末に山外が勝った相手でもある。予選から数えてすでに5試合。脚の状態も気になるが、山外が瀬間詠に対してどんなテニスを見せるのか。興味深い対戦となりそうだ。(浅岡 隆太)

[女子シングルス3回戦]

○宮村美紀(フリー) 6-3,6-4 ●馬場早莉(荏原湘南スポーツセンター)

■30歳の誕生日に全日本シングルスで初のベスト8進出を決めた宮村「(誕生日なので)いい日にしたいというのはあった。初めてのベスト8ですが、特別な思いはない。自分の持ち味をだせれば、いい結果がでるのかなと思ってやっていた」

瀬間友里加が引退を表明

■この大会を最後に引退することを表明して女子ダブルスに出場していた瀬間友里加(Club MASA)が準々決勝で敗れた。試合後に記者会見した瀬間は「今年の目標はグランドスラムの予選に出場することだったが、昨年世界ランクを落としてしまって、それを戻すことが出来なかった。(全米でも予選出場を果たせず)自分の中でこれを区切りにしようと考え、辞めようと決めた」と話した。一番の思い出の試合は、2008年の全日本選手権決勝だという。「一番緊張した試合。初めての決勝で緊張していたのに、相手が伊達さんだったので、コートに入ったらすごい観客で、また緊張してしまった。試合自体は少し残念だったけど、その舞台で戦えたことはすごくうれしかったし、楽しかった」と振り返った。

【大会第6日のみどころ】

■女子シングルスは準々決勝に突入する。ベスト8の半数を早稲田大OGが占め、桑田寛子(島津製作所)―宮村美紀(フリー)、波形純理(伊予銀行)―田中優季(メディカルラボ)の2試合は同窓対決となった。

■第1シードの桑田と第11シードの宮村はITF大会で3度対戦があり、桑田が3連勝している。ただ、最近の2試合はフルセットまでもつれていて、初優勝を狙う桑田にとって簡単な試合ではない。出場15度目で第3シードの波形はこれが7度目の準々決勝になる。対する田中は8度目の出場で初めてベスト8進出。ITF大会の対戦を見ると、波形と田中は1勝1敗と星を分けている。

■第4シードの瀬間詠里花(橋本総業)は、2011年に決勝(準優勝)まで進むと、12年ベスト4、13年ベスト8、昨年もベスト4と全日本では安定した成績を残してきた。山外涼月(橋本総業)は予選からの勝ち上がりだが、12年大会の準優勝者。このときの準決勝で2人は対戦していて、山外がフルセットで瀬間を破っている。

■第10シードの鮎川真奈(橋本総業)は2年連続のベスト4がかかる。2回戦で辻佳奈美(日清紡ホールディングス)、3回戦では同じ94年生まれの第7シード、二宮真琴(橋本総業)と難敵を連破して勝ち上がってきた。第15シードの岡田上千晶(エームサービス)とは今年のITF大会で対戦があり、鮎川が苦しみながらもフルセットで競り勝っている。

■男子シングルスは、ベスト8の残り4人を決める3回戦が行われる。コロシアムの第2試合は、今年の大学王者、今井慎太郎(早稲田大)と第13シード、片山翔(伊予銀行)という早大の同窓対決。2009年に大学王者となった片山は安定したストロークを生かして全日本では3度、8強入りを果たしている。4学年下の今井がフォアの強打で先輩に挑戦する。1番コート第1試合ではインカレ準優勝の諱五貴(明治大)が、第9シードの綿貫裕介(橋本総業)に挑む。サウスポーの諱も、今井と同じようにフォアの強打で勝負するタイプ。大学生がベスト8に進めば、一昨年の田川翔太(早稲田大=当時)以来となる。

■第11シードの越智真(江崎グリコ)は13年全日本ジュニア18歳以下優勝者で、シード勢最年少の19歳。10月のITF大会(フィリピン)で初優勝を飾ると、翌週も準決勝進出と勢いがある。第8シードの小ノ澤新(イカイ)とは今年3度の対戦があり、初戦は敗れたがその後は2連勝している。

(谷 祐一)

男子シングルス昨年覇者の江原が準々決勝へ。
女子シングルスは第1シードの桑田寛子らが4強入り

【11月5日 大会第6日】
 女子シングルスは準々決勝が行われ、第1シードの桑田寛子(島津製作所)、第4シードの瀬間詠里花(橋本総業)、第9シードの田中優季(メディカルラボ)、第10シードの鮎川真奈(橋本総業)の4人がベスト4に勝ち上がった。桑田は早大の先輩となる第11シードの宮村美紀(フリー)に快勝、同じ早大出身の田中も先輩の第3シード、波形純理(伊予銀行)に粘り勝った。瀬間はノーシードの山外涼月(やまそと・あき)(橋本総業)を、鮎川は第15シードの岡田上千晶(エームサービス)を、ともにフルセットで下した。桑田は5年ぶり2度目、瀬間は2年連続4度目、鮎川は2年連続2度目、田中は初めての準決勝となる。

 男子シングルス3回戦では、前回王者で第3シードの江原弘泰(日清紡ホールディングス)は井藤祐一(ライフ・エヌ・ピー)に順当勝ち、第8シードの小ノ澤新(イカイ)、第9シードの綿貫裕介(橋本総業)、13シードの片山翔(伊予銀行)がベスト8に進んだ。男子ダブルス準々決勝では、内山靖崇(北日本物産)/添田豪(GODAIテニスカレッジ)のデ杯代表ペアが、綿貫裕介/綿貫陽介(グローバルプロテニスアカデミー)の兄弟ペアに敗れた。

[男子シングルス3回戦]

○江原弘泰(日清紡ホールディングス) 6-0,6-2 ●井藤祐一(ライフ・エヌ・ピー)

■昨年ノーシードからの優勝で「今年はラウンジでみんなにからかわれそう」と大会前には笑顔で話していた江原だったが、初戦の中村祐樹(新松戸山喜)との2回戦では「(前年優勝を)意識し過ぎて硬くなった」のだという。だが、1試合を戦った後のこの3回戦では「そういう感じはなく、いいプレーができた」と振り返った。

■パワーヒッターの井藤に対して、ベースライナーの江原がどんなプレーで応えるかが注目された一戦だったが、第1セット第1ゲームからブレークに成功した江原が流れを握り、そのまま6ゲームを連取して第1セットを奪った。第2セットでもそのまま2-0とリードを広げ、第3ゲームでようやく井藤がサービスキープに成功するとやや拮抗したムードになりかけたが、第7ゲームで再び井藤のサービスを破った江原がそのまま押し切った。

■昨年に続きスイスを拠点にしている江原は「去年よりもプレーやボールの質が上がって、力みが少なくなってきた」と話している。実際、フルスイングしたわけでもない通常のストロークでも江原のボールは、きれいな軌道を描いて深くコートに侵入するとバウンド後には鋭く伸びていく。江原の言葉通り、今までも彼の武器であり続けたストロークの安定感はそのままに、威力が上がっているのは確か。結果として通常のラリーでの支配力が上がり、この日の試合でも井藤に反撃の芽を与えなかった。

■昨年の優勝が自信になったという江原。「1年経って最近は少し薄れているが」と前置きしつつ、「全日本でいいプレーができて、杉田(祐一・三菱電機)さんにも勝って優勝したんだというのが、フューチャーズやチャレンジャーを戦っていても自信になって、強い気持ちで取り組めた」と江原は言う。

■「立ち位置を半歩、あるいは一歩分ぐらい前にして、よりベースラインに近づいてプレーができている」というのが、今年の江原の進化の証。去年より強くなった江原が、2008年と09年の添田豪(GODAIテニスカレッジ)以来となる全日本連覇にまた一歩近づいた。
(浅岡 隆太)

[女子シングルス準々決勝]

○田中優季(メディカルラボ) 6-3,6-2  ●波形純理(伊予銀行)

■2005年に卒業した波形と、7年後輩の田中の早稲田勢対決。「純理さんは学生の頃からあこがれの存在で格上の選手。でも今年の全日本は誰にでもチャンスはあると思っていたので、挑戦者の立場でもしっかり勝つつもりで入れた」と田中はいう。ベースラインから速いテンポで強打を打ち込んでくる波形に対して、よく走って返球した。スライス、ムーンボールを混ぜてペースを変えて、波形にリズムを作らせなかった。相手の甘いボールはウイナーを狙い、好機にはネットにもでた。

■1時間26分でのストレート勝ちに、「考えていた戦術もしっかりはまって、自分のペースで序盤からプレーできたのが良かった」と田中が笑顔を見せた。2年前の大会で1度、波形に勝っているが、「あの時は、必死でプレーして、終わったら勝っていたという感じだった。今回はどうしたら勝てるかプランを持って入れた。やることをやれたと思える」。今夏の欧州遠征をきっかけに、スピン、スライスなど球種を増やしてプレースタイルを改良してきたが、その成果が現れた会心の勝利だった。

[女子シングルス準々決勝]

○瀬間詠里花(橋本総業) 6-3,4-6,6-3 ●山外涼月(橋本総業)

■3年前の準決勝で当たった2人の再戦。「3年前はファイナルセットで負けていたので、今日はリベンジできるようにと入っていた」と瀬間は言う。7-6(6)、4-6、6-2で山外が勝った前回と同様、激しい打ち合いになった。獲得ポイントは瀬間の104点に対して、山外は103点。ほぼ互角の内容だった。最終セットは、第2セットを取って追いついた山外に勢いがあった。第3ゲームの瀬間のサービスでは7度、デュースを繰り返した。山外に5度、ブレークポイントが訪れたが、瀬間の開き直ったような思い切りのいいショットや自分の凡ミスで好機を逃し、試合の流れが変わった。「涼月(あき)ちゃんには簡単にサーブをキープされていたので、絶対サーブを落としてはいけないという気持ちでやっていた」。気持ちを前面に出してプレーする瀬間が、4-3からの第8ゲーム、山外のダブルフォールトでチャンスをつかむと、4ポイントを連取してこのゲームをブレーク、そのまま3年前の雪辱につなげた。

[女子シングルス準々決勝]

○桑田寛子(島津製作所) 6-4,6-0 ●宮村美紀(フリー)

■早稲田大2年の時以来、5年ぶりの準決勝進出を果たした桑田「(宮村が)早稲田の先輩ということは気にせず入ったが、昨日までより勝ちたいという気持ちが出た試合だった。第1セットは力が入って、球がいかない部分があって少し空回りしてしまった。でも、6-4で取って自分の流れにできて、第2セットも出だしから離せた。最後は自分のテニスをしっかり出来た」

[女子シングルス準々決勝]

○鮎川真奈(橋本総業) 6-2,3-6,6-2 ●岡田上千晶(エームサービス)

■この日は3試合を戦い、女子シングルスで2年連続のベスト4、女子ダブルスでも準決勝、混合ダブルスでは決勝進出を果たした鮎川「去年は2度目の(シングルス)本戦で、初戦も勝ったことがなかったので、すごくうれしくなってしまった。準決勝でチャンスはあったが、正直、余裕が無かった。今回は狙っているので、この結果に満足していない。3種目あるが、フィジカルは去年より上がっている。全部取りたい」
(谷 祐一)

【大会第7日のみどころ】

■大会第7日は男子シングルスが準々決勝、女子シングルスは準決勝、男女ダブルスが準決勝となる。今年の大会も最も緊張感の高い数日間に突入だ。

■男子シングルスでは第1シードの添田豪(GODAIテニスカレッジ)が、第10シードの吉備雄也(ノア・インドアステージ)と、また、第2シードの内山靖崇(北日本物産)は予選から勝ち上がりの18歳、福田創楽(Project ALC)の挑戦を受ける。さらに、前年優勝で今大会では第3シードの江原弘泰(日清紡ホールディングス)が、第9シードの綿貫裕介(橋本総業)を迎え撃ち、第8シードの小ノ澤新(イカイ)は第13シードの片山翔(伊予銀行)とベスト4入りを懸けて戦う。

■吉備がプロとしての活動を本格化させたのは一昨年の全日本でベスト8に進出したのがきっかけの一つだったが、この2年での吉備と添田は対戦がない。フラットの強打をコートにねじ込んでくる吉備独特のフォアを、添田は試合で経験していないことがどう出るか。「全日本は簡単には勝てない」と話している添田も強く自覚しているはずだが、ここが一つの大きな山になるのは間違いない。

■内山と福田はIMGアカデミーの先輩後輩対決。とはいえ、福田の渡米と内山の帰国の時期がすれ違いで、試合はもちろん、練習もしたことがないという関係だという。福田は「(内山は)サービスとフォアがいいのが見ていてわかった。リターンゲームではしっかりリターンを返して、チャンスがあれば強気でいきたい。付いて行って、最後のチャンスを待ちたい」と話している。だが、内山もこの夏以降は上り調子。好調同士の本格派の激突だ。となれば当然、打ち合いの末のフィニッシュの精度が問われる展開が予想される。内山の経験が勝つか、怖いもの知らずの福田が予選からの勢いで押し切るか、注目の対戦だ。

■女子シングルスは決勝をかけた戦いだ。第1シードの桑田寛子(島津製作所)は第9シードの田中優季(メディカルラボ)、そして第4シードの瀬間詠里花(橋本総業)は第10シードの鮎川真奈(橋本総業)と対戦する。

■桑田と田中は早稲田テニス部のOG。学生時代は公式戦では桑田、部内戦では田中という関係だったというが、桑田は「以前は粘る田中さんに攻めの私という関係で、私がミスってしまうという感じだったが、私がそこでミスらずポイントすれば勝てると思う。そこだけ気をつけたい」と話している。

■瀬間詠はベスト4に勝ち残っている選手たちの中では唯一の決勝進出経験者(2011年)。鮎川は昨年のベスト4で「去年よりもいい結果」を狙っている。鉄壁のディフェンスの瀬間と、攻撃力の鮎川というマッチアップはちょっとした差で流れが一気にどちらかに傾きやすい。

■「誰にでも勝つチャンスがある」と4人が同じ言葉で今年の全日本を話しているのは偶然ではなく、今年の選手たちの間にはそういう意識が浸透しているということなのだろう。ここまで来ればあとは精神力勝負という側面も強い。熱戦に期待しよう。
(浅岡 隆太)

【11月6日 大会第7日】
 女子シングルス準決勝では、第1シードの桑田寛子(島津製作所)と第4シードの瀬間詠花里(橋本総業)が勝ち上がった。桑田は第9シード、田中優季(メディカルラボ)との早稲田勢対決を制して、初の決勝進出。瀬間は第10シードの鮎川真奈(橋本総業)に完勝して4年ぶり2度目の決勝進出を果たした。

 男子シングルス準々決勝では、第1シードの添田豪(GODAIテニスカレッジ)、第2シードの内山靖崇(北日本物産)、第3シードの江原弘泰(日清紡ホールディングス)とともに第13シードの片山翔(伊予銀行)が準決勝に進んだ。予選から勝ち上がった18歳の福田創楽(Project ALC)は、内山に敗れた。第7日の準決勝は、添田―片山、内山―江原の対戦となる。

[女子シングルス準決勝]

○桑田寛子(島津製作所) 6-4,6-4 ●田中優季(メディカルラボ)

■「誰もが目指している大会であるここで勝つことが大事。私には出ないという選択肢はなかった」と1回戦の後に話していた桑田。全日本にかける意気込みは、シード勢の中でも際立って高いものを持つのが彼女だ。

■初の決勝進出を目指して戦うことになった田中は早稲田大学時代の先輩。学生時代には公式戦では桑田、部内戦では田中の方が上という関係だったと桑田は話していたが、お互いの手の内を知り尽くした選手同士の戦いは、ちょっとしたことで流れが変わりやすい。

■「色んなボールを混ぜて崩しにくるだろうと思っていた」という桑田の予想通り、第1セットはトップスピンを使ったループを混ぜた田中が、強打の桑田のタイミングを狂わせようしてきていた。しかし、桑田にとってそれは予想の範囲内だったようで、桑田はその中で我慢のテニスで試合を組み立てる。

■第1セットは第3ゲームから第7ゲームのブレーク合戦を経て、桑田が4-3とした後、サービスキープに成功して5-3。次のサービスゲームをキープして6-4で取って先行するという展開だった。

■セットを落とした田中は第2セットではペースを変える。やや早いタイミングで強打やネットプレーを使っていく攻めのテニスに変えた田中に、桑田は2度続けてサービスゲームを破られ、あっという間に0-4とリードされてしまった。

■「ペースが早くなったのは、自分には好きな展開。落ち着いて、しっかりとラリーをして取りにいった」と桑田は言う。「全部打つのではなく、本当に行けるボールで打つ」というテニスが今季のテーマだという桑田は、得意のフォアからでも無理に攻めるのではなく、スピンを増やしてショットの確率を上げ、左右にボールを散らして田中を走らせ、崩してからトドメを刺しにいくテニスをこの試合でも落ち着いて実行した。

■リードしたことで一息ついたわけではないのだろうが、第5ゲームでややペースを落とした田中の隙を見逃さず桑田が畳み掛け、最後はバックハンドでウイナーを奪ってブレークバックに成功した。

■これで落ち着きを取り戻した桑田はフットワークにも切れが出始める。ロングラリーでもほとんどのポイントを桑田がモノにし、ショットに迷いの色も消えてクリーンウイナーが増えていく。

■結局、0-4の後の6ゲームを連取した桑田が、第2セットも奪ってストレートで勝利した。

■初の決勝に向けて、「インカレの決勝ぐらいの気持ちでプレーしようと思う」と桑田は言いながら、「緊張するだろうが、いい方に行けばいいと思う」と表情を引き締めると、「絶対に取りたい。自信にもなるし、日本人としても取りたいものだと思う」と全日本へのこだわりを改めて言葉にした。(浅岡 隆太)

[女子シングルス準決勝]

○瀬間詠里花(橋本総業) 6-1,6-0 ●鮎川真奈(橋本総業)

■「真奈ちゃんは2年連続のベスト4。実力がないとここまではこれないので、タフ・マッチを予測していた。まさか6-1、6-0で勝てるとは思っていなかった」。今年6月の対戦でも瀬間が勝っているが、スコアは6-4、6-4と接戦だっただけに、試合後の記者会見では瀬間も驚きを隠せなかった。

■「(鮎川は)フォアが武器なので、フォアに展開してからバックに打っていく」のが作戦だった。第1セット、第1ゲームのサービスでは、鮎川にフォアを決められ、相手バックを狙ったショットも外れて、ブレークを許した。しかし、第2ゲームでは、硬さのある鮎川の2本のダブルフォールトとストロークミスに助けられて1-1に追いついた。

■第3ゲームから瀬間が本来の動きを取り戻した。強打を拾って粘り強く相手バックにボールを集めた。逆に鮎川の方は、強打で左右に振ってミスをさせようとしても、ボールが返ってくるため、次第にストロークに狂いが生じてきた。ポイントを決めようと、より厳しいコースを狙ってミスが出始めると、バックだけでなく得意のフォアも狂いだし、リターンも簡単にネットにかけるなど、鮎川が悪循環にはまってしまった。「(鮎川は)最初はコーナーに打てたのが、私が走って(返して)いたので、もっとラインを狙わなくちゃとなって、ジャスト・アウトが増えてきた」。瀬間の狙い通りの展開だった。

■ただ、ここまでの一方的な展開は誰も予想していなかった。第1セット、第4ゲームから瀬間の流れになり、ここからの10ゲームで鮎川が取ったのはわずか9ポイント。「全日本は普段の試合とは違う雰囲気がある。相手がいつもより緊張していたのかな」と、瀬間が対戦相手の心情を思いやった。(谷 祐一)

[男子シングルス準々決勝]

○添田豪(GODAIテニスカレッジ) 6-1,6-0 ●吉備雄也(ノア・インドアステージ)

■添田は初戦の2回戦から100%のつもりでプレーしていたというが、「今日からはもっと強くなると思っていた」と話していた。相手の吉備は年齢は近いものの、対戦経験はなく、練習もほとんど一緒にしたことはないのだというが、「強い当たりのストロークを持っていて、あれが全部入って来たらヤバいとは思っていた」と吉備に対しては一定の警戒をしていたと言い、「打たれないように試合に臨んだ。それがうまくいってミスも引き出せた」と勝因を語った。

■内容的には添田の貫禄勝ちだったとしか言いようがない。吉備も当たった時のショットの威力はすさまじいものがあるのだが、添田は吉備と同レベルか上回るようなスピードのボールを、はるかに高い確率でコントロールした。お互いのトップスピードは似たようなものかもしれないが、平均時速と精度が違う。第1セットは最初のゲームのサービスキープだけ、第2セットは第2ゲームで長いデュースがあったものの、結局ここを落とした吉備が1ゲームも奪えず敗れた。

■「あそこをキープされていたら、相手も気持ちよくプレーできるようになる。あそこで取れたのは大きかった」と添田は第2セット第2ゲームのブレークについて話していたが、吉備のチャンスと写ったのがブレークではなく、サービスキープできそうな場面だったというのがこの試合を物語っている。

■準決勝の相手は片山翔(伊予銀行)。「昨日の試合を見た。気持ちが入っていたと思う。油断せずに戦いたい」と添田。プレッシャーの中で戦える舞台を望んで出たのが今年の添田の全日本だ。「自分のレベルを上げる」のが彼のテーマだというのであれば、次も、またその次も負けられない戦いが続く。(浅岡 隆太)

[男子シングルス準々決勝]

○江原弘泰(日清紡ホールディングス) 4-6,6-4,6-3 ●綿貫裕介(橋本総業)

■埼玉県の誇る『テニス三兄弟』といえば綿貫家である。今回の全日本には、裕介、敬介、陽介と全員を送り込んだ。長男裕介が同じ埼玉出身、1学年下の第3シード、江原に挑んだ。江原家も埼玉県では有名な『三兄弟』。ジュニア時代、長男は県大会優勝、次男は全日本ジュニア出場と輝かしい経歴だが、綿貫家には劣る。その分、三男の弘泰が昨年、全日本を制覇し、総合成績(?)はいい勝負か。

■4-6、6-4と、流れが行ったり来たりする消耗戦となった。ふと、サービスキープが少ないことに気づき、数えてみる。第2セット終了時点で、キープ10、ブレーク10。男子の試合にもかかわらず、サービスの優位性は数字に出ていない。ベースライン上の攻防で攻めているのは綿貫だが、守備力に定評のある江原に「攻めさせられている」感があるのも事実。「相手をオーバーヒートさせる作戦だった」と試合後の江原は言った。

■ファイナルセットも立ち上がりからブレークの連続。2-2までどちらもサービスキープができない。ベースライン後ろにポジションを取り、フットワークを駆使する江原のテニスは「沼」だ。次第に勝負を急ぐ綿貫のエラーが目立ち始める。「沼」に足を取られる格好で綿貫は沈んだ。コートは前日、3試合連続となる勝利を飾ったゲンの良い1番だったのだが……。接戦を制した江原は、コートに倒れ込んで喜びを表現した。

■ただ、試合後の江原の表情はさえなかった。「隠してもしょうがないが、腹筋に痛みがある。サービスに不安がある中で、準決勝の内山戦をどう組み立てるか。まだ考えがまとまらない」。昨年準決勝の内山戦は、6-2、6-7(5)、6-4。走りまくって接戦に持ち込み、前年覇者の意地を見せたいところだ。(小島 宣明)

[男子シングルス準々決勝]

○内山靖崇(北日本物産) 6-1,6-3 ●福田創楽(Project ALC)

■錦織圭(日清食品)の後輩として盛田ファンドの支援で米国のIMGアカデミーに留学した内山と福田の初対戦。23歳の内山が5歳下の福田に先輩の貫禄を示した。スピードはないが福田が左腕から打ち込むサーブは曲がりが大きく、スピンを効かせたストロークも「日本の左利きとは違うテンポで、タイミングが取りにくかった」というが、デ杯の代表戦も経験している内山が落ち着いたプレーで対応した。第1セットは1-1から5ゲームを連取、第2セットでも福田のサーブを2度ブレークした。福田に1度もブレークポイントを与えない快勝だった。「しっくりくる内容ではなかったが、要所は押さえることができた」。

[男子シングルス準々決勝]

○片山翔(伊予銀行) 7-5,0-6,6-1 ●小ノ澤新(イカイ)

■3年ぶりに準決勝に進んだ片山翔「第2セットは相手のプレーについていけなくて2ブレークされ、最終セットにかけようと思っていた。最終セットはプレーがよくて勝つことができた。9月に腰を痛めて久しぶりの大会で、初戦は緊張したが、いい勝ち方をしていると思う」(谷 祐一)

【大会第8日のみどころ】

■大会第8日は女子シングルス決勝。男子シングルスが準決勝、混合ダブルスの決勝が行われる言わば全日本の「スーパー・サタデー」。

■女子シングルスの決勝を戦うのは、第1シードの桑田寛子(島津製作所)と、第4シードの瀬間詠里花(橋本総業)だ。過去の対戦成績は2勝0敗で瀬間がリード。全日本の決勝進出も瀬間は2011年大会で経験しているが、桑田は2010年大会のベスト4が最高で決勝は今大会が初。一方で今大会ではここまで失セット数ゼロでの勝ち上がりが桑田で、瀬間は準々決勝の山外涼月(橋本総業)戦でフルセットを戦っている。また、準決勝はともに快勝と言える形で決勝に上がってきた。

■攻撃型のプレーを身上とする桑田に対して、徹底した守備力で相手にプレッシャーをかけていく瀬間。決勝に向けてお互いに「相手は関係ない」と前置きした上で、桑田は「自分のやるべきテニスをしっかりやって勝ちたい」と言い、瀬間は「目の前の一球に集中してファイトしたい」と話している。桑田が瀬間の守備力に耐えて、武器の攻撃力を生かせるか、あるいは瀬間がしのぎ切る中で、桑田のボールにカウンターを取っていけるかどうかが見どころだ。瀬間は「4年前の悔しい思いは消えていない。あのときの自分にリベンジするつもりで戦いたい」と話し、桑田は「絶対に取りたいタイトル」と表情を引き締めている。決勝に相応しい激闘となるだろう。

■男子シングルスの準決勝は第1シードの添田豪(GODAIテニスカレッジ)対片山翔(伊予銀行)と、第2シードの内山靖崇(北日本物産)と第3シードの江原弘泰(日清紡ホールディングス)の2カードだ。2009年大会以来、3度目の優勝を目指す添田は、「周りから結果を期待され、自分からはいい内容で勝ちたいというプレッシャーがある」と話している。だが、これも彼が望んだ状況。今年の添田はプレッシャーのかかる試合を求めて全日本に出場したからだ。相手の片山は「自分の全部をぶつけていくだけ」とシンプルだが、熱い闘志をみなぎらせている。片山の攻撃を添田が受け止め、そして跳ね返せるか。あるいは片山が添田を押し切れるかという試合になるだろう。

■もう一つの内山と江原のカードは攻めの内山に、守りの江原という構図だが、準決勝を前に腹筋の故障を再発させてしまった江原の状態次第となる。お互いに好調な状態だとすれば、この1年で攻撃の精度を上げ、ATPツアーの本戦の舞台を踏み始めた内山と、スイスでラリーの腕を上げてきた前年優勝者の江原の攻防が見どころだろう。

■「去年も同じ準決勝で戦った。今の彼は調子がよく、その相手にサービスが打てないハンデをどう克服するか」と江原は準決勝進出直後から戦闘モードのままだったのが印象的だ。

■内山も「去年は負けた江原との対戦で、すごいファイトしてくる相手。心身にタフな試合になる。その覚悟を持って試合に入りたい」とやはり闘志満々。江原の方が年齢では1つ上だが、両者はジュニア時代から仲が良く、お互いに知り尽くした間柄。昨年は壮絶な打ち合いで、二人ともけいれんに襲われる中で江原が競り勝って決勝に進み、初優勝を果たしている。今年はどんな結末になるのか。やはり期待せずにはいられない好カードだ。

■混合ダブルスは連覇を目指す第1シードの綿貫裕介と二宮真琴(ともに橋本総業)と、第2シードの江原と鮎川真奈(橋本総業)の顔合わせとなっている。(浅岡 隆太)

瀬間友里加、引退セレモニー

■女子シングルス決勝の表彰式後、この大会を最後に引退する瀬間友里加(Club MASA)の引退セレモニーが行われる。来月で29歳になる瀬間友は、2005年にプロ転向して、国際大会のシングルス3大会、ダブルス14大会で優勝、09年には全米オープンで予選を突破してシングルス本戦に出場した。10年にはフェドカップ代表も務めた。今年の全日本には女子ダブルスに妹の詠里花と出場、準々決勝まで進んでいた。

女子シングルスは桑田寛子が初優勝
男子シングルスの頂上決戦は添田豪と内山靖崇の対戦

【11月7日 大会第8日】
 女子シングルス決勝は、第1シードの桑田寛子(島津製作所)が第4シードの瀬間詠里花(橋本総業)を6-2、6-3で下して、初優勝を飾った。ブレーク合戦で始まった第1セット、3-2から3ゲームを連取して奪った桑田は、第2セットでも攻撃的なショットで瀬間を振り回してペースを握り、最後はこの試合6度目のブレークを果たして優勝盾をつかみ取った。

 男子シングルス準決勝では、第1シードの添田豪(GODAIテニスカレッジ)が第13シードの片山翔(伊予銀行)を破り、第2シードの内山靖崇(北日本物産)は前回王者の江原弘泰(日清紡ホールディングス)の途中棄権で決勝に進んだ。

 最終日は男子シングルス決勝に続いて、女子ダブルス決勝、男子ダブルス決勝の3試合が行われる。

[女子シングルス決勝]

○桑田寛子(島津製作所) 6-2,6-3  ●瀬間詠里花(橋本総業)

■桑田が持ち味の攻めのテニスを最後まで貫いた。第1シードとして優勝するのは簡単ではないが、全5試合にストレート勝ちという充実の内容。7度目の挑戦で初めて頂点に立った24歳は「自分のプレーをやり切って、自分からポイントを取りに行けた。それが勝利につながった」と納得の笑顔を見せた。

■決勝はコロシアムの雰囲気も違い、試合の入り方が難しい。だが、「インカレの決勝ぐらいの気持ちで」と話していた桑田は早大時代のインカレ3連覇の経験を生かしたように落ち着いていた。気負っていたのは、4年前に準優勝で終わっている瀬間の方だった。最初のサーブでダブルフォールトし、ストロークにも伸びを欠いていた。最初のヤマ場は、両サイドに振って攻めていた桑田が3-2でリードしていた第6ゲームだった。劣勢の瀬間は自分を盛り上げるかのような声を出しながら、1本1本のショットを放つ。瀬間の粘り強さか、桑田が攻め切るか。緊迫した空気の中、ラリーが続き、8度のデュースの末に桑田がキープした。勢いに乗って次のゲームをブレークし、ラブゲームで締めた第1セットの最後のポイントは、意表を突くサーブアンドボレーだった。

■第2セットも4-1と優位に進めていた第1シードだが、「あと2ゲームと思ってしまって」とわずかに隙が生まれた。2ゲームを続けて落とし、流れは完全に瀬間に傾いた。だが、ここでコート上に雨がぱらつき、一時中断。瀬間は勢いをそがれ、再開後の桑田は持ち前の積極性を取り戻して、押し切った。159センチの桑田は一撃のパワーに優れているとは言えない。しかし、両コーナーを突いて相手の体勢を崩すことができていた。その分、瀬間の返球は真ん中辺りに集まり、桑田が叩けるチャンスは多かった。プロ3年目の今季はトレーナーが同行し、食事にも配慮した結果、筋量は変わらずに体重を落とすことに成功したという。動くスピードも増したと考えられる。過去2勝していた瀬間も「自分の百パーセントは出せたけど、桑田選手にそれを上回られた」と脱帽した。

■ジュニア時代に目立つ実績はなかったが、地道な積み重ねで「プロになる時に日本一になることは目標にしていた。一つ達成できた」と桑田。一方、世界ランキングは約1年前の152位から228位に下がっており、世界での経験はまだまだこれからだ。日本一の満足感に浸ることなく、「一つの自信としてこれからのテニスにつながるし、世界につながる。もう一つ上の目標を」と気持ちを新たにしていた。(早川 忠宏)

【準優勝した瀬間詠里花のコメント】
「(中断は)流れも悪くなったが、負けた原因はそれだけじゃない。4年前は勝てそうで自分が引いてしまって負けた。今日の負けは桑田選手がすごくよかった。自分の中ではやりきった。もうちょっと自分のテニスを磨いていければ」

[男子シングルス準決勝]

○添田豪(GODAIテニスカレッジ) 6-4,6-2 ●片山翔(伊予銀行)

■片山は「自分のすべてを思い切りぶつけるだけ」と前日に話していた通りの思いきったプレーを見せた。添田の2度のダブルフォールトに助けられる形ではあったが、第1セット第3ゲームで先にブレークしたのは片山で、そのまま4-2までリードを広げた。

■1度のブレークが重たい感じになり始めた第7ゲームの添田のサービスゲーム。この前の第6ゲームあたりから、徐々にリズムを上げていた添田のテニスが、確実に片山を捕らえる。サービスエースで第7ゲームをキープして4-2としたのを足がかりに、添田はここから一気に4ゲームを連取して第1セットを逆転で奪った。

■片山の武器はフォアハンド。しかし、添田は「前に彼と対戦したのは随分前」と添田は前置きしつつ(2010年の早稲田フューチャーズで対戦。当時の片山は大学生だった)、「前よりもフォアに頼らず、バックもダウンザラインやスライスなども混ぜて来ていた」とその成長を認めている。

■だが、スピード勝負になれば、技術的には互角に近くても、添田と片山では経験や大事なポイントでの集中力の上げ方や、スピードの出し入れなどに歴然とした差がある。添田は「出だしがよくなかったが、テニスの調子はよかったので焦らずできた」と言い、「コートを広く使えたこと。同じ所に集めない作戦を立てて試合に臨んだが、それを劣勢のときでも通せた」のが勝因だったと話している。「第1セットでブレークバックしたあとの4-4のサービスゲームをキープできるできないで流れが変わると思っていた。5-4にできれば、次のリターンゲームでチャンスがあると思っていた」と添田。添田は勝つためのシナリオを試合の中で様々に描き、それに合わせて試合を組み立てていた。経験豊富なベテランらしい冷静さだったと言うべきだろう。

■添田は2008年に全日本で優勝し、翌09年も連覇。今大会まで5年のブランクがあるものの、この準決勝まで出場した3大会では負けなしだ。「以前は変な緊張があって、眠れないことや、必要以上に硬くなることがあったが、今は一日一日、楽しくできている」と添田。彼の勝負強さが際立っている今大会。「第1シードだし、負けられないという気持ちは誰よりも強いが、それをプラスにしたい」と言う添田。3度目の優勝に向けて、ラストスパートの準備は整った。(浅岡 隆太)

[男子シングルス準決勝]

○内山靖崇(北日本物産) 6-1,1-0(棄権) ●江原弘泰(日清紡ホールディングス)

■立ち上がりのサービスゲームを内山がキープし0-1の江原のサーブ。緩い放物線を描いたボールは2球続けてネットにかかった。通常、プロのダブルフォールトはオーバーするもの。いきなりネット2本というのは珍しい。それが緊張感からではなく、腹筋痛からくるものであることを、内山は「すぐに気づいた」と言う。

■腹斜筋肉離れ。江原は前日のシングルス終了後、医師に「3週間静養」を言い渡されたが、痛み止めを飲んでコートに立った。出るか出ないか悩んだが、来てくれた観客に少しでもプレーを見せたいと江原は出場は決断した。

■チップ・アンド・チャージ、サービス・ダッシュと、堅実な江原らしからぬ積極的なプレーを見せたが、サーブを強く打てない状況では試合続行は厳しかった。第1セット終了後に医師を呼び、第2セットの0-1で主審にリタイアを告げた。「常にやりにくさを感じる試合だった。ペースを乱されないように進めた」という内山は終了後、「早く治してね」と声をかけて江原を気遣った。  (小島 宣明)

[混合ダブルス決勝]

○綿貫裕介(橋本総業)二宮真琴(橋本総業)
 棄 権
●江原弘泰(日清紡ホールディングス)鮎川真奈(橋本総業)

【綿貫裕介のコメント】
「決勝は残念だけど、ことしは確実に優勝を目指してペアリングもしていた。去年終わった時点で橋本総業の社長から来年もどう、と話があった。ディフェンディングチャンピオンなので、何が何でも勝ちたいタイトル。このペアの強いところは、男子に向かっていったり、必死に食らいついているところ。女子(二宮)のレベルが高い」

【二宮真琴のコメント】
「去年、優勝した時はびっくりだったけど、ことしは2試合とも去年よりはいい感じで勝てたのでよかった。綿貫君のサーブ、ストレートのスピードが上がっていて、サービスゲームを落とす気もしなかった。安心感が去年よりもあった。ポスターにも小さくても載れるのは、ずっと目指してやっていたので、来年も載れるのは嬉しい」

【大会最終日のみどころ】

■男子シングルスは、第1シードの添田豪(GODAIテニスカレッジ)と第2シードの内山靖崇(北日本物産)という優勝候補の2人が順当に決勝まで勝ち上がった。普段の大会とは違う独特の緊張感がある全日本では、第1シードと第2シードがそろって勝ち上がるというのは、ありそうで以外と少ない。過去2年はノーシードの選手が決勝まで勝ち上がっていて、過去10大会を見ても第1、第2シードの決勝は2度しかない。2005年大会では岩渕聡と添田がぶつかって、第1シードの岩渕が初優勝、12年大会では伊藤竜馬と杉田祐一が対戦して、第2シードの杉田が2度目の優勝を飾っている。

■デ杯代表でチームメートの2人だが、23歳の内山にとって31歳の添田は、「キャリア、戦績とも圧倒的に上の存在」だと言う。添田は「ナショナルメンバーとして、お互いに決勝でやろうというのはあった。それが実現したので最低限はできたと思う」と話した。内山が「僕が失うものは何もない。プレッシャーは全部、添田さんにかかるので、それを生かして戦いたい」と意気込めば、添田は「第1シードとして負けられない気持ちは強く持っている。それをプラスにとらえてやりたい。プレッシャーのかからない全日本はない」と受けた。

■14年からツアー下部のチャレンジャー大会で4度対戦があり、添田が3勝1敗と勝ち越している。ただ、直近となる今年7月のカナダの大会では、内山が6-2、6-2のスコアで添田から初勝利を挙げている。全日本では、添田がここ5年欠場していたこともあって、これが初めての対戦になる。

■男子ダブルス決勝は、第8シードの佐野紘一(伊予銀行)/小ノ澤新(イカイ)組とノーシードの綿貫裕介(橋本総業)/綿貫陽介(グローバルテニスアカデミー)組が対戦する。綿貫兄弟ペアは、準々決勝で内山/添田のデ杯代表ペアを破ると、準決勝では大会連覇を狙った仁木拓人(三菱電機)/吉備雄也(ノア・インドアステージ)の第1シードペアを破って、台風の目になっている。兄弟ペアが優勝すれば、1956年の加茂礼仁/加茂公成組以来の快挙となる。

■女子ダブルス決勝は、第3シードの久見香奈恵(橋本総業)/高畑寿弥(橋本総業)組と第4シードの井上明里(レスポートサックジャパン)/宮村美紀(フリー)が当たる。高畑はITF女子サーキットで19勝とダブルスを得意とする。久見とのペアでも今年、2勝を挙げている。全日本では11年大会では青山修子と組んで優勝を経験しているのは大きな強みになる。井上/宮村組は早稲田大OGペア。(谷 祐一)

フェドカップの新監督に土橋登志久氏

■日本テニス協会は7日、フェドカップの新監督に早稲田大庭球部の土橋登志久監督(49)が就任すると発表した。今年4月のワールドグループ(WG)2部プレーオフでベラルーシに敗れて2部昇格を逃しフェドカップの日本代表では、2年の任期を終える吉田友佳監督(当時)の後任監督の人選が進められていた。

男子シングルスは第2シードの内山靖崇が、第1シードの添田豪を下し初優勝

【11月8日 大会最終日】
男子シングルス決勝は、第2シードの内山靖崇(北日本物産)が7-6(6)、6-4のストレートで第1シードの添田豪(GODAIテニスカレッジ)を破り、初優勝を飾った。内山はタイブレークで4本あった相手セットポイントをしのいで第1セットを先取すると、第2セットでは追いつかれた直後の第9ゲームで、この試合2度目のブレークを果たし、そのまま逃げ切った。23歳の内山は、出場6大会目で初めての決勝だった。2連覇した09年大会以来の出場だった添田のシングルス連勝は「14」で止まった。

男子ダブルス決勝では、主催者推薦で出場した綿貫裕介(橋本総業)/綿貫陽介(グローバルテニスアカデミー)の兄弟ペアが、第8シードの佐野紘一(伊予銀行)/小ノ澤新(イカイ)組にストレート勝ち。女子ダブルス決勝は、第3シードの久見香奈恵(橋本総業)/高畑寿弥(橋本総業)組が第4シードの井上明里(レスポートサックジャパン)/宮村美紀(フリー)組をフルセットで振り切った。綿貫兄弟ペア、久見/高畑組はともに初優勝。男子ダブルスを兄弟ペアが制したのは、1956年の加茂礼仁/加茂公成組以来のこと。

[男子シングルス決勝]

○内山靖崇(北日本物産) 7-6(6),6-4  ●添田豪(GODAIテニスカレッジ)

■このときを心待ちにしていた。内山にとって、添田と全日本の決勝で顔を合わせることは特別な意味を持っていた。札幌市立福住小6年生のときに観戦した全日本で、添田のプレーに憧れを抱いてから11年。その選手との日本一の座を懸けた対戦に勝ち、「大先輩だし、常に目標にしていた選手。添田選手に勝っての優勝はまた格別」と感慨に浸った。

■2人が初めてボールを打ち合ったのは、ジュニアナショナルチームに入った17歳の頃だったという。「まったく歯が立たないというか、練習にもならないくらいだった」と記憶している。内山は2013年からデ杯代表に選ばれ、今は同じナショナルチームのメンバーとして添田と共に練習することも多い。だが、直接対決はこれまでチャレンジャー大会での4度だけで、ことし7月のグランビー(カナダ)で内山は初めて勝っていた。

■この日は、全日本の決勝の雰囲気に飲まれることなく、立ち上がりから双方が持ち味を出した。内山が高速サーブとフォアハンドで観客をどよめかせれば、添田は早いテンポのストロークで内山を左右に振り回し、うならせる。バックハンドの展開力で上回っていた添田がラリーの主導権を握り、内山が必死に食らいつくという構図でサービスキープが続いていた。23歳は5-4の第10ゲームで3度のセットポイントを逃し、タイブレークにもつれこんだ。ミスが続いて2-6と追い込まれたが、「目の前の1ポイントに集中していた。改めて1ポイントの大事さを感じた」と内山。ラリーでの粘りと、ダブルフォールトを犯すなど相手の心の乱れも生かし、6ポイント連取の逆転で第1セットをものにした。

■第2セットに入ると、スライスを交えて体勢を立て直したり、押し込んでからドロップショットでポイントを奪うなど、落ち着いて内山がラリー戦を制する場面も増えてきた。ことしからスペインに拠点を移し、「その成果が出ていたのは間違いない。ラリー戦でのしぶとさ、強さというのを学べた部分は今日の試合で出せた」。第8ゲームでブレークバックされて4-4となっても、「添田選手のリターンとストロークを考えると、そこまでブレークされていなかったのが不思議。何も焦ることなく、プレーできた」と言う。続く第9ゲームの最後はグッとタメをつくって、冷静にバックハンドのトップスピンロブで仕留め、ブレークに成功した。

■1時間44分の濃密な戦いを制し、先月日本テニス協会名誉総裁に就任した眞子内親王殿下から天皇杯を授与された。6度目の挑戦での全日本チャンピオンの称号には「実感が沸かない」と繰り返したが、添田を破ったことで「確実に階段をのぼれている」と自らの成長は実感した。スタンドのファンを前に、世界ランキング227位は「目標はグランドスラム(大会)で活躍すること。この優勝をきっかけにもっと世界で活躍したい」と、さらに階段をのぼると誓った。

【6年ぶりの全日本が準優勝で終わった添田豪のコメント】
「悔しいが、決勝も自分の中ではいいパフォーマンスを出せた。やり切ったというか、すがすがしい感じ。(第1セットのタイブレークで)6-2のところでもう一回ギアを上げないといけなかった。緊張感の中で勝ち抜いたことは、このあとのチャレンジャー(大会)にもつながる。全日本は周りがどう言おうと日本一を決める大会。選手はなるべく出てほしいというか、日本一を決める大会にしたい。直前まで迷ったが、出て正解だった」
(早川 忠宏)

[男子ダブルス決勝]

○綿貫裕介(橋本総業)/綿貫陽介(グローバルテニスアカデミー) 6-2,6-1 ●佐野紘一(伊予銀行)/小ノ澤新(イカイ)

■ワイルドカード(主催者推薦)をもらって出場した25歳の裕介、17歳の陽介という綿貫兄弟ペアが、ノーシードから一気に頂点に駆け上がった。第8シードとの決勝は、リターンゲームでは2人ともベースラインにとどまって、ネットにつく佐野/小ノ澤組にストローク勝負を挑み、5度サービスをブレークする圧勝だった。記者会見では、「陽介が緊張していたので、どこまでやってくれるかというのが素直な気持ちだったが、頼もしくやってくれた」と兄の裕介が言えば、弟が「年上、格上の選手としか当たらないので、プレッシャーにつぶされそうな状況だったが、最後まで思い切りできた」と陽介が応じた。

■この大会シングルスには長男の裕介、三男の陽介とともに次男の敬介も出場した。昨年の男子ダブルスには裕介と敬介が組んで出場していたが、今夏の今年の全米ジュニア男子ダブルスで陽介がベスト4に進むなど好成績を残し、急きょ、長男と三男のペアで出場することが決まった。「敬介には自粛してもらいました」と裕介が笑わせた。

■1回戦でダブルス巧者の近藤大生(イカイ)/鈴木貴男(イカイ)というベテランペアに4-6、7-6(7)、6-1と苦しみながら逆転勝ち。それ以降も内山/添田というデ杯代表ペア、仁木拓人(三菱電機)/吉備雄也(ノア・インドアステージ)という前回優勝ペアをストレートで破るなど、堂々たる勝ち上がりだった。「1回戦からタフな試合だった。相手にマッチポイントを握られながら逆転勝ちして、波に乗ることができた」と裕介。試合ではベースラインから強打するのが役割だった陽介は「打ちたいコースに打って、あとは兄貴、どうにかしてくれという感じで頼りにしていた」と兄に感謝した。
(谷 祐一)

[女子ダブルス決勝]

○久見香奈恵/高畑寿弥(ともに橋本総業) 6-4,6-7(9),6-2 ●井上明里(レスポートサックジャパン)/宮村美紀(フリー)

■女子ダブルスは第3シードの久見香奈恵と高畑寿弥(ともに橋本総業)と、第4シードの井上明里(レスポートサックジャパン)と宮村美紀(フリー)の対戦となり、久見・高畑組が6-4、6-7(9)、6-2で勝って優勝した。高畑は2011年にも青山修子(近藤乳業)とのペアで優勝して以来2度目の全日本ダブルスのタイトルだが、久見は今回が初優勝だった。

【久見香奈恵のコメント】
「(初出場から)11年目でやっとの舞台。こんなに長く大会に残っていたこともないし、たくさんの観客の前でのプレーも初めて。自分が思っていた以上のパフォーマンスを出せた大会だった。ランキングも上がってきているので、WTAツアーにも2人でトライしていきたい。久見・高畑のダブルスがどこまで行けるか見ていてほしい」

【高畑寿弥のコメント】
「2011年に全日本を取って、2012年にはキャリアハイ。これからグランドスラムに、と思っていた4月に右膝十字靭帯と半月板を傷めて、9カ月間コートに立てなかっただけでなく、歩くことからの再スタートだった。(決勝では)第2セットを落としたあと、ロッカールームに着替えに戻って、叫んで、クリーンな気持ちでコートに戻った。1回戦からずっとタフな戦いで、その度にお互いのコーチと課題練習をして成長してきた。お互いの持ち味が出せてよかった」
(浅岡 隆太)

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